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修行と手紙

「ちょ、おま……ちげぇーよ!! もっとこう、ガーッとやって、バンッと弾くみたいにやるんだよ!」


「いやだから、その説明じゃわかんないってば!」


「理屈で考えるな、ハートで感じるんだよ!」


「そういうのいいから! こういうのって理論とか形式とかが体系化されてるもんでしょ? まずはそこから説明を受けなきゃ……」


「だー! うっせぇ! そんな細かいことはいいんだよ! こう、龍のうねりみてぇな螺旋を意識して魔力をだな……!」


 早速ヴァレリィに庭で指導をしてもらっているが、如何せん彼は説明が下手だ。

 ことあるごとによくわからない表現をする。


 もっとも、彼からしたらアンネリーゼのように理屈絡みで覚えようとするほうがよくわからないらしい。


「んなこと言ってもよぉ。俺はそこまで学があるわけじゃねぇんだ。これだって俺のオリジナルだぜ?」


「え、オリジナル!? 師匠とかから教えてもらったんじゃなくて!?」


「一度だけ魔術学園に通ってたことはあったがよ。中退しちまった」


「え、嘘、魔術学園!? ヴァレリィって確か田舎育ちって……」


「まぁ色々あってよ……」


 素行の悪さから喧嘩三昧で追い出されたか。

 そういった系列の予想がいくつも出てくるも、どれもしっくりきてしまうのがなんとも言いがたい気持ちにさせてくる。


「まぁなんだっていいじゃねぇか。とにかくよ。今のお前にはパワーが足りん! もっと鍛えろ! あと、魔力を洗練するこった」


「身体を鍛えるのはわかるけど魔力の洗練って?」


「なんだ知らねぇのか? 魔力量を増やすんだよ。そういう方法はある」


 アンネリーゼのフィジカルの弱さは身体を鍛えることだけでは克服できない。

 そこで天国への車輪(ヘブンズ・ウィール)の多機能性と魔力を増幅させて威力を上げることで、さらなる効果が期待できるとのことだ。


「座禅くみながら呼吸を意識するみてーに、瞑想しながら体内の魔力の流れを感じるってぇところからスタートだ。言葉だと簡単そうだが、これが結構難しいんだぜ?」


「そんな方法があるんだ……。でも、それで魔力が上がるのなら筋トレっているのかな~って」


「あのな。戦いに身を投じるってぇ身の上の奴が身体鍛えねぇでどうする! 身体は資本だぞ!」


「は、はいぃ!」


「別に筋肉ムキムキになれってわけじゃねぇ。その回転機構をもっとぶん回せるくらいには鍛えろってことだ。お前は身体の基礎がなってねぇ。やるぞ、俺も一緒にやってやるからよ」


「う、うん! よろしくお願いします!」


「おうよ!」


 クエストを終えたばかりというのに、ハツラツと鍛錬を行うふたり。

 自室の安楽イスに座って声のみを聴いていたクライメシアは、「昨日と今日とで急にやかましくなったな……」とぼやきながらも彼女の成長をひしひしと感じている。


「せいぜい強くなりたまえよ。そうすれば踏み出せる世界が多くなる。より行ける範囲が広くなるだろう。わたしは、今の世界がどうなっているのか見てみたい」


 ほんの少しばかり静かになった。

 休憩でもしているのだろう。


 少しばかりうたた寝をしようかと思ったそのとき、屋敷のドアを叩く音が聞こえた。

 ふたりは気づく様子はない。


(この場合はわたしが行くべきなのか……ハァ)


 鍛錬の邪魔をするまいと彼女は重い腰を上げる。

 しかしドアは開けなかった。


 ドア越しに届け物を置くように告げた。

 どうやら手紙らしく、飛ばないようにそこらへんの石で敷いてもらい、配達人には去ってもらった。


 陽の光が当たらないようにドアを少し開けて、玄関に置いてあた古ぼけたステッキを使い、手紙を寄せる。


「アンネリーゼ宛か……わたしが読むわけにはいかないな。差出人は……あぁ、あの。しかし上質な紙だな。地面に置くように言ったのはまずったか?」


 そうボヤきながらリビングのテーブルの上に置く。

 手紙の差出人はラクリマとグレイスの姉妹からだ。

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