第201話 さてと、強制労働させられました、、、。
前回のあらすじ:天○っぽいスープになったので、ラーメンを作ってみた。
「私が、トリトン帝国フロスト領領主、アイス・フロスト侯爵である!!」
・・・某塾の塾長さながらの自己紹介を心の中で叫んでみました、、、。
私が何故、このような自分の立ち位置を確認したのか、と申しますと、今の状況にあります。
今現在、私が何をしているのか、というと、昨日の晩ご飯で作ったラーメンもどきを今日も作らされておりまして、、、。といいますのも、何故か昨日新しいモノを作ったことを嗅ぎつけられまして、今日の朝に愛しの我が猫達と朝食が済んでから一緒にまったりモフモフ楽しんでおりましたところ、襲撃を受けました。抵抗しようにも、相手は我が国での権力者3人に加え、人気、人望においての上位3人の計6人からの襲撃では私ごときでは抵抗すら出来ない状況なのでした。
こんな状況ですので、領民達に知られない訳がなく、諦めて仕込みに入っているところなのですよしかも外ですよ、いつものウサギ広場ですがね。新しい料理ということで、料理長以下料理自慢の領民、例えば、宿屋やギルドで食事を作っている者や、屋台を営んでいる者達がものにせんと手伝ってくれていることが幸いです。でないと、ほぼ1人で100人以上、いや、領外から来ている人達も含めると200人くらいになるのか、どちらにしろかなりの量を用意しなければならないところでした。
いや、材料は余裕で揃っているんですよ、材料は。問題は、こんな人数分を1人で作れるかい! ということですので、やはり人手というものは大事なんですよ。とある有名な将軍が言ってたじゃないですか、「戦いは数だよ、兄貴!!」とね。料理もある意味戦いなんですよ。
では、具体的には何を手伝ってもらっているかといえば、ズバリ麺です。他の国を探せばあるのかもしれませんが、少なくとも我が領には製麺機という文明の利器の結晶は存在しないので、自分たちの手で作るしか方法はないのです。・・・おい、そこで楽しそうに見ているラヒラス、お前、笑っていられるのも今のうちだからな、、、。後でラヒラスをコキ使って製麺機を作らせようと考えながら、料理担当の領民達に麺の作り方を指導しているところです。
そういえば、製麺機こそないけど、我が領にはうどんが普及してたっけな。いやに飲み込みが早かったから少し不思議に思っていたけど、そのときに製麺機作らせればよかったな。いや、あの時では不可能か。何せ戦姫から教わるという名目での接触があったから、製麺機なんて作らせようと思っても無理だったな。今回は戦姫は食べる側だから受け入れられるだろう。
あ、卵は大丈夫なのか? そんなことを思い、コカトリス達を見てみると、自分たちの卵がどんな感じで使われるのか興味津々だ。あ、そうですか、増産余裕ですか、流石ですね、、、。
とりあえずキレイに一塊になりました。みんな上手だね、流石だ。次に寝かす作業だけど、私達の分だけならば水術でどうにでもなるけど、領民達がこれから自分たちで作るとなると、いつも私がそのために水術を一々使うのはよろしくない、というか、そんな余裕はない。ということで、空きの壺を用意してもらってそこに入れたら蓋をして休ませることにした。いや、ビニールもないし、これしか方法がないんだよね。
生地を休ませると同時に、それらを作った本人達も休ませた。その間にスープの素であるスカルワイバーンの煮込み状態を確認しに行った。スープに関しては今回は私だけで行う予定だ。別に教えたくないとかではなく、スカルワイバーンの骨の煮込みで少し試したいことがあったからだ。いろいろと調べながら味見をしていくので、一々領民達に味見をしてもらっては、時間も足りなくなる上に、そのスープ自体も食べる前に無くなってしまうかもしれないからだ。
昨日の段階で何となくわかったのは、煮込む時間によって、鶏ガラ→鶏白湯?→天下○品という状態になるのだけど、試したいのは、本当に鶏白湯になるのか? ということと、一番だし、二番だしが可能であるか? あるいは、鶏ガラ→鶏白湯?→天○を同じ骨で取れるのか? 等といったことだ。
とりあえず第一段階である、鶏ガラスープは出来上がったので、骨を取り除いて寝かせておく。マーブルに火魔法を使ってもらって保温しておく。それが終わると丁度麺生地の寝かせ作業が終わったので、ライムにキレイにしてもらい、水術でさらに洗浄して乾燥させた板を用意して、小麦粉の打ち粉をしてから、それぞれ寝かせた麺生地を用意してもらった。
次は麺生地をプレスしていく作業だけど、私だけの場合だと、マーブルの重力魔法でどうにでもなるけど、領民達の場合はそうはいかない。ということで、別の板を用意してもらい、板同士挟んでプレスしてもらうことにした。何せビニールがないからね。
挟んだら、その上に乗ってもらってプレスしていく。見ていただけの人達もそれを見てプレスに参加する。特に子供達やペット達もこぞって参加した。軽いから貢献度は低いけど、楽しそうだしそれはそれで問題は無い。
何度か折り重ねたいので、プレスしては板をどかして麺生地を折り、また板をかぶせてはプレスしてを繰り返すこと数度、良い感じに仕上がったと思うので、今度は折りたたんで切っていく作業だ。
私は太麺が好きなので、3ミリくらいの太さで切っていく。太さに関しては各自の好みに任せることにしたけど、もちろん、太すぎても食べづらいからということは注意しておいた。その切る様子に一番注視していたのは洞穴族と一部のゴブリン族である。領民達の刃物の使い方を見ては、あれこれ話をしていた。何故かミスリルという言葉が出てきたけど、聞かなかったことにしよう。・・・ミスリルって我が領でも貴重なものなんだけど、、、。
あらかた切り終わって麺になったところで、また小麦粉で打ち粉をしてもらい、先程保管した壺に入れてもらう。スープが完成していないからね。
で、スープの方はというと、キレイな鶏ガラの状態から白濁とした液体に変わっていた。いわゆる鶏白湯? という状態だ。少し取りだしてスガーで味付けをしてから味見をしてみるが、見事なまでに鶏白湯だった。
ちなみに、鶏ガラスープを取りだした骨でも同じように試してみたけど、こちらでもしっかりと鶏白湯になっていたのは驚いた。ただ、一度でも鶏ガラスープになってしまうと、その骨は二度とキレイな黄金色の澄んだスープを取ることができないみたいだ。ちなみに、味についてだけど、鶏ガラスープとして出汁を取っていようといまいと、鶏白湯になってしまうと味については、私では違いが全く分からなかった。ということは、鶏ガラスープを取らずにいきなり鶏白湯にしてしまうと勿体ないということだ。
新たな発見に喜びつつも、次の段階である天○のスープまで煮込むことにした。もちろん鶏白湯まで煮込んだスープの中に入っている骨の回収と、それらを別の鍋に入れて煮込みの再開をすることも忘れない。
こうしてスープを作っている間にも、麺を作っていた者達は、復習と称して麺を作り始めていた。非常に頼もしいです。何でも、スープの匂いを嗅いだことで、今作っている分では到底足りないと思ったそうだ。ってそこまで匂いするものなの? ある程度慣れている匂いだから私だけが気付かなかったのか?
みんながそれぞれの役割を果たしている間に、私は残りの具材である、ネギ代わりの葉物と焼き豚ならぬ焼きオークの準備をする。焼きオークだけど、今回は時間も余裕がないので、水術で低温調理→表面焼き上げというほぼローストオーク状態のものを使用する。あ、返しも作っておかないと。
しばらくして、鶏白湯がドロドロになり天○の状態になったところで、少し別の器に入れて、天○用の返しを急いで作り上げて混ぜて味見をしてみる。・・・よし、良い感じに仕上がったかな。どの鍋も
バタバタしながらも、何とか一通りの作業は終了。あとは麺を茹でるだけだ。まぁ、麺といっても実はパスタだけどね。とはいえ、十分ラーメンの麺として十分通用するものだから問題は無い。
ここにいる全員分の食器などをそれぞれに用意してもらいながら、私は麺を茹で上げていく。いつもであれば、全員分が揃ってから一斉に食べ始めるのだけど、ラーメンに関しては別である。麺がのびてしまっては折角のラーメンが台無しである。ということで、用意できた順にさっさと食べてもらうことで話はついていた。
一応、鶏ガラスープのやつと、鶏白湯のやつと、天下○品のやつと3種類大きな器にそれぞれ入れて、各テーブルで麺やスープなどを各自で入れて食べ比べてもらう方式にした。ラーメンは好みが別れるし、最初は一通り食べてみたいだろうと思ったからだ。
麺を茹でている間に、各テーブルに持っていく用のスープを準備していく。以前いた世界で何度も見た光景だけど、まさか自分がこれをやるとは夢にも思わなかったなぁ、と遠い目になってしまったが、何とか第一陣の分を作り上げた。
マーブルとジェミニとライムがお盆を乗せて待ち構えていた。運び係を買って出てくれたようだ。こう見えてもマーブル達はこうしたものを運ぶのが上手い。もちろん私よりも、、、。ってか、いつものように走ったり跳ねたりするんだけど、全く揺れないんだよね、、、。そんなこともあり、安心して任せることができているのも事実である。
私達の一連の動きを見ていた調理担当の者達も参加し出し、次々にスープを作っては茹で上がった麺を入れて運び出していった。料理長率いる帝都組や実際にやり慣れている宿屋やギルドの食堂組も効率よく進めていくが、屋台組は作るのは上手くても、運ぶのは慣れていなかった、ということで、こちらにもマーブル達が参戦してこちらも効率よくラーメンが各テーブルに行き渡っていった。
調理担当の者達は、自分たちの分を運び終わったら、食べ始めるように伝えたので、言うまでもなく最後に食べ始めるのは私とマーブル達の4人であった。食事用のテーブルは満員だったので、私達は調理場のテーブルで食べることになった、というか、始めからそのつもりだった。
「ふぅ、どうにか無事にできあがったね。マーブル達もお手伝いありがとうね、では、頂きます!」
「ミャア!!」
「頂くです!!」
「いただきまーす!!」
味見では良い感じだったので、恐らく大丈夫だろうけど、多少の不安はあったけど食べてみた。おー、どれも上手いなぁ、、、。あと、やはり懐かしさが出てくる。昨日の時点では食べたかったものを食べることができた感動で満たされていたので少しびっくりした。まぁ、味噌汁を口にしたときほど感情がこみ上げてくることはなかったけどね。マーブル達を見てみると、マーブル達も嬉しそうに食べていたのでとりあえずホッとした。
他のテーブルを見てみると、どこのテーブルでも美味しそうに食べていたので作った甲斐はあったな。というか、あれだけ苦労して変な反応だったら発狂するレベルだよ、、、。
ただ、骨が溶けるまで煮込んだスープ、つまり天○状態のラーメンに関しては不安だった。というのも、この味って思いっきり好みが別れるんだよね、、、。かく言う私も、最初は「何じゃこりゃー!!」状態だったけど、友人が好きだったこともあり何度か一緒に食べに行っているうちに、後味が癖になってきて、やがて好きなラーメンの味に昇格した感じなんだよね。予想通り、以前の私と同じ反応を示した人も少なからず存在してたね。逆に嵌まった人は嵌まったようだから、同じように消費してくれて何よりだよ。
ちなみに、後で聞いた感想ですが、敢えて名前は伏せておきます。
「おう、こりゃ初めての味だな、、、。とりあえず、俺はこのドロドロが気に入ったぜ!!」
「私は、この澄んだスープのものですかね。」
「私も気に入りました。あなた、うちの料理長にも作ってもらいましょう!」
「ワタクシは、このドロドロですわね。後味がどうも癖になりまして。」
「私は、このドロドロのやつが気に入りましたね。後味も癖になるのもいいですね。」
「・・・キレイな麺、美味しい、、、。」
「おおっ、このどろどろしたやつ、凄ぇ美味いな!! 俺的には今まで食べた中で一番美味い!」
「俺はこのドロドロは好きではないかな。まぁ、食べられないことはないけど。」
「私的には、あまり好きな味ではないけど、何だか癖になる後味ではあるな、、、。」
取り敢えず、アマさんからはリクエストがあったので、後で3品献上致しましたよ。
あ、それと、後日、ラヒラスの元に作成依頼が殺到したようで青い顔をしてましたね。
・・・ラヒラス、ざまぁ、、、。
アマデウス神「ほう、これがスカルワイバーンの骨で取った出汁の食べ物か。それぞれに違った美味さがあるのぅ。」
トリトン陛下「そうだろ! 俺も気に入ったぜ!!」
アマデウス神「そうかそうか。・・・で、お前さん、何故ここにおるのじゃ?」
トリトン陛下「俺たちの仲だろ? 堅ぇ事言うな、ガッハッハ!!」