表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/210

第86話 さてと、これより殲滅行動に入りますか。

前回のあらすじ:敵が攻め寄せてきたので、それぞれ戦闘配置についた。

 ウルヴを先頭に、後方にいるであろう盗賊達を殲滅するべく動いた別働隊が姿を消してから数分後、魔物の集団がこちらに来るのが見えた。魔物の種類は、と、ゴブリンの群れと、これはフォレストウルフかな? おお、数がどんどん増えているな、これはやり甲斐がありそうだな。とはいえ、まだ距離はかなり離れているからもう少し近づくのを待たないと。しかし、ずいぶん数用意してくれたな。


 おや? 同じ種類の集団でもなんかグループ毎に別れている、というより何かちぐはぐだな、、、。ああ、なるほど、盗賊達が攻撃されて慌てているのか。さてと、どんな感じで攻撃しているのやら気になるけど、こちらもそろそろ攻撃するタイミングかな。


「もう少し近づいてきたら、こちらも攻撃開始です。攻撃の手順ですが、打ち合わせ通りにお願いしますね。」


「「「了解!!」」」


 マーブル達を始めここにいる全員が敬礼で応える。お、オニキスもライムみたいに縦伸びしているな。いつの間にできるようになったんだ。おっと、ホッコリしている場合じゃなかったな、こちらもしっかり準備しないと。


 アイス達が迎え撃とうと構えだしている頃、ウルヴを先頭に3人は別働隊の後方へと回り込むべく木騎馬を走らせていた。ウルヴがラヒラスに状況確認を行う。


「ラヒラス、盗賊達の配置はどうなってる? 命令とはいえ、公国軍の連中には手出し不可というのは面倒でしょうがない。」


「ああ、それについては心配しなくてもいいかな。公国軍の連中は盗賊達の更に後方にいるから、俺らは目の前にいる盗賊達の集団を蹂躙すればいいだけ。」


「・・・まだ、目の前にいるわけじゃないがな。」


「アイン、そこは突っ込まない方向で。でも、もうじきそうなるから、あながち間違いじゃないよ。そろそろ会敵するから、2人とも準備よろしく。最初は俺が露払いするから、動きが止まったらウルヴが追い打ち、残りをアインがトドメという感じで。もちろん、俺もトドメに参加するから。」


「「わかった。」」


 3人は木騎馬に備わっている通信機能を使って会話出来る状態になっているので、かなり高速で進んでいてもこうやって話すことができる。大まかな内容を確認しながら3人は進んでいた。


 そろそろ会敵しそうな距離まで近づくと、ラヒラスは腰に差していたT字型の魔導具を取りだして魔力を込めると、T字型の魔導具は青白く輝き出す。ラヒラス自身も慣れたこともあるが、T字型の魔導具の方でも何度も使用したことにより魔力が通りやすくなっていたので、今では魔力を込めてすぐに青白い状態まで魔力が貯まるようになっていたのだ。


「行けっ、フレキシブルアロー!!」


 ラヒラスはそうかけ声を出すと共にT字型の魔導具を盗賊の集団へ投げつける。魔導具は盗賊の集団全体を囲むように回り出すと、ラヒラスの右肩辺りにあった6本の板が飛び出し、盗賊達の集団へと向かって行く。


 突然頭上辺りに青白く輝く物体を見た盗賊が驚いて声を上げる。


「お、おい、何だ? あの物体は?」


 その声に反応してそれを見た盗賊達の動きが止まっていく。その直後にT字型の魔導具に引っ張られるように6本の板が飛んできたと思ったら、6本の板は次々にコの字型に変形していく。


「さらに何か飛んできたぞって、何だ? 変形したぞ!!」


 盗賊達がこれらの一連の動きに驚いているうちに、コの字型に変形した物体から次々に矢が放たれていく。


「な、何だ? 矢が飛んできているぞ!! って、ぎゃーーー!!」


 コの字型の物体は次々と矢を放ち、盗賊達を攻撃していく。あちこちに矢を放たれて盗賊達はたちまち混乱していく。さらに追い打ちをかけるようにして、黒い馬に乗った黒騎士が盗賊達の集団に突っ込んでいく。


「う、うわーーーーー!!」


 次々に仕留められていく盗賊達ではあるが、運良く蹂躙されていない者達もいて、その者達はこの場から逃げようと動き出したが、いきなり吹き飛ばされた。吹き飛んだ盗賊だが、彼の体はあり得ない方向に曲がってしまいそのまま起き上がることはなかった。


「お、おい、盗賊達が攻撃を受けているぞ、どうするんだ?」


「いや、盗賊共がどうなろうと知ったことじゃない。しかも人数は少ないし、こちらの存在には気付いていないだろう。我らは任務続行だ。」


「お、おう。」


 公国軍の部隊は、あくまで冷静を装って任務を続けている。わざと放置されていることも気付かずに。


 80人くらいいた盗賊達は、3人によってあっという間に壊滅、いや、全滅した。それを確認した3人はそんな盗賊達に目もくれることなくこの場を離れていく。もちろん、公国軍の存在もその居場所もわかっている上で敢えて放置した。


「全く手応えがなかったな。」


「まあ、そう言わない。そこそこ暴れ回ることができたんだからさ。」


「そうだな。そういえば、あそこにいる公国の連中はどうするんだ?」


「ああ、奴らね。奴らは、できるだけ召喚やら魔物達を力尽きるまで行動させるらしいよ。俺らは奴らが力尽きて倒れるか、逃げ出したりしたら、殲滅するのが次の仕事ね。」


「なるほど。それまでは待機だな。」


「うん、とはいえ、それほど時間はかからないと思うよ。」


「とはいえ、一息つく時間はあるだろう? 何なら茶でも一服どうかな?」


「ああ、頂くとするか。」


「うん、お言葉に甘えるよ。」


 そう言ってウルヴは、マジックバッグに入れておいた茶とコップを取りだし、2人に渡して茶を注ぎ、軽く休憩と言わんばかりに3人はくつろぎだした。3人と公国軍の連中との距離は結構離れた状態になってはいたが、ラヒラスのH型の魔導具で彼らの位置はしっかりと掴んでいるので、仮に逃げ出してもいつでも襲撃できるようにはなっていた。


 ウルヴ、アイン、ラヒラスの3人が盗賊達を殲滅している頃、アイス達も公国軍の魔物使い達が使役や召喚した魔物達を殲滅せんと待ち構えていた。


 3人のおかげで、公国軍が操っている魔物達の足並みが少し乱れ、上手い具合にいくつかのグループに分かれることになった。本来なら、一塊の集団を水術で何体かに分けて覆って、それに魔法などの属性を加味することによって合体攻撃を仕掛ける予定であったのだが、上手い具合に別れてくれたのだ。


「おお、これは3人が盗賊達を蹂躙して公国軍の連中は少し動揺しているな。ふむ、ちょうど1人数体ずつ召喚、あるいは使役している感じかな。てことは、各国の召喚師の戦い方ってそれほど変わらないということなのかな、まあ、その辺はおいといて攻撃開始しますか。では、皆さん、準備はよろしいですか? 特に、アンジェリカさん、あなたが最重要任務ですので、よろしくお願いしますね。」


「アイスさん、今更ですが、何故ワタクシが最重要任務なのです? 確かに大がかりな魔法を使いますのでそう言えるかもしれませんが、実際には攻撃には参加しないわけでしょう?」


「そんなことありませんよ。アンジェリカさんには最後の一撃を担当してもらいますので。これはアンジェリカさん以外にはできないことですので。」


「何か嫌な予感しかしないのですが、、、。まあ、いいですわ。こちらも準備できましてよ。」


「よろしくお願いしますね。では、アンジェリカさんが詠唱を始めたら、こちらも攻撃開始です。」


「では、いきますわよ。『数多の神々たちよ、我が声に応え、、、。』」


 作戦時にアンジェリカさんに特大魔法についてお願いしたところ、現在の魔力では詠唱時間が非常にかかるとのことだったので、それを加味して作戦を考えた。相手の魔物使い達は最初は暖機運転さながら弱めだけど数多く召喚して、次第に数よりも質で次々に召喚していくだろうと予測した。事実それがセオリーだからである。そのため、こちらも少しずつ合体人数を増やして威力を増やしていこうということになり、最後は特大級のもので相手の度肝を抜いてやろうというのが今回の作戦である。


 アンジェリカさんの詠唱開始を確認して、私も各グループ毎に水術で氷や霧で結界を発生させて囲んでいく。魔物達は例外なくは私の作り出した水術の結界に閉じ込められていく。それを確認して指示を飛ばす。


 最初はゴブリンの集団であったが、いくつかの集団に別れていたので、それぞれ指示をだす。


「では、最初はマーブル隊員からです。」


「ミャア!」


 マーブルは右前足を上げて魔法を繰り出す。最初は風魔法だ。


「テンペスト!!」


 ゴブリン達の1集団は舞い散る氷や風の刃に切り刻まれたり、そのときに発生した雷により消滅した。


「次はジェミニ隊員です。」


「ワタシにお任せです!」


「アイスロックシュート!!」


 ジェミニは土の塊をたくさん土魔法で生み出した後、くるりと後ろを向いたと思ったら、次々に後ろ足を使って蹴り込んでいく。蹴り出された土の塊はやや大きめな氷の舞っている結界に飛んでいき、その中の氷にぶつかっては次々にゴブリンの集団にぶつかっていく。その土の塊は勢いを失うことなく別の氷にぶつかって反射して別のゴブリンに当たったり、思いもしない角度からぶつけられたりして、体が粉砕されていき、最終的には全員骨を砕かれた状態で消滅していた。


「次はルカさんですね、よろしく。」


「ん、任せて。」


「スチームメルト!!」


 ルカさんは霧状の結界目がけて火魔法を繰り出した。繰り出された炎が結界内に入ると、結界内の至る所で蒸気音が起こっていた。水蒸気ではあるが、結界に閉じ込められている状態なので、圧力がもの凄い分、温度もやばいことになっている。もちろんゴブリン達は耐えることができずにそのまま消滅していった。


 ゴブリン達の他にはスケルトンやゾンビなんかも存在しており、こんな真っ昼間にこんなの召喚して大丈夫なのか、それとも相手が間抜けなのかわからなかったが、とにかく魔物である以上片っ端から殲滅していく。


「よし、アンデッド系なら、ライム、出番だね。」


「わーい、ボクがんばるよ! えーいっ!!」


「アイスレクイエム!!」


 スケルトンやゾンビなどのアンデッド達を閉じ込めていた結界にはライムの光魔法が炸裂した。浄化の光が氷や霧の中で増幅してもの凄い勢いでアンデッド達は消滅していった。


「これはセイラさん、頼みますよ。」


「了解、任せて!!」


「一点破!!」


 氷の結界に完全に閉じ込められた魔物達のところにセイラさんの矢が放たれると、氷の結界が砕け散ると共に、中にいた魔物達もバラバラに砕け散っていた。


 こんな感じで次々に魔物の集団を殲滅していると、気がついたら全部倒していたので、小休止を取ることにした。まだ第一陣であり、これからもこちらに来るであろう魔物達に備えている。さあ、公国軍の者達よ、頑張って私達の餌となるべくたくさん魔物達を呼んでくれよ。あ、ちなみにアンジェリカさんはまだ詠唱を続けていた。まあ、第一陣を殲滅するのにそれほど時間もかかっていないからね。


 アンジェリカさんの詠唱が終わった頃に第二陣の魔物達がこちらにやってくるのを探知した。アンジェリカさんの特大魔法は詠唱が終わってもすぐには放つことができないらしく、これから増幅させる必要があるそうだ。見た目麗しいアンジェリカさんが更に輝いているっぽいので、ひょっとしたら、増幅の度合い=輝きかもしれない。まあ、これに関しては結果をご覧じろということなのかな。


 こちらに来る魔物達は先ほどよりも強い魔物っぽいな。では、こちらもそれに合わせて合体人数を増やしていきましょうかね。





 

ついに前作「とある中年男性の転生冒険記」を超えました。まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、どうつなげていくかはそのときの気分しだいになっております。これから投稿が遅れることもありますが、できるだけ早く投稿していこうと思いますので、よろしければこれからも楽しんでご覧いただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ