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第53話 さてと、たまにはまったりと過ごしましょうかね。

今回は息抜きということで、短めの内容となっております。この話の基本に立ち返ったような気持ちです。

 久方ぶりのマーシィさんとの戦闘は非常に熱い戦いだった。いつものマーシィさんだったら、手出しこそすれども、ダメージ自体は微弱だったり、普通の戦闘に耐えられない程度の相手であれば、すぐにやられて経験値を稼がせてレベルを上げさせたりと、相手に何かしらの手心を加えるのだが、今回の戦闘は全く異なっており、一撃一撃がヤバイレベルのものであり、まともに喰らった時点でこちらが負けるほどの威力だった。幸いにも動きに影響しないギリギリのところまで軽減できていたが、あれ以上喰らうとアッサリ負けるところだった。とにかく、勝ててよかった。勝利の証しとして、いつもの手紙と銅貨1枚が残されていた。私はそれらをありがたく回収し、早速手紙に目を通した。


 手紙には、自分をこういった目立つ場所に移動させてくれたことによる感謝が最初に書かれており、その次あたりにようやく、自分の全力状態に勝ったことを褒める内容だった。これまた久しぶりの手紙の内容に懐かしさを感じた。実際にはまだ1年経っていないにも関わらず、そう感じてしまったことに日々がどれだけ充実しているかを再確認してしまう。これは主にマーブルを始めとした小さい家族がいてくれたことが大きい。ちなみに、アドバイスとしては、水術を含めた戦術について触れていたが、あんな状態でそんなことできるかい、と思ってしまった。


 手紙を読み終えて、周りを見ると、見ていた全員が驚きの表情をしていた。マーブルとジェミニですら驚いていたことに驚いた。マーブル達って、驚くとあんな表情になるんだと初めて見る表情とは言え可愛くてしょうがない。


 周りの全員が驚いているが、それぞれ驚く内容が異なっていた。ゴブリン族のみんなは、マーシィがまさかあれほどの攻撃力を実際には持っていたことに、人族と獣人族の領民達、並びに訓練に参加していた冒険者達はアイスとマーシィの戦闘の激しさに、アイスの強さを知っているマーブルとジェミニとライムと戦姫のメンバー達は、アイスがダメージを喰らったことに対して、、、。


 マーシィさんとの戦闘が終わってしばらくすると、周りのみんなはようやく我に返ったようで、引き続き訓練の続きを行い始めた。アンジェリカさん達と話を少しして訓練場を後にした。ちなみにその時にタンヌ王国のダンジョンで会った魔族について思い出したので、その後のことを聞いてみると、私が去った数日後には魔族の国から迎えが来て問答無用で連れ帰ったそうだ。当人はもの凄く嫌がっていたそうだけど、有無を言わせず魔導具で完全に拘束したそうだ。あ、一応正式な手順を踏んでいたそうなので、外交上全く問題なかったとのこと。まだいたら、こっちに呼んでこき使おうかと思ったけど、いないのなら仕方がない。まあ、どうしても必要というわけでもなかったし、ある意味これでよかったのかも知れない。アンジェリカさん達は、この後マーシィさんとの戦闘訓練を行うそうだ。


 訓練場を出て、建築途中のフロスト城を改めて見ると、日に日に1階部分が広がっている気がした。建築の監督をしている大工に聞いてみると、まだまだほんの一部でこれからさらに広がっていくそうだ。ちなみにいつ完成するのかと聞くと、わからないという返事が来た。日に日に作りたい部屋が増えているらしく、まだまだ足りないそうだ。某欧州の桜田なんとか(敢えて漢字で表記してます。誤字じゃないよ。)じゃあるまいし、彼らは何を望んでいるんだろうか、、、。まあ、アマデウス教会を利用させてもらっているから外交関係もどうにかなるのかな。


 周りを見回ってみると、少し違和感を感じた。ウサギ広場では、ウサギ達と領民の子供達が遊んでいる、建築班はフロスト城の建築と住宅地の建築に分かれて作業をしている、うん、いつも通りの光景だな。しかし、何かが足りない、、、。あ、いつもいるはずの造成班がいないんだ、ということは作業場で何かをしているということかな、よし、覗いてみようということで、作業場へと足を運ぶ。


 作業場へと入ると、造成班のほぼ全員が、いくつかの班に分かれて作業していた。私に気がつくと、作業を止めて挨拶してくれたが、そのまま作業を続けるように伝える。邪魔しに来たわけじゃないからね。道具を作りながら、あーでもないこーでもないとゴブリン族と意見を交えながら作業していたりした。どちらも優れた職人達だから、このままいい感じで発展していって欲しいな。


 その中で、ゴブリン族が説明をしながら皮の加工方法を教えていた。ここにいる人族や獣人族の造成班の領民達は、ウサギ達やウルフ達のような比較的加工しやすい毛皮は普通に、オーク達のようなやや硬めの皮についてはかろうじて加工できるくらいだったが、それ以上の硬さでは加工できなかったが、ゴブリン族が加わったことにより、オーガ以上の硬さをもつ素材も加工できるようになってきているらしく、今はその習得に力を入れているようだ。他の国や都市では比較的品薄らしいオーガの皮だけど、ここでは馬鹿みたいに余っているからしっかりと練習して技術を上げていって欲しいと思う。何せ彼らはドラゴンの素材も加工できるからね。


 いい感じで作業や技術交流や技術革新が進んでいることに満足して作業場を後にした。道中で屋台があったので、少し寄っていくことにした。


「おう、アイス様じゃねえか。久しぶりに食べていかないか?」


「あ、おっちゃん。そうだね、一つ頂くとしますか。ところで、今日は何の肉かな?」


「今日はオーク肉だ。食べ慣れていると思うが、今日は俺特製のタレだぜ。」


「おお、特製のタレか、いいねえ、じゃあ、4本頼むよ。」


 そういうと、マーブル達は喜んでいたので、私の分を含めて4ついただくことにした。


「ほら、できたぜ。今回のタレは少しいいやつを使っているから4本で銀貨1枚だ。」


「了解、じゃあ、銀貨1枚ね。」


「まいど、おおそうだ。トリニトから仕入れたオーガジャーキーがあるんだが、よかったらどうだい?」


「おお、オーガジャーキーか、久しぶりだな、それも頂きましょうかね。これも銀貨1枚分で頼むよ。」


「まいど。本当なら領主様からお金を頂くわけにはいかないが、そうしないと受け取ってくれないからなあ。」


「そりゃそうだよ。一応領主だけども、トリニトにいたときからおっちゃんの屋台の常連客の1人だよ。今更領主だからとかそういったものは無しで頼むよ。」


「そういうもんかね。そういや、トリニトでもアッシュ様も今までは屋台に来ないどころか、来ても領主だからと金は払わなかったけど、今じゃこまめに顔を出してはしっかりと金を出して買ってくれるんだよな。俺らにしてみれば、領主御用達ってことで宣伝にもなるから代金をもらうのが申し訳ないんだけどな、、、。」


「おっちゃん達からしてみれば、そうかもしれないけど、アッシュは知らないけど、私は1人のお客という認識でここに来てるからね。」


 オーク串を食べながら話していると、マーブル達はすでに食べ終わっていたようだ。味についてだが、流石は特製のタレだ。材料が想像つかないのでここでの再現は難しい。まあ、仮に真似できても通常の食事では出さないけどね、何せ、おっちゃんの特製だからね。


「ごちそうさま、おいしかったよ。」


「ミャー!」


「キュウ!」


「ピー!」


「おう、アイス様だけじゃなく、お前らも満足してくれたか。ありがとう、また来いよ!」


 こんな感じで屋台巡りを楽しんだ後、今度は畑に向かった。いくら領内とはいえ、畑は離れた場所に作ってあるのでのんびりと移動せずに水術で高速移動だ。


 畑に到着すると、畑の領域が増えていた。水の魔導具のおかげで今まで広げられなかった領域まで広げることができたとアインが話していた。また、川などの水が大量にある場所に水の魔導具を設置すると効果が高くなるらしく、それらの魔導具はそれぞれ川の近くに設置しているそうだ。そのため、見た目には川から水を引いているように見えるが、実際には川からはほとんど水を取り入れたりはしていないそうだ。そういった細かいところはノータッチだったのでそのとき初めて聞いた。


 畑の作物についてだが、種類も量も順調に増えているらしく、特にゴブリン族が新たな種類の種を見つけてくれているらしく、これからが楽しみとのこと。畑には数体のウサギ族がシロツメクサの畑で遊び回ったりしているようだ。運のいいことに、この世界でのシロツメクサはここの気候のおかげで一年中放っておいても育つようで、手を加えなければ数年はそのままでいられるそうだ。ちなみに、フロスト領内では、収穫を終えた区画にこれを植えて土地を休ませ、シロツメクサの生えている区画を耕して肥料にしてから次の作物を植えるといった感じのローテーションを組んでいくようにしている。といっても、まだ一年すら経っていないからどうなるのかは今後に期待かな。


 こうして一通り領内を見回って領主館へと戻り、マーブル達と夕食を摂り、ねぐらに転送して風呂と洗濯を済ませて寝る、といった感じで一日が終わる。今の領主館は、ウルヴやアイン、ラヒラスの3人は別の場所に引っ越したのでここにはおらず、私達の他には、フェラー族長とカムドさんが1日ずつ交代で寝泊まりしている状況だ。ちなみに、彼らにもそれぞれ邸宅を用意しているので、こちらに泊まらない日はそれぞれ自分たちの邸宅で過ごしている。


 こんな感じで一日は過ぎていく。

いつもご覧頂きありがとうございます。もし、お気に召して頂けましたら評価や感想を頂けると幸いに存じます。また、ブクマ登録や誤字脱字のご指摘なども随時お待ち申し上げております。

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