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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第4章-2 ロミジュリ展開、お断りします。~成長見守る編~

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4話 どうして、バトるかな?

(娘が生まれたら杜村家にお嫁にやる約束した、ですって!?)


「そんな話、今まで聞いたことないわよ!」と、桜子は大声を出していた。


 同じく薫子も驚きの声を上げる。


「そうだよ! 桜ちゃんが家を継ぐってことは、まさかあたしを嫁にやるつもり!?」


 パニックになる娘二人に対して、母親はなだめるように手をひらひらさせた。


「やあねえ。そんな昔の話、今さら無効よ。パーティなんかで会うことあったけど、そんな話、1度も出なかったし。

 もっとも息子が桜子にご執心だから、約束を強制執行するわけにもいかないんでしょ」


「……つまり、あたしが家を継がなければ、ヨリと強制的に結婚させられてたってこと?」


「別に強制的ってほどのこともないと思ってたけど。

 向こうはともかく、あんただってかわいがっていたじゃない。大人になって恋になっても不思議はないし、ぜひともあんたがこの家を継がなくちゃいけない理由もなかったし」


「おじい様のおかげで助かったよ……。あたしが家を継ぐって周りに思い込ませてくれて」


「もっともあの子が薫子を気に入ってくれれば、何の問題もなかったのにねえ。

 こっちも昔の約束を気にしなくてよくなったのに。なかなか期待通りには進まないものね」


「問題アリだから! 百歩譲って向こうが気に入っても、あたしは絶対に結婚なんてしないもん!」


 ムキになる薫子に母親は「冗談よ」と笑っていた。


「ところで、お母さん、圭介のお母さんとは同級生だったんでしょ? 実は仲良かったりしないの?」


 圭介の母親とは最悪な初対面になってしまったが、母親同士の仲が良ければ、神泉家との間に入ってもらえるかもしれない。

 味方は多いに越したことはないのだ。


「んー、残念ながらそれはないわね」


「まさか、仲が悪かったの?」


「どっちかっていうと、疎遠な感じ? 百合子さんって、生粋(きっすい)のお嬢様のわりにはぶっ飛んでてね。青蘭に通うような学生を毛嫌いしてたのよ。

 そもそも学校もさぼってばっかだし、たまに登校してきたと思ったら、途中で学校から抜け出しちゃうし」


「お母さんもあの学校では充分ぶっ飛んでたんだから、仲良くしててもおかしくないんじゃない?」


「あたし、あの当時は猫かぶってたからねえ。1番近づきたくなかったんじゃない?

 あんたたちもわかるでしょ。あの学校で藍田家の子女がどういう扱い受けるか」


「まあ、お嬢様らしくしてたら、それこそ『ザ・青蘭』って感じよね」


 桜子も身に覚えがあるので、うなずくしかない。


「でも、婚約の関係で話することくらいあったんじゃないの? あっちにしてみれば、お姉さんの話なわけだし」と、薫子が話をうながす。


「話っていうか、怒鳴りこまれた。今でも覚えてるわー。1度も話したことないクラスメートに『この泥棒猫!』って、胸倉つかまれたのよ」


「お母さん、そこでやり合ったりしてないよね……?」


 この母ならやりかねないと、桜子はジトっと見つめてしまった。


「だから、猫かぶってたって言ったでしょ。こっちはニセお嬢様がバレないように必死だったんだから。

 やんわりと丁寧にお答えしたわよ」


「なんて?」


「『泥棒猫だなんて、とんでもない。私に一目ぼれしてしまったのは杜村さんの方ですよ。恨むならあちらを』みたいな」


「それ、火に油を注いでない?」


「そりゃ、百合子さんは怒ってたけど、逆ギレもいいとこよ」と、母親はまるで他人事のように肩をすくめる。


(それもう、バトルだから……)


「……で、その後の接点は?」


「婚約破棄になった時に、一応あいさつしたくらい。その時は向こうの家も落ち着いたみたいで、つかみ合いにはならなかったわよ」


「……ねえ、お母さん。そんな過去のいきさつのあった相手の娘が自分の息子と付き合うようになったって聞いて、『はい、そうですか』ってあっさり仲を認めてもらえると思う?」


「さあ。だから最初に聞いたんじゃないの。あんたが婚約するって決めたのはいいとして、向こうの家はどうなのかって」


「そういう意味なの!? お母さんたちがもめてたなんて、思ってもみなかったよ!」


「けど、昔のことだし、向こうがどう思ってるかなんて、本人に直接聞いてみないとわからないでしょ?

 それとも、圭介くんはその件について何か言っているの?」


「お母さんのことは何も聞いてないけど。妃那さんの件が最優先事項で、そっちまで手が回ってないというか……」


「同じことでしょうが。あっちの家で味方になってくれそうな人を作るのだって、最優先事項には変わりないと思うわよ」


「うん……。圭介にまず聞いてみることにする」


(どうしてこう、すんなりいく話がないのかなあ……。これもまさかの呪いかと思っちゃうんだけど)


 そんなことを考えながら、桜子は深いため息をついた。

第3章6話でこの辺りの話はちらっと触れてました。

覚えていらっしゃいますかね……?


次話は同じ夜の圭介の話になります。

桜子から電話がかかって来て……。

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