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第68話 さてと、今日は案内人として洞窟探索です。その1

投稿が遅くなり申し訳ありませんでした。どうしてもモチベーションが上がらずに、ずるずると、、、。不安定な天気なのにクソ暑い状況の中、みなさんもどうにか体をご自愛ください。

 テシテシ、テシテシ、ポンポン、毎朝恒例の朝起こしでございます。うん、やはりこれでないと朝は始まらないね。少しの間、この感触を堪能してから起きて水術で顔を洗ってサッパリしたところで、コカトリスが早足でこちらに入ってきた。


 私がバッチリ起きているところを見て、「コケーッ!!」と何か少し悔しそうな声で鳴いている。それを見ていたマーブル達が嬉しそうにその場を跳ねていた。この一連の動きを見て、私は確信した。あ、これわざと起こしているなと。ひょっとしたら、コカトリス達も早めに来て朝起こしに参加しようとしているけど、来る少し前にマーブル達が私を起こしている感じだな。マーブル達もそうだが、少し悔しがっているコカトリスもそれぞれ何だかんだ言いながら楽しそうにはしているけど、ここは言っておかなければならない。


「君達、そうやって楽しんでいるのはいいけど、エスカレートしてどんどん起こす時間が早くなるのは勘弁してくれ。頼むから、いつも通りの時間に起こしてくれると嬉しいな。」


 3人は少しションボリしながらも頷いてくれた。うん、わかってくれればいいんだよ。しかし、シュンとなって耳を畳んでいる状態のマーブルも可愛くてたまらんな。もちろん、ジェミニもライムもそれぞれの可愛さがあるけど、やはりマーブルは別格だ。かといって、それを見たいがために意地悪とかはもちろんするつもりは無い。


 いつも通り、今日のお届け当番のコカトリスから卵を受け取って、お礼とついでにモフモフを堪能してから朝食の準備に取りかかった。朝は押し麦のご飯と味噌汁は固定だ。これだけはもう譲れない。ここ最近でようやく最低限の望んだ食事を用意できるようになっており、個人的には満足している。後は、昼食用に何か用意しておきますかね。


 朝食も済んで、各種牛乳用に壺を多めに用意して空間収納にしまう。この壺は土魔法の練習の一環として魔法訓練をしている領民達に作ってもらったものだ。ちなみに魔法の訓練はゴブリンシャーマンであるユミールさんが教官をしている、というのも、フロスト領の領民で魔法を使えるものが少ない。マーブルは別格としてジェミニも一応使えるけど、教官が務まるほどの能力はない。それ以上に私が一緒のときならともかく、別々に行動するなんて考えたくも無い、ということで、ユミールに頼んで魔法の素質がある領民に訓練をほどこしてもらっている。ちなみに、魔力だけは化け物クラスなラヒラスの適正を調べてもらうと、魔法の素質は全く無かったそうだ、、、。ただ、当のラヒラスはそれについては全く気にしていない。魔導具を作るのに魔力が必要だから、それで満足しているらしい、、、。


 こちらの準備も終わり、マーブル達とじゃれ合いモフモフを堪能しているところに、アインが入ってきた。


「アイス様、お早う。みんな準備が整っている。あとはアイス様達だけだ。本来なら催促するようで申し訳ないんだけど、みんな待ちきれないといった感じだから勘弁してくれ。かくいう俺もそうなんだけどな。」


「今日はアインが迎えに来たか。うん、こちらも準備は整っているから早速行くとしますか。」


 集合場所はいつものウサギ広場である。今回はダンジョン脱出以外は転送魔法を使わない予定だ。というのも今回はギルド長が同行しているからである。後は、ウサギ族達とのんびりという程でもないけど、歩いて行きたいという気持ちも多分に含まれている。


 ウサギ広場に到着すると、今回の参加メンバーが揃っていた。あ、時間とか昼前に出発できたらいいな程度にしか考えていなかったから、正直ここまで早く集まるとは思っていなかった。冒険者ギルドからは、ギルド長ともう一人いた。もう一人はトンプソンというBランクの冒険者だそうだ。何か最近来た冒険者達の一人で、有望株とのこと。連れて行く予定はなかったけど、ギルド長が一押しだからどうしてもということで許可を出した。・・・正直怪しいので密かに鑑定をかけると、所属が「暗殺者ギルド」になっていたのは正直笑えた。冒険者ギルドとはいえ、こんなくそ田舎では彼らを見抜くのは難しいかもしれない。何が目的か知らないけど、豆柴達の熱い洗礼を受けてもらうとしましょうかね、ククッ。


 フロスト領からは、アインの他には、ゴブリン族からはエーリッヒさん、エルヴィンさん、ハインツさんの3隊長に加えて、魔法教官をしてもらっているユミールさんと、4人が参加。領民達からはというと、


「「フロストしゃまー! ねこしゃん! うさしゃん! プルしゃん!」」


 と、嬉しそうにこちらに飛び込んでくるケモミミ達、、、。ちょっと待って、何で君らが同行することになったの? 危ないでしょ? そう、我が領のアイドル、クレオ君とパトラちゃんだ。2人をしっかりと抱き留めて、モフモフを堪能しながらエーリッヒさんに聞いた。


「エーリッヒさん、何故この2人が一緒に? 危ないですよ。」


「アイスさんが言うことはもっともだ。けどね、実はこの2人、もの凄くセンスがいいんだよね。こう見えても下手な領民より強いよ。」


「まじか、、、。」


 心配になって鑑定をかけてみると、2人とも格闘術10の技能持ち、、、。まじかよ、どんだけ末恐ろしいんだこの子達、、、。


「最近、私らが訓練をしているときに、一緒に交じるようになったんだよ。折角だから狙われても逃げられるような訓練をしてみたんだけど、飲み込みが凄く早かった。攻撃力は年相応ではあるけど、技術だけを見ると領内の精鋭に匹敵するかもしれない、、、。」


「「頑張ったー!!」」


 と得意げに胸を反らす2人。可愛らしいので思わず頭を撫でてしまった。


 ウサギ達からは、レオを含めて、各種2匹ずつ計8匹が参加するそうだ。ウサギ達を率いているレオは得意げに、その場を跳ねながら自慢してきた。


「主よ、領民ばかりではなく、我がウサギ族もかなり強くなっているぞ!! うちのファーラビット達でさえもオーク程度なら雑魚扱いだ!!」


 まじかよ、、、。いや、レオは嘘を言わないから、そこは信用しているが、驚いたのはそこまで強くなっているということだった。エーリッヒさん達もレオの言葉に頷いていた。マーブル達は嬉しそうにウサギ達とじゃれ合い始めた。とはいえ、私とゴブリン達以外には「キュー!!」としか聞こえていないのだろう。ただウサギ族達とマーブルとのやりとりにほっこりしているだけだった。約1名を除いてね、、、。彼には冥土の土産として我が領の思い出をプレゼントしてあげるとしましょう。


「では、出発しましょうかね。」


 私の号令の元、探索隊は移動を開始する。道中では私について行きながらも思い思いに行動しており、和気藹々とした感じだったが、クレオ君とパトラちゃんはウサギ達とじゃれ合いながらも、こちらに飛びついてきた。うん、モフモフ。と、ほっこりしているときにぼそっと話しかけてきた。


「フロストしゃま、あの、おじさん、何か嫌な感じがする、、、。」


「あのね、何て言ったらいいかわからないけど、何か嫌な感じなの、、、。」


 なるほど。2人も何かを感じ取ったようだ。いつもとは違って、不安そうにこちらに話しかけてきた。


「ありがとう、2人とも。気をつけておくよ。大丈夫だからね。」


「「うん!!」」


 2人もそうだけど、ギルド長と当のトンプソン以外は何かを感じていたらしい。とはいえ、それを表情に一切出していない辺りは流石だと思う。私はまだそこまではムリそうなので、あの2人には近づかないようにしましょうかね。ちなみに、ギルド長はトンプソン氏が腹に一物を持って同行していることに全く気付いていない。まあ、それは仕方ないだろう。ギルド長とはいえ、不毛な地であるトリトン帝国で、しかもこんなくそ田舎の場所なのだ。更に言えば、このギルド長は武闘派ではないので、こういったヤバイ人間を見たことがほとんどないのだろう。このギルド長自体は信用できる人物なので特に含むところはない。でも、トンプソン氏の正体を知ってしまうと驚くだろうなあ。


 そんなことを思いつつ、洞窟の入り口へと到着した。この洞窟はギルドでは「地獄の洞窟」と呼ばれているようだが、これからは「実りの洞窟」と名称を変えようと考えている。というのも、私達にとっては地獄でも何でもないどころか、ハチミツや牛乳、上質な肉など、お宝満載の洞窟だからだ。更に言うと、今のここのダンジョンマスターは私である。いじる気はないけど、いじろうと思えばいくらでもいじることができる。まあ、領民達にとっては「実り」を、許可無き部外者達にとっては「地獄」がもたらされることを考えると無理して洞窟の名前を定着させる必要もなさそうかな。


「さて、みなさん、これから「地獄の洞窟」とギルドの文献に書かれていた洞窟に入ります。全部で6階層となっております。最初の地下1階から「地獄」が待ち構えておりますので、心してかかりましょう。」


 私達は最近日課となっているので、いつも通りリラックスして入っているが、他のメンバーは少々不安そうに後ろを付いてきていた。入って一本道を進むと、最初にある何も無い部屋に到着する。何かいつもと空気が違っていたので、気配探知をかけると、次の部屋に2体の魔物の存在を確認する。いつもならば5体のはず、ということは、もうすでに合体済みで戦闘態勢に入っていると考えられる。しかも、敵意は私達にではなく、とある1名に向けられているのも確認できた。なるほど、豆柴達はやる気満々ですな。そうなると、2人のアイドル達にこういうものを見せるのは早いと思ったので、ここはマーブル達モフモフ隊はここで少し待ってもらいましょうかね。


「次の部屋で待ち構えている存在が2体いるね。嫌な予感がするので、マーブルとジェミニとライム、並びにウサギ達はクレオ君とパトラちゃんと一緒にここで待機しておいて。解決したら呼びに来るから。」


 ギルド長と1名以外は事情を察したらしく、ほぼ全員が頷いたが、異論を挟む者がいた。そう、トンプソン氏だ。


「俺は反対だぜ。見た感じこいつらだけだと危ない。心配なら俺もここで待機するぜ。」


「その心配は無用だ。見た目は可愛らしいけど、彼らは強い。特にそこにいるマーブルとジェミニ、それにレオは単独でドラゴンを倒せる位強いし、実際単独でも倒している。何も問題は無い。」


「ふん、どうだか。俺にはそうは見えないがな。」


「それは、お前の目が曇っているか、見る目が全く無いかのどちらかだ。それに、これは領主命令だ。お前は領主に意見できる立場なのか?」


「くっ、、、。」


 悔しさをにじませながら約1名は渋々頷く。だってね、お前の死に様をアイドル達に見せるわけにはいかないんだよね。それに、ぶっちゃけ、ギルド長を除けば自分が一番クソ雑魚ナメクジの存在だってことがわからないかなあ。


 先頭が私、殿をアインにして先に進む。進む先はもちろん、敵意(ごく一部に対してだけ)むき出しの2体の魔物のいる部屋。部屋の内部が見えるくらいまで進むと、その2体の魔物は部屋の出口付近で身構えていた。


 私を先頭に部屋の中へと入っていく。私達に対しては身構えてこそはいても、特に敵意をむき出しにすることはなかったが、ギルド長はその2体の存在に恐怖で震えていた。ちなみにゴブリン4人は、初めて見る地獄の門番と呼ばれる存在を珍しそうに眺めていた。彼らにも敵意がないことがわかっているのが大きいかな。やはりというか、なかなか入ろうとしない存在が1名。どうにかしてこの場から離れようとしたが、無慈悲な突き出しによって、それは儚いものであった。もちろん、突き出したのはアインである。


 約1名が部屋の中に入ると、2体の魔物はうなり声を上げてきた。約1名は絶望的になりながらもその2体の魔物の名前をつぶやいた。


「ケ、ケルベロスに加えて、オ、オルトロスとか、、、。」


 約1名はどうにかして逃げようとしていたが、残念ながらそれは無理な相談だった。


「トンプソンとかいったっけ? 逃げようとしても無理だよ。入り口が結界で封鎖されているからね。」


 何でも無いことのように告げてやると、驚きながらこちらに聞いてきた。


「お、おい、あんたは怖くねぇのか? ありゃ、ケルベロスにオルトロスだぞ!!」


「うん、全く。だって、あの子達、私達には敵意向けてないもん。あの子達が敵意を向けてくるのは、侵入者に対してだけ。」


「し、侵入者だと? あんた達も侵入者じゃないのかよ!!」


「ちがうよ。ここはフロスト領所有のダンジョン、「実りの洞窟」だからね。だから、それを知っているこの子達は私達には敵意を向けないわけ。でも、お前は違うよね。「暗殺者ギルド」所属のトンプソンさん。」


「!! 何故それを?」


「私達を舐めてもらっては困るね。この程度のことは見つけるのもたやすいんだよね。まあ、君らが何を考えているのかまでは理解できないけど、フロスト領にとって、君達は「敵」となる存在で間違いないよね?」


「そこまで知っているなら、俺たち暗殺者ギルドの恐ろしさも知っているだろう、、、。」


「いや、知らないし、どうでもいい。」


「ど、どうでもいいだと? 俺たちを敵に回してただで済むと思っているのか?」


「どうせお前レベルかそれに毛が生えた程度の存在が群れを成しているだけにすぎないだろ。ただで済まない? そっくりそのままお前達に返してやろう、と言っても、お前はここで朽ち果てるから伝わらないか。」


「ぐっ、、、。」


「まあ、お前達の存在なんて正直どうでもいいんだよね。でもさ、お前を送ってきたということは、こちらに対して敵対行動を仕掛けてきたということ。ということで、お前達の関係者は我が領内及び、何かしらの関係で接触状態になったら問答無用で排除となるから、そのつもりで、っていっても向こうには伝わらないか。」


 約1名は何か言いたそうではあったが、この絶望的な状況で言葉を発することができなかった。どうせこいつが戻ろうが戻るまいが、連絡が来ない時点で向こうには何が起きたかわかるだろう。


「じゃあ、時間が勿体ないからさっさと片付けますか。ということで、もういいよ、やっちゃって。」


「ま、まて! 待ってくれ!!」


 私は別に徳でもって治めるわけでもないし、聖人でも善人でも何でも無いからねえ。私の楽しい生活の邪魔をするやつは問答無用で排除するだけ。彼の声は虚しく響くだけでケルベロスとオルトロスの餌食となって終わった。獲物を仕留めた2体の魔物はこちらに飛びついてきた。ギルド長が「あっ!!」と声を出すが、大丈夫です。この子たちは「褒めて褒めて!」とじゃれついてきただけですから。うん、モフモフ。


 さてと、邪魔者も片付いたところですし、前の部屋で待っているモフモフ達を呼びにいきましょうかね。先はまだまだあるんですから。





いつもご覧頂きありがとうございます。もしお気に召して頂けましたら、評価や感想などを頂けますと大いに励みになります。また、ブクマ登録や誤字脱字のご指摘なども随時お待ち申し上げております<(_ _)>。

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