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ヴァレリィとのこれからの生活

 ギルドにて報酬を受け取り、屋敷へと帰る。

 ヴァレリィは菓子を食べたということもあって、そこまで腹は減っていない。


 しかしアンネリーゼは違う。

 とはいえ、まだまだ小さなギルドパーティーであるゆえ、あまり金銭を使うわけにはいかない。


 食糧庫にまだ貯蔵はあったので、適当に取り出して食べた。


「おいおいずいぶん小食だな。そんなんじゃ力でねぇぜ」


「私にはこれくらいがいいの」


「へいへい。あ、ところでよ。あの男装した女、アイツどこにいやがるんだ? クエストにも来やがらねぇしよぉ」


「あ~、え~っと、その」


「わたしならここにいるよ」


 ヴァレリィが勢いよく声のした方向を振り向く。

 壁に寄りかかりながらコートのポケットに手を突っ込んで、若干気怠そうにしていた。


「お、お前いつの間に!? 一体どこから入って来たんだ。俺に気配を悟らせることなく……」


「まだまだ修行が足りないということだろう。それと、卿らの戦いもしっかりと見ていた」


「な、なにぃ!?」


 ヴァレリィが驚くのも無理はない。

 彼はクライメシアが人間ではないことを知らないので、アンネリーゼの影にずっと潜んでいたなど想像もつかないだろう。


「卿の戦い方は非常にパワフルで、見ていて気持ちがいい。アンネリーゼにとっても良い刺激を与えられたようだしな」


「お、おう。……まぁ悪い気はしねぇな。不気味だけど。へへへ」


「わたしは卿を信頼しよう。改めまして、わたしの名はクライメシア。わけあって彼女とともに行動をしている」


「わけありねぇ。そう言われると、ちょいと詮索したくなるなぁ」


「首を突っ込みたくばそれも良し。いずれはわかること。ただし、そのおぞましさに度肝を抜かさないことだ」


「ハッハー! 言うねぇ! 面白れぇ気に入ったぜ!」


 この光景を見ながら、アンネリーゼは悩む。

 彼女を人外と知ったら、ヴァレリィはどのような反応をするのか。


 正直な話、クライメシアについてはまだまだわからないことだらけだ。

 わかるのは陽の光の中では行動できないことと、神を殺したことがあるという話くらい。


 そして抜きんでた強さを誇る剣の腕と、命中精度の高い二挺の銃。

 

「さて、食べ終わったし、これからのこと話そっかヴァレリィ」


「あん? これからのことって? このままクエストを続けんだろ?」


「それもある。だけどそれ以上にやらなきゃならないことがあるの」


 アンネリーゼには目的がある。

 いつかかならず『深淵への階段(アトランティス)』へと至ること。


 そのためにギルドパーティーとしてのはくを今より上げなくてはならない。

 ただ一日一日クエストをこなすだけでは、一体いつまでかかるのか。


 ────強くならなければならない。


 そして、よりランクの上のクエストに挑み結果を出さなくてはいけない。

 まだ不安要素はあれど、今できることはやっておきたいのだ。


 アンネリーゼは今やる気に満ちていた。

 フェローチェ・パーティーで抑え込まれていたなにかが弾け飛んだように、彼女から勢いが生まれている。


「前の戦闘でも、今回の戦闘でもそうだったんだけど。私にはいまいち火力がない。天国への車輪(ヘブンズ・ウィール)に魔力を乗せて威力は高めてはいるけど……やっぱりまだまだ足りない」


「んで、俺にどうしろってんだ?」


龍法ドラグラを教えてとは言わない。だけど、あの螺旋状の魔力回転は画期的だと思う。今の私じゃアナタやクライメシアに頼りきりになっちゃう、だから……」


「待て、みなまで言うな」


 ヴァレリィは二ッと笑ってアンネリーゼを制した。

 龍法を褒められたのがかなり嬉しかったのか、彼は快く承諾してくれたのだ。


「さすがお目が高いってもんだぜ。俺の龍法は最強だからな! いいだろう、教えてやる。────ただし条件がある!」


「な、なに!?」


 ゴクリと生唾を飲んだそのとき、彼の言葉にピタッと固まることになる。


「俺をこの屋敷に住まわせろ。住むとこねぇんだよ」


「────え?」


「ほう……」


「使える部屋あるんだろ? 寝るに困らなきゃそれでいいんだ。どうだ?」


「え、え、え……?」


 外にまで響くくらいの彼女の叫び声が木霊する。

 年ごろのアンネリーゼからしらた思わぬ展開だったからだ。


(おおおおお同じ屋根の下でででで、男の人と、住むぅぅぅうううッ!?)


(……────と、考えている顔だな。やれやれ、この男といい、この娘といい、ずいぶんと賑やかな場所になりそうだ)


 アンネリーゼは湯気が出るほどに紅潮し、しばらくしたのち、小さな声で承諾した。

 フェローチェ・パーティーでは屋敷ここからの通いだったので、大勢で眠るという経験はほとんどない。


 ましてや男と同じ屋根の下というのはもう今まで考えたことのないことだ。

 

(ルール決めとこッ! 技教えてもらえるからってなんでもかんでもオッケーしちゃいけないからね! 頑張れ私!!)





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