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第42話 さてと、後処理その1です。

おかげさまをもちまして、総合評価が500ptを超えました。大物作者さんから見たら微々たる数値かもしれませんが、私にとってはかなり大きなものでございます。これからもご愛読いただけましたら幸いに思います。

 スタンピード後の報告会も終え、フロストの町も落ち着きを取り戻しつつある。その中で比較的手の空いていた造成班と採集班と子供達で袋に入れてあったゴブリンの素材を献上用のマジックバッグ化した大袋に入れる作業をやってもらっていた。ラヒラスが移し換えるやり方を説明しており、作業は順調に進んでいた。中でも子供達は面白がってやっており、特にクレオ君とパトラちゃんは特に楽しそうにやっていて、それを見ていた周りの人達もほっこりとしながら作業は行われていた。馬鹿みたいにあった袋が見る見るうちに数を減らしていて、この分だと明日、明後日には終わってくれるだろう。


 トリニトの町から冒険者ギルドの職員に来てもらって素材の買取を頼んでおり、彼らが素材を大量に捌くことによって、ここフロストの町もある程度知られるようになって、いずれは住民も増えてくれたらなあという思いが強かったりもする。取らぬ狸の皮算用みたいなもので、本来なら避けるべき事ではあるけども、今はこれ以外では人が来ることは無いだろう。


 何せここフロスト領はほぼ一から開拓、そして開発している状態なのだ、そもそも存在すら知られていない状況であり、まして不毛な地で有名なトリトン帝国に属しているのである。基本的に誰が好きこのんでこんな辺鄙なところに住みたいと思うのか、というものである。


 こちらとしても、別にここを大都市にしようとかそういったことは全く考えていないが、せめて一都市として普通に機能するくらいには人が増えて欲しいと思っているくらいかな。平和にゆっくりと発展してくれればとは思うが、それも許されないくらい人がいないのが現状だ。特に文官や諜報員は即戦力で欲しい。そうしないと、マーブル達と遊ぶ暇がなくなってしまう。それだけは避けないと。


 こんなことを考えたりしていた2日後、大きめの馬車が数台フロストの町にやってきた。ついに待ちに待った冒険者ギルドの職員が来てくれたのだ。来てくれたのはギルド長他10名で、解体班も一緒にやってきていた。


「アイス様、いえ、フロスト子爵とお呼びした方がいいでしょうか。お久しぶりです。」


「ギルド長が自ら来てくれるとは思わなかったよ。呼んでしまって申し訳ない。わざわざ来てくれてありがとう、とても助かるよ。あと、今まで通りアイスと呼んでくれればいいけど、その辺は好きに呼んでくれて構わないよ。」


「とんでもない、スタンピードと聞いてこちらとしては生きた心地がしませんでしたが、幸いにもフロスト子爵のおかげで無事解決したばかりか、大量の魔物の素材をこちらに卸していただけるなんて、こちらこそ感謝しかありませんよ。」


「そう言ってくれると、こちらとしてもありがたい。早速だけど、確認してくれるかな? 数が多いからどちらにしても時間が掛かると思う。どうせ時間がかかるのだから、ゆっくり茶とか飲みながらでも仕事してくれればいいから。」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせて頂きます。」


 ギルド長と話をしている間に、別の馬車が到着すると、馬車が止まるのももどかしく1人降りてきてこちらに駆けてきている。アッシュだった。アッシュはこちらに来ると開口一番こう言ってきた。


「兄上! ご無事で何よりです! けど、水くさいですよ!! 何故私達を頼ってくださらなかったのですか!!」


「おお、アッシュか、元気そうでよかったよ。頼るも何も、お前はトリニトを守る義務があるじゃないか。」


「そうですが、どうせなら私は兄上と一緒に戦いたかったです!」


 アッシュとこんな感じで会話をしていると、数名の兵士がこちらにやってきた。いつもアッシュと行動していた取り巻きの兵士達だった。


「アッシュ様、勝手にお一人で動かれては困ります。おっと、ご挨拶が遅れました、アイス様、いえ、フロスト様、お久しぶりでございます。それに、マーブル、ジェミニ両教官もお久しぶりでございます。」


「ミャア!」


「キュウ!」


 兵士達がマーブル達に敬礼すると、マーブル達も敬礼でそれに応えた。そのやりとりにホッコリとしながら私も彼らに応えた。


「久しぶりだね、修行は今でもしっかりとやっているかな?」


「もちろんです。今では私達も1人でオークを倒せるようになりました。我らだけでもオーガ数体なら倒せるようになりました!!」


「おお、君達もかなり強くなったんだな。この調子で冒険者ギルドと一緒にトリニトの町をしっかりと発展させて欲しい!!」


「有り難きお言葉。今は我々だけで無く、トリニトの兵士達全員がしっかりと鍛えております。」


 そうやって軽く挨拶した後、彼らも案内する。改めてこちらに来た人達を確認すると、冒険者ギルドからは11人、アッシュとその護衛達で6人、その他には大工たちや屋台のおっちゃん達も来ていたのには驚いた。

大工達はトリニトでの建築がある程度落ち着いたので、仕事を求めてやってきたそうだ。屋台のおっちゃん達は久しぶりに私の顔が見たくなったそうだ、これは純粋に嬉しい。


「アイス様、いや、フロスト子爵様と呼んだ方が良いか。俺らも研究を重ねてさらに上手くなった料理を食べてもらいたくてやってきたぜ。」


「わざわざありがとう。でも、今は君達に支払う金ってないけど。」


「フロスト様のおかげで俺らもかなり生活に余裕が出てきたから、それは気にしなくて良いぜ。それに新作を試食してもらいたいから来たんだ。金なんてもらえねえよ。まあ、どうしてもと言うんであれば、少し肉をわけてくれれば十分だ。」


「なるほど、それなら気にせず食べられるな。折角だから領民達にもその腕を振るってあげてよ。肉は十分すぎるくらい用意できてるから。」


 そんなことを話しながら案内していく。ちなみに領主館ではいろいろと不便なので建築班に頼んで広い建物を領主館の近くに作ってもらっており、そこにみんなを案内した。ほぼ突貫工事のような状況ではあったが、最低限の機能や頑丈さはあるつもりだ。一応その旨を伝えたけど、大工達は素材が贅沢すぎると文句を言っていた。いや、ここには魔樹しか材料ないから仕方ないよね。みんな揃ったところで挨拶をする。ちなみにみんなというのは、トリニトから来た人達のことであり、フロスト領の主要人物達は私とマーブル達以外は誰1人としていない。彼らは夕食の時に顔見せを兼ねた挨拶をしようと思っている。


「改めて、フロストの町へようこそ。私達は君達を歓迎する、といっても、フロスト領の領民は今私達しかいないけどね。」


 トリニトから来たメンバーでは代表としてギルド長がそれに答えた。通常ならアッシュなのだろうが、当の本人は領主である父上に無理を言って一客人としてここに来たらしいから、代表は自分ではないと思っているようだった。


「いえ、フロスト子爵自らの案内やご挨拶にむしろ恐縮しております。それにしても、何も無いところでしたのに、こんな短期間でよくもここまで作り上げたものです。聞くところによると、畑も作ってしまったとのこと、私達はただただ驚くばかりですよ。」


「いや、そう言ってくれるのは嬉しいけど、いかんせん人がいなくてね、何をするにも不便しているのは事実なんだよね。まあ、それはそうとして、今日は倒した魔物の確認など最低限のことはしてもらうにしても、長旅で疲れているだろうからゆっくりして欲しい。予想よりも大人数で来てくれたけど、宿泊スペースは何とか全員分用意できていると思う。そのまえに昼食からかな。今用意しているところだからお茶でも飲んでくつろいでいて欲しい。」


「ありがとうございます。今日はお言葉に甘えさせてもらいます。」


 挨拶が終わった後、昼食の準備ができたとのことだったので、広場あたりで昼食会を行った。トリニトから来た人達は獣人達を見て驚いていたが、すぐに打ち解けた様子で安心した。正直アッシュや衛兵達は獣人達に対して侮蔑する感情など出てきそうな気がしていたが、全くそんなことはなく、むしろ積極的に交流していたのには驚いた。特に物怖じせずいろいろ話しかけてきたクレオ君とパトラちゃんにメロメロなくらいだった。


 昼食が終わった後は、ギルド員達は倒した魔物の確認作業に入ってもらった。トリニトから来た面々はそれぞれ思い思いの場所へと移動していた。アッシュ達はお気に入りになったクレオ君とパトラちゃん含む子供達と一緒に遊んだりして、屋台のおっちゃん達は食事班と一緒に夕食の準備を手伝うそうだ。アッシュの護衛達は採集班と一緒に森へ出かけていき、大工達は建築班と一緒に家を建てるそうだ。どうせならということで、領主館の改築を検討するそうだ。意外と使い勝手悪かったからね、今もほとんど対応できてないし、、、。


 先程の大きな建築物へと行く。どうせ、これ終わった後解体するから仮施設とでもしておきますか。その仮施設の4分の3を占める広い場所で、狩った魔物を入れた袋を出していく。それを見たギルド職員達は唖然とする。


「ス、スタンピードとはいえ、凄い袋の数ですね、、、。」


「数も凄いが、これ、全部マジックバッグだよ、、、。」


「フ、フロスト様、これだけの数ももの凄いのですが、念のため伺いますが、ここでの被害はどれだけになりますか、、、?」


「被害はほとんどないかな。戦闘部隊に少し切り傷があるくらいじゃないかな。町の外で迎撃したから、フロストの町自体に被害は無いよ。まあ、ここで籠城なんてできないから迎撃しか選択肢はなかったけどね。」


「え? 町の損害は皆無ですか? しかも戦闘員の被害が怪我だけ?」


「そうだよ。うちの戦闘員は優秀だからね。」


「いや、優秀とかそんなレベルじゃないと思いますがね。」


「まあ、そんなことより、まずは数を確認して欲しいな。」


「は、はい。」


 ギルドに卸す魔物の数を確認してもらう。とはいえ、今日は袋からは出さないようにした。というのも、このマーブルが付与して完成したマジックバッグは、そこに入っている種類などを袋から出さなくても確認できる優れものだからだ。容量は10メートル立方とマジックバッグとしては小さいが、時間経過しないし、先程も言ったように中身を袋から出さずに確認できるのは凄い。あ、そういえば、報告会といっておきながら、オーク以外の魔物の討伐数はほとんど確認していなかったな。まあ、いいか。どうせここでわかるんだし。


 集計中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・集計完了。


 集計結果


 ・オーク      ・・・ 150体


 ・オークリーダー  ・・・  17体


 ・ワイルドボア   ・・・ 107体


 ・ビッグボア    ・・・   1体


 ・マーダーディール ・・・  88体


 ・オーガ      ・・・  93体


 ・オーガウォリアー ・・・  25体


 ・トロール     ・・・  54体


 ・地龍       ・・・   1体、ただし6体保管


「な、何でドサクサに紛れて地龍がいるんだーーーーーー!!」


 あ、何かギルド員が叫んだ。


「いや、おかしいでしょ? これだけの数倒して、しかもAクラスはおろか、Sクラスまでいて、それで多少の傷で済んでいるなんて、、、。」


「とはいってもねえ、倒した結果がこの数なんだから、現実を受け入れようよ。」


「いや、フロスト様、そういう問題じゃ無いんですがね。」


「それよりも、わかっていると思うけど、すぐに全部換金しなくてもいいから。総額がどれだけになるかを教えてくれればいいよ。ああ、預け金でお願いすれば良いかな。」


「まあ、それはこちらとしても助かりますけど、これって全部終わるのどれだけ掛かるんだろうか、、、。」


「その辺は無理しなくてもいいからね。トリニトで優先すべき仕事があったらそっちを先に済ませてもかまわないから。」 


 ギルド員達は嬉しさ半分、これから起こる激務に憂鬱半分といった感じで考えているようだ。ギルド長、仕事してくれるギルド員達に特別ボーナスでも与えて上げてね。


 よし、素材の処理などはこれで何とかなるな。あとは、ゴブリンの袋詰め替えが終わったら、帝都へと行きましょうかね。戦勝報告と『お礼』にね。あと、フェラー族長を迎えに行かないとね。いや、フェラー族長は領内で頑張ってもらいたいから、明日にでもリトン伯爵の所へ行ってこっちに戻ってきてもらいますかね。族長、もう少し頑張ってくださいね。


普段よりこの作品をご覧頂き誠にありがとうございます。もしお気に召して頂けましたら、評価や感想などを頂けると嬉しく思います。また、ブクマ登録や誤字脱字のご指摘なども随時お待ちしております。

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