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第8話 さてと、建材を集めますか。

新たに配下となった3人ですが、まだ動きがぎこちない感じです。もう少し進めていけば彼らも自由に動いてくれると信じてます。楽しんで頂けましたら幸いです。

 テシテシ、テシテシ、ポンポン、いつもの至福の朝起こしから一日が始まる。いつもの挨拶を交わしてから顔を洗いサッパリする。さて、朝食の準備をしますかねえ。


 朝食の準備をしに食堂へ向かうと、食堂で寝ていた3人はすでに目を覚ましていた。


「アイス様、お早うございます。」


 3人が一斉に挨拶をしてきたので、普通に返した。朝食の用意をしてみんなで一緒に食べる。食べた後、ラヒラスに話をした。


「ラヒラス、君には今日大工にここの拡張を頼んでもらう。君達の部屋の他に浴室を作ろうと思っているんだけど、その時に水を出したり、水を温めたりする魔導具とか作れるかな?」


「水を出したり、温めたりする魔導具? 恐らく出来ると思う。ただ、水を出すものと水を温めるものとでそれぞれ別々なら可能かな。」


「ああ、そこら辺は任せるよ。風呂は是非とも欲しいけど、火を起こす炭などの燃料は貴重だから風呂では使えないし、仮に使えたとしても勿体ないからね。」


「確かにそうだね、わかったよ、試しに作ってみるよ。」


「助かるよ。では、ラヒラスにはそれをお願いして、ウルヴとアインは採集に行くついでに冒険者登録もして欲しいんだ。」


「私がですか? 守備隊でも冒険者登録は可能ですかね?」


「可能だと思うよ。私は登録してない、というかとある事情があって登録できないんだ。代わりだと思って頼むよ。」


「ご命令なら承知しました。」


「俺は問題ないな。わかった、登録しよう。」


 ウルヴもアインも冒険者登録することを承知した。


 食事も終わり、昼食前まではトリニトの見回りを行った。とりあえず平穏無事といっていい状態だった。昼食を摂ってから行動開始だ。ラヒラスには大工の所に行ってもらい、私達は森へと材料の採集に向かう。ウルヴとアインには昼食前にすでに冒険者登録をさせてある。ついでに何か依頼があればと思ったが、これといったものはなかったので、特に受けずに来たそうだ。


 今日から木材やその他の素材を集めるのだが、正直建材に適した木材についてはよくわかっていないので、とりあえず何種類か伐採してどれが適しているか確認してもらうつもりだ。ということで、森の木材を鑑定してみるが、悲しいことに1種類だけだったので、太めのものを探して、手頃なものが見つかった。


「アイン、この木だけど、頼めるかな?」


「この木か? 大丈夫だ、問題ない。」


 アインはそう言うと、その木を抱え込むと一気に引っこ抜いた。え? 引っこ抜いたの? ってか普通にできるもんなの?


「案外手応えがなかったな。アイス様、あと何本必要だ?」


「い、いや、建材に向いているかどうかわからないから、とりあえずその1本でいいよ。」


「そうか、必要だったら言ってくれ。」


 アインの馬鹿力に驚いていたときに、ウルヴからも声がかかる。


「アイス様、この植物は葉を乾燥させて細かく刻んでお湯を通すと、いい香りのお茶になりますが、採取してもよろしいですか?」


「ウルヴ、それは本当か? 他にもそういったものはあるのか? あったらどんどん採集して欲しい。この袋を渡すからガンガン採って欲しい。一杯になったらこちらで回収するから気にせず回収してくれ。」


 そう言ってウルヴに袋を渡す。ウルヴは袋を受け取ると辺りを見回してはどんどん回収していく。私の方でも食べられそうな木の実などを見つけてはマーブルやジェミニに指示を出しては回収してもらったり、枝を切ってもらったりする。手に入ったものはライムに頼んで綺麗にしてから空間収納で回収していく。採るのが大変そうなものについてはアインが採ってくれたりもした。


 そうしているうちに、魔物の気配を探知する。一向に動かないので近づいてみると探知できる数が増えていた。通常の魔物だと、距離を取ったり一気にこちらに向かって来たりするのだが、今回探知した魔物はそういったことはなかった。近づけば近づくほど魔物の数は更に増えていた。目視出来る距離まで近づくが、魔物の気配はしても、その姿は見えなかった。ステルス機能のついた魔物なのか? 念のため水術の罠を周りにはってから鑑定をしてみた。アマさんよろ。


------------------------------------

「ダークオーク」・・・人食い植物と呼ばれる種類の魔物じゃな。そこらにいる植物に化けておるからうかつに近づくと危ないぞい。「オーク」と名がついておるが、もちろん倒しても肉は落とさんぞ。ちなみにこいつらもそうじゃが、人食い植物は総じて建材などにも向いておるぞい。これらの素材で魔導具を作る者もおるかもしれん。

「ダークトレント」・・・これも人食い植物じゃ。種類は異なれども建材などに向いておるぞい。

「ダークドライアド」・・・同じじゃから説明省略じゃ。

「   ・   」・・・以下略じゃ。

「   ・   」・・・以下略じゃ。

「   ・   」・・・以下略じゃ。

 あ、言い忘れておったが、こやつらには魔核というものがあり、そこを抜き取ったり破壊したりしない限りは倒せんからそのつもりでな。では、頑張って倒すのじゃぞ。それともう一つ、魔核は魔石になるぞい。

 すまん、これで最後じゃが、こやつらは繁殖力が強いから一体でも残しておくと、また増えてしまうから、上手く調整するのじゃぞ。

------------------------------------


 ・・・種類多すぎじゃね? とはいえ、これはいいことを聞いたね。アマさんグッドジョブ!! よく見たら太さも手頃だし、数もたくさんあるな。それに繁殖力も強いと。これは使えるな。魔物だし久しぶりにアレ行きますか。


「今鑑定したところ、人食い植物というか樹木ですが、そこら中にいます。建材にもってこいとのことなのでこれを一体ずつ残して他は殲滅したいと思います。ただ、見た目はそこらの木と変わりがないので、魔物に関しては残らず凍らせますのでそれを目印にしてください。また、人食い植物は魔核を抜き取るか破壊しないと倒せません。で、その魔核は魔石となるそうなので破壊せず抜き取って下さい。凍らせるのでただ抜き取る作業になりますが、皆さん頑張りましょう。」


 久しぶりの指令に、マーブル達が目を輝かす。一方アインとウルヴは、私の口調がいきなり変わったので何事かといぶかしげにこちらを見たが、そのうち慣れるでしょう。


「作戦開始前に私が人食い植物達を凍らせます。その時に色分けしますので、マーブル隊員は赤い奴を担当して下さい。ジェミニ隊員は黄色い奴です。アイン隊員は青い奴をお願いします。私は色のついていない奴を担当します。ウルヴ隊員はそのまま植物や茶葉の採集を続けて下さい。ライム隊員はウルヴ隊員の護衛をお願いします。あ、言い忘れましたが、各自一体だけ仕留めないでそのままにして下さい。」


「ミャッ!」


「キュウ!」


「ピー!」


 3人はいつものように敬礼で応える。あ、もちろんライムは敬礼できないから縦伸びだけどね。アインとウルヴは一瞬唖然としたが、何か察したのか「ハッ!」と言いながら敬礼をした。うん、君達もノリがいいね。それでいいんだよ。これから何度もこういうことあるからね。


 みんなの反応に満足した私は、張り切って魔樹のいる範囲を凍らせる。前世の勘は取り戻しつつあり、この程度の範囲なら問題なく使える。よし、しっかりと凍ったな。


「では、準備完了。これより作戦を実行します。では、行動開始!!」


 私の号令でみんなが一斉に散っていく。一応わかりやすいように弱点の部分が目立つように凍らせてある。というか、弱点の部分に色が勝手についてくれる。念のため言っておくけど、これ魔術じゃないからね。どう見ても魔術にしか見えないけど。


 どの魔樹も魔核がむき出しになっていたので、あとはそれを抜き取る作業だけど、最初は丁寧に取ってみたが、かなり大変だったので、破壊覚悟でぶん殴ったところ、ポロッと取れたのでその後は簡単に抜き取ることができた。案外と楽しい作業だったため、一体残すということを忘れそうになった。いやあ、危なかったな。周りを見てみると、マーブルは爪で、ジェミニは鋭い歯で器用に抜き出していた。アインはというと普通にポロポロと何事もないように取り出していた。後で聞いたら最初の1つめは硬そうだったので力を入れたら潰してしまったそうだ。


 それぞれみんなの所に行って水術を解除しては、木材と魔石を回収していく。これら魔樹を倒したおかげで私のレベルも上がっていた、ということは空間収納スキルのレベルも上がったということでもあり、全部を収納してもまだ余裕があった。素材的には結構多くの種類が手に入ったが、やはりダークオークとダークトレント、ダークドライアドについては、質が一段上だった。建材として優れている魔樹だが、一つだけ例外があった。ダークアルラウネという種類の魔樹だが、これは建材ではなく香木の一種だそうで、かなり高価な素材らしい。これは建材として使えないし、かなり高価ということは、トリニトでは扱えないからこのまま収納しておくか、ねぐら行きかな。流石に離れ小屋にしまっておくのはまずい。ゴミ達がかぎつけて手を出してきそうだし。


 ウルヴも茶葉をメインとしてかなりの量を採集できたらしく袋がパンパンになっていた。本人もほくほく顔だ。ライムが袋の中に潜り込んで綺麗にしてくれたとのことで、ウルヴも最初こそは茶葉がライムに取り込まれて気が気ではなかったそうだが、出てきた茶葉を見て逆に綺麗にするようにお願いしたらしい。ウルヴもわかっているな。


 今回の成果に満足した私達はホクホク顔でトリニトに戻り、離れ小屋に到着すると、丁度良くラヒラスと大工の棟梁が来ていた。


「あ、ラヒラスおかえり。あなたが大工の棟梁かな? 私はアイス・フレイムという。一応ここの伯爵家の長男だ。事情は知っているとは思うけどお見知りおきを。」


「おう、アンタがアイス様か。ラヒラスから話は聞いた。口調はこれで勘弁してくれ。お偉いさんと接触する機会はほとんどないんでな。」


「ああ、それについてはかまわない。で、とりあえず何種類か集めてきたからどれが使えるかを確認して欲しい。」


 空間収納から集めてきた魔樹を一本ずつ出していく。


「く、空間収納、、、。アイス様、あんた、とんでもねぇな、、、。」


 最初は、空間収納に驚いていた棟梁だったが、最後は出した木材に唖然としていた。


「ダークオークにダークトレント、ダークドライアドまで、、、。全部最高級品じゃねぇか、、、。こんな建材王都ですらほとんど見かけねぇぞ、それに他のやつもかなりの質、、、。アイスさん、こいつをどこで?」


「ああ、さっき建材を探しに森へ行ったら、魔物の気配が多数あったから倒して手に入れた。」


「あんた、どれだけ凄いんだよ、あいつらは気配探知でもなかなかわからないくらい気付きにくいんだよ。それをあっさりと、、、。」


「まあ、それはそうとして、建材はこれらでいいのかな?」


「ああ、これでいい、というかこれ以上のものは存在しねえ。ただ、ラヒラスの話を聞くと6部屋分は必要だ。そうなると、今出してくれた大きさで100本くらいは欲しいが、大丈夫か?」


「100本? そんなに少なくていいのか? これらなら200本ずつ程度なら今すぐ用意できるぞ。」


「いや、100本あれば十分だ。それにこいつらを使うのなら釘とか使わずに建てられる。喜んでこの仕事引き受けよう。こんな最高級品をふんだんに扱って仕事できるなんて名誉、本音だと報酬無しで引き受けてやりたいんだが、こちらにも生活があるから申し訳ないけど現金でたのむぜ。6部屋だけど、1部屋は広めにということだから金貨70枚になるがいいか?」


「金貨70枚? 本当にそんな値段でいいのか? 必要ならもっと出すぞ?」


「いや、70枚で値引き交渉するつもりだったのだが、アイス様本当にいいのか?」


「ああ、金貨70枚ならむしろ安いくらいだ。何せトリニトではまともな建材が使われていないにもかかわらず見栄えはともかくとして、造りがしっかりしている、ということは、君達の腕が確かということでもあるからな。もし、70枚でもらいすぎてると感じるなら、見習いとか雇って腕を鍛えてやって欲しい。」


「そこまで見ていたとは、、、。わかった、アイス様の仰るとおり、何人か雇って早めに仕上がるようにする。もちろん質の方は手を抜かないから安心して欲しい。」


 その後、いろいろと話をして間取りというか、最初に3人用の部屋から作ってもらうことにした。大工の棟梁が帰った後、ラヒラスに木材と魔石を見せた。


「ラヒラス、これらで木の馬の魔導具は作れるか?」


「これなら問題なく作れるよ。むしろかなりいいものができそうだね。逆に出力を押さえないといけないくらいかな。あと、これらなら朝にアイス様が言っていた、水を出すのと水を温める魔導具が作れると思うよ。」


「そうか、じゃあ、頼むよ。ラヒラスは木の馬を最初に作って欲しい。とはいえ、作業は自分の部屋が完成した後でかまわないから。」


「助かるよ。それではお言葉に甘えて自分の部屋が完成してから作り始めるから。まだ商業ギルドは動けないだろうからのんびりとしているよ。」


 一通り話が終わると、ウルヴは集めた茶葉の選別を行っていたので、終わったものから水術で葉の水分を抜いていく。抜き終わるとウルヴは自分で持っていた道具でお茶を入れ始めた。


「おお、ウルヴが入れてくれたお茶か、うん、香りもいいし、これは美味いね。」


「ありがとうございます。趣味の範囲程度ですが、お気に召して頂き光栄です。」


 これで食事の楽しみも増えたな。茶葉の他に香草や野菜など多くの種類の植物を手に入れたので、それらを使って美味い料理を作るとしますか。とはいえ、そんなに手の込んだものは作れないけどね。


 夕食を終えてねぐらに移動し、風呂と洗濯を済ませてからここに戻ってきた。


 明日から、ここの拡張工事が始まる。どんな感じで仕上がるのか楽しみだ。


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