第47話 さてと、開発は順調に進んできてますね。
癒やし成分を少し増やしましたが、あくまで少しです。今後たまに出番はあるかも、、、。
教会が完成し、アマさん直々にこちらにやってきて加護をくれたが、実際にはどうなったのかちょいと鑑定をして確認してみますか。えーと、項目的には『アマデウス教会』と『アマデウス像』、それに『水』となっているな。ではでは、どんな感じかな、と。
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『アマデウス教会』・・・ワシの教会を作ってくれてありがとうな。約束通り不壊状態にしておるからの。多くのものからの祈りによる報告を待っておるぞい。
『アマデウス像』・・・ワシそっくりに作ってくれて嬉しいぞい。ただ、落書きとかは勘弁して欲しいかの。特に鼻血とかそういったものは個人的には面白いと思うが、周りはよく思わんから控えてくれ。
『水』・・・無限沸きにしておるから、水路を広げて各家庭に行き渡らせたり、町の発展に大いに役立ててくれると嬉しいぞい。あ、しまった。不壊状態にしておるから、構造の変更ができないの。困ったのう、、、。そうじゃ。一カ所水場を領内に作ってくれれば、その場所でも無限沸きにしておくぞい。それと、お主が領民と認めた者に関しては、「フロスト領の領民」という称号をつけておくからの。その者達に関しては、約束通り、お主のねぐらの湧き水と同等の質を保証するぞい。
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なるほど、こんな感じになったのね。これで生活用の水に関しては問題なくなったな。あ、しまった。畑に使用する水もあれにできないか聞くのを忘れた。それと、温泉が欲しいかなあ。いい観光施設になると思うんだけど、これも今度聞いてみるとしますかね。
一応、領民には像の前で祈れば、どの神様に祈ってもかまわないことは伝えてあるけど、念のため張り紙というか、そういったものを用意しておきますかね。これからのことを考えると、ここを訪れるのは領民ばかりとは限らないからね。当人にも話したとおり、神官は置かない方向で。
そんな感じで、冒険者ギルドとアマデウス教会は無事完成した。スタンピードで狩った魔物の解体もなんとか終了、数が多かったので、手伝った者達の多くは解体技能を手に入れたり、解体スキルの向上に大いに役立ったと思う。冒険者ギルドの方では、支部としての機能をトリニトからフロストに移せば完了らしい。機能の移転について気になったのでギルド長に聞いてみた。
「機能を移すのってかなり大変じゃないの? そのままにしておくのは無理?」
「はい、機能を移さないと、素材の買取りに関するものが大変になります。詳しい内容についてはギルドの機密に関わることですので多くは話せませんが、簡単に申しますと、各ギルド間でモノの遣り取りを行っておりまして、そのおかげで素材とお金の遣り取りを輸送することなくできるようになっているのです。」
「なるほど。ということは、トリニトがいきなり発展できたのも、その機能のおかげなのかな?」
「左様でございます。数日でお金が回り出したのは、ここを動くことなく、素材とお金の遣り取りができるからです。」
「ほうほう、この場を移動することなく素材を送ったり、お金を受け取ったりできるのは凄いね。確かに、面倒だけど機能を移転させないといけないわけだね。でも、そうするとトリニトの冒険者ギルドはどうやって遣り取りするの?」
「それについても問題ありませんので、ご安心を。」
「まあ、部外者があれこれ言っても仕方ないね。」
「フロスト伯爵が部外者と言っていいかどうかは何とも申せませんが、、、。」
「いや、ギルドには所属してないし、部外者でいいんじゃないかな。正直、素材を適正な値段で買い取ってくれて、フロスト領の発展に寄与してくれさえすれば、そんなことは些細なことだよ。」
「ありがとうございます。私は聞いたことがあるだけで体験したことはないのですが、機能の移転を行うときに何かと言ってくる領主は結構いるみたいです。」
「・・・正直、どこをどう口出すのかわからないけどね。どうせ、その魔導具を自分で使いたいだけなんだろうけど。」
「フロスト伯爵は、そういったものに興味はないので?」
「私自身は、マーブル達と日々楽しく過ごすことが最優先だからね。」
「なるほど、マーブルちゃん達と日々楽しく過ごすですか、気持ちは大いにわかりますね。」
「そいういうこと。話は戻るけど、フロストに機能を移転するということは、買取などの業務はもう少し先になりそうかな?」
「申し訳ありませんが、そうなってしまいますね。急遽お金が必要であれば先にお渡ししますが?」
「いや、そっちは機能移転が完了してからで問題ないよ。ただ、日持ちしない素材はどうするのかなと。」
「あ、なるほど。そちらについては問題ありませんので、ご安心下さい。」
「そう、それなら特にこちらから言うことはないかな。そういえば、機能移転するために護衛とか必要?」
「そちらは問題ありませんので、フロスト伯爵は通常通りの業務にお戻り頂ければ結構です。」
「そうか、じゃあ、それまでのんびり待つことにするよ。」
「いやいや、数日で済みますので。」
1週間後、ギルド長から連絡があり、無事ギルドの機能移転が完了したとのこと。これで、フロスト領で本格的に冒険者ギルドの業務を開始できるようだ。とはいえ、トリニトで頑張っている冒険者はそのまま向こうで頑張るらしいので、こちらに所属している冒険者が現在いないみたいだけどね。そのうち来てくれるでしょう。
そうしている間にもフロスト領は少しずつ開発が進んでいる。現在は建築班が住宅地を増やしており、造成班が領主館を中心に街道を整備している最中である。農業班の方でも狩り採集班が集めてくれた種などを植えたりして耕作地域は広がっていた。それに伴ってシロツメクサの範囲は狭くなってきていたが、野ウサギ族曰く、1区画あれば問題ないとのことだったので、その言葉に甘えて耕作範囲を広げているようだ。
また、作物の収穫も順調で、特に小麦と大麦の収穫量が特に増えてきており、今の人数なら余裕で魔物の肉に頼らずとも、十分に食料を賄えるくらいまでになっている。ただ、川の水が少し心許ない感じになってきており、その辺をどう解決していくかが悩みの種かな。
話は元に戻るが、アマデウス教会からもたらされる水のおかげで、領民達の健康状態や衛生状態は極めてよくなってきていた。その噂を聞きつけたり、領民の親戚や知り合いなどが、少しずつフロスト領に移住するようになってきていた。幸いにも問題のありそうな者は来ておらず順調に発展しているのを感じた。その移住者の中には、宿を経営していたり、店を構えていた者もいたので、引き続きこちらでも宿や店をやってもらうことにより、ようやく町としての第一歩を踏み出せるようになった。
それに伴って、フロスト領に寄る旅人や行商人、冒険者なども少しずつ来るようになっていった。あ、スタンピードで得た素材を卸した分の金額だけど、金貨5000万枚とのことだった。その大半は地龍の素材だそうだ。地龍か、、、あと7体いるんだけど、どうしようかと相談したところ、値崩れしないように少しずつ卸すことになった。私の空間収納は時間停止も含まれているからそれで問題ないかな。
しばらく開発が進んでいるが、それと並行して行っていることがある。そう、領主館の改築だ。私自身は必要ないと思っているけど、領民達がやりたがっていたので、止めることができなかった。大工達はおろか、ウルヴ達直臣だけでなくマーブル達もやる気になっているのだから、水差せないでしょ。私の知らないところでいろいろと話し合っているらしい。どちらにしろ時間がかかるそうだ。ちなみに、領主として会談するときは館の客室とかではなく、アマデウス教会にある会議室や神官室を使っている。いや、こうでもしないとあの部屋って誰も使っていないんだよね。ってか、宮殿みたいなものを作るよりも、そっちで十分じゃん、と思うけどみんなは納得しないらしい、解せぬ。
それと、地味にウサギの広場を含めた公園の範囲が大きくなっていた。領民だけでなく、一時客達からも野ウサギ族は大人気であり、一部の冒険者は恐れて近づかなかったが、領民達がウサギ達と戯れているのを見ると恐る恐るではあるがモフモフを試し、あっさりと陥落していった。うん、モフモフは正義だね。
今のところモフモフ、じゃなかった、野ウサギ族は12体しかいないので、これを機に増やすのもアリかな。候補としてはファーラビットや一角ウサギなどのウサギ族かな。ウサギ族なら、野ウサギ族達の言うとおりにするだろうから、すぐに馴染んでくれそうだし。
他にはやはりモフモフの定番であるネコと犬ははずせないだろう。とはいえ、領内には通常のネコと犬はいないし、仮に魔物をペットにするとしても、癒やしとなる種類については全く把握していない。これについては行商人やギルドから話を聞く必要があるだろう。
この件についてレオ達、野ウサギ族に話してみると、少し考えた様子があったが、すぐに頷いて数日待って欲しいとのことだったので、数日待つと、野ウサギ族の1体がファーラビット10体、一角ウサギ5体に加えてベリーラビットという頭に果物をくっつけたような特殊な種類のウサギ4体の計19体を連れてきてくれた。レオ曰く、この子達とは話がついているらしく、その日から領内のペットとして活動してくれることとなった。これについては領民達は大喜び。特にクレオ君やパトラちゃんを始めとした子供達は早速モフモフし始めた。冒険者達も最初は身構えたが、子供達の様子にガマンできなくなり、彼らもモフモフし始めてしまった。
こうして、まだウサギ達だけだが、モフモフという癒やしが増えたことにより、治安がさらに良くなっていくのを感じた。それと新たに来たウサギ達だが、一部は野ウサギ族に率いられて狩り採集に向かう者もいた。強くなって領内の治安に貢献してくれるのは嬉しいけど、無理して怪我したりしないようにね。
順調に開発が進み、領民も増え、モフモフも増えていい感じで時が流れているところに、ギルド長が慌てた様子で面会に来た。
「フロスト伯爵、緊急事態です。ゴブリン達の群れがこちらに向かって来ています。その数約50。」
「ゴブリンの群れ? 先日のスタンピードで500体くらい倒したけどまだいたんだ。」
「伯爵、問題は数ではありません。通常のゴブリンではないのです。ゴブリンエンペラーがおり、ゴブリンキングクラスが4体、その他のゴブリンも普通の強さではありません。何よりかなり統率が取れております。対策をお願いします!!」
ほう、強い種類のゴブリンね。先日のゴブリン達では物足りなすぎたからねえ。
「ギルド長、どの方角から来ているかわかる?」
「はい、西の森からです。あと2日くらいの距離だそうです。」
「なるほど、報告ありがとう。こちらで対策を取るからもう大丈夫だよ。安心して通常業務に戻ってね。」
「いや、フロスト領では、狩り採集しか今のところ依頼ないじゃないですか。どう通常業務に戻れと?」
「そうだったね。じゃあ、数日はゆっくり休んでくれればいいよ。あ、他のギルドには連絡しなくていいからね。こちらでどうにかできるから。というより、連絡禁止ね。いろいろ面倒そうだから。」
「承知致しました。では失礼します。」
「うん、報告ありがとうね。」
さてと、約50体か、私とマーブル達だけでお釣りが来るかな。そう考えてマーブル達を見ると、マーブル達は嬉しそうな感じだ。でも、この嬉しそうな感じは戦いに関する嬉しさじゃないな。何だろう? あっ、まさか。私の考えが正しければ、これは嬉しいイベントだ。まずは実際に会ってから判断しましょうか。
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