表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/320

13話 友達になったものの、イトコとの契約は?

『藍田桜子は学校になじめず、何度もやめることを考えたらしい。

 1番話が合いそうなおれと友人になってほしいと頼まれて、一応オーケーした。

 彼女に学校をやめさせたいのであれば、断ることもできる。

 契約違反に当たるというのなら、契約打ち切りで構わない』


 圭介はいろいろな文面を考えた末、依頼主――貴頼へはそう書いて送った。


 正直、貴頼がどちらを望んでいるのかはわからなかったが、圭介のカンでは桜子を退学させることはないだろうと思った。


 やめさせることが目的なら、最初から入学させなければいい。

 人ひとり簡単に入学させることができるのなら、逆に人ひとり入学拒否することくらい簡単だ。


 一方で、桜子がこの学園に入学したいきさつである『笑えない話』も気にならないこともない。


 桜子はもともと都立を受験する予定だった。


 しかし、試験会場の高校へ向かう途中、道で苦しんでいる老女を見つけ、そのまま病院に搬送。

 その老女の家族への連絡がなかなか取れず、桜子は最後まで付き合う羽目になった。

 結局、試験時間には間に合わず、あきらめて家に帰ったという。


 それから1週間ほどして、受けてもいない青蘭学園の入学許可証が届いた。


 学園側が藍田家の娘を入学させればいい宣伝になると、勝手に通知をよこした可能性はある。

 実際、桜子は授業料免除の特待生なのだ。

 つまり、さすがに貴頼の家の権力でも藍田家のものには及ばず、学園側が桜子の入学を強行したというケースが考えられる。


 この場合、桜子を入学させたくなかった貴頼は、圭介に監視役を頼み、桜子の身辺調査から何らかの理由を見つけて、退学に追い込もうと画策しているということになる。


 そう考えれば、話のつじつまは合う。


 この圭介の送った報告によって、貴頼の意図が少なからずわかるに違いない。

 最悪『契約を打ち切りにする』と、返されてもおかしくはない。


 圭介は緊張しながら返事を待っていたが、ようやく届いたものはいつもの『了解』ではなく、『様子を見ることにします。定期連絡はいつも通りに』だった。


 この曖昧(あいまい)な返答からは、結局貴頼の本意は読み取れなかった。


 桜子をやめさせたくないから現状を維持すると言っているのか。それとも、ただ時間の猶予(ゆうよ)の問題で、そう遠くないある日突然、『契約解除』の一言が送られてくるのか。


 なんだか薄氷を踏む思いで、毎日が心もとない気もしたが、少なくともそのXデーが来るまでは桜子とともに過ごせる。

 その時間はたとえ退学になっても、自分の人生においてかけがえのない時間になるに違いない。


 だから、今はこんな日々が1日でも長く続くように圭介は祈っていた。

次話、桜子のお父さんは本当に呪いに関係があるのか? の話になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 圭介さんと桜子さんもとても気が合いそう。 しかし…二人の環境は大変だわ(O_O)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ