アパレル
ショウケースには、それはそれは綺麗なワンピースが飾られていた。綺麗なワンピースだ。私はすぐにそれが欲しくなった。それがあれば、きっと彼女も私をもっと好きになると思った。そう思った。
私はたくさんバイトをした。お金の余裕は少しもなかった。家賃を払わなくてはならないし、食費も馬鹿にならない。奨学金の返済分も貯めておきたい。その上にワンピースだ。一着のワンピースだけど、とても高いワンピースなのだ。
しばらくの間せっせと働いて、ワンピースを買うお金を貯めた。クレジットカードを鞄に入れて、私はアパレルショップに向かった。けれど、ワンピースはもう売れていた。入荷はずっと先になるそうだ。私は悲しくてたまらなかった。お酒を買って、家に帰って、ぐったりと眠った。
大学に行って彼女に会うと、私は驚いた。彼女がそのワンピースを着ていたのだ。綺麗なワンピースね、と、私は褒めた。そうでしょ、と、彼女が言った。
「一目惚れして買っちゃったの」と彼女は言った。
ワンピースは彼女にとても良く似合っていた。彼女のために作られたかのようだった。そう、始めから私のものではなかったのだ。いつもそうだ。彼女はいつも、私よりずっと綺麗で、私よりずっと可愛いのだ。
「でも、やっぱりあなたの方が綺麗ね」
そう言って、彼女はまた私にハグをする。それはそれは優しいハグだ。そうされると、私は彼女が好きになってしまう。いつもそうだ。いつも彼女はあざといのだ。
初めて掲載しました。おとのみです。コロナウイルスの自粛期間に、新しい事を始められたら良いなと思います。