プロローグ 城井瑞樹へ
城井瑞樹へ
もし、自分が過去に戻れたなら、何をする?
明日自分に起きることがわかっていたなら、何をする?
誰しもが一度は考えたことのある、例えに過ぎないこの話が、現実に起こり得ることが果たしてあるだろうか。
明日自分に良いことが起きるとすれば、大体の人間はそのままにしておくだろう。
道端で偶然好きな子に出会うとか、困っている人を助けたらお礼に1万円もらえるとか、そんな大それた幸運ではないにしろ、日常で起これば少し幸せになれるようなことなら。
物足りないならもっと良くなるようにと行動を取るかもしれない。
オシャレをして出掛けてみたらそのままデートに行けたり、懇切丁寧に助けてやれば更に高価なお礼を貰えたり。
結果を知っているが故に取れる新たな選択肢があるはずだ。
そんな可能性を考えるのは俺だけじゃないだろう。
では逆に悪いことが起きるとわかっていたら、どうするか。
目覚まし時計をかけ忘れて遅刻してしまったり、そのまま慌てて走ってみれば靴紐が解けていて派手に転んでしまったり。
なんて、そんな小さな不幸なら簡単に防げそうな気がするかな。
変わった奴はそれも運命だ、なんて言ってそれをそのまま受け入れるかもしれないな。
俺もそんな小さな不幸だったらそうしていたよ。
だけど、俺に起きたのは運命として受け入れるには到底耐えられないことだった。
例えるなら明日、自分の町に隕石が降ってきて町が丸ごと吹っ飛んでしまう事がわかっているような。そんな自分の力だけではどうしようもない理不尽。
それ程大きな運命の強制力に対してだったら、人間は果たしてどれくらい立ち向かえるのだろうな。
俺の場合。つまり君の場合。
その理不尽に対してどれほど立ち向かえるか。どう立ち向かってきたか。
2015年3月2日に間に合った俺が今までのこと、これからのことをここに書いていこう。




