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第187話 さてと、お迎えに行きましょうかね。

前回のあらすじ:貴重なアマさんの神官(ご老体)をスカウトした。

 ウラーさんを伴って、村を出る。ウラーさんが村長にアマデウス教会の者から通知が来て、移動することになったと伝えて、村長が了承したところだ。村長の反応は、ああ、そうですか、どうぞご自由にという感じであった。まあ、あの様子だと村人とはそれほど接点もなかっただろうし、何よりも普段はすっとぼけた感じの態度だったから仕方ない。それと、ここを出るに当たって、ウラーさんは自分の荷物を全て持っていったのだけど、自分の着替えが数点と、ジェミニが作り直したアマさんの像以外には特にないようだった。


 ウラーさんの案内で、その人嫌いの爺さんの所へと向かっている。道中ではウラーさんにこの国について話を聞いてみると、この国はどうやら城と村があるだけで、その他は森だけのようだ。というより、この国の大半は森らしい。地形的には魔の森に属しているようだけど、魔の森だとタンヌ王国やトリトン帝国と魔物の特徴が似ているはずなのだけど、この辺りは性質が全く異なっているので、ひょっとしたらこの国自体がダンジョンなのかもしれなかった。まあ、どちらにしても、基本この国とは国交がないし、仮にあったとしても武術大会で招待されるか否か程度のものなので、その辺はどうでもいいことだ。


 さっさと目的地へと向かうべく、道の上を進んで魔物と遭遇しないように移動した。いくら魔物に出会っても逃走できるとはいえ、一々暗転するのも何か嫌だし、面倒である。マーブルとジェミニとライムは、戦闘無しで進むことを理解しているので、いつもの私の定位置でモフモフを提供してくれている。ちなみにオニキスだけど、普段はアンジェリカさんの護衛ということで、肩の上に乗っていたり、かなり成長しているあの部分に乗っかったりしている。


 ちなみに、セイラさんもルカさんもしっかりと成長している体つきをしている。以前いた世界であれば、世界各国からスカウトが引っ切りなしに飛んできていたであろう。この世界に転生してからはそういった感情がかなり希薄になっているのか、これだけ一緒にいても何の感情も沸いてこない。いや、信頼関係という部分についてはかなり重要な存在であることは間違いないのだけど、男女の関係という部分に置いては全くと言っていいほど、何の興味も沸いてこない。マーブル達が一緒にいてくれているおかげもあるのだろう。また、以前いた世界とは違って、自分でやれることや、やらなければならないことが沢山あって楽しいというのも大きいのかもしれない。そんなことをふと、マーブル達のモフモフを楽しみながら思っていた。


 どうやら目的地に到着したみたいだ。そこにはかつてはかなりの凄腕の剣士だったであろう老人がたたずんでおり、ウラーさんと会ったときのように何をする訳でもなくボウッと佇んでいた。ウラーさんがその老人に声をかけていた。


「フライド、元気じゃったか? お前さんの顔を見に来たぞい。」


「・・・ウラーか、、、。いきなり何の用だ?」


 ウラーさんとフライドさんって言ったっけ? その2人が話を始めたようだ。なるほど、フライドという名前だったのか。あれ? 私の記憶だと、ハッサン? じゃなかった、とにかくそんな名前だったと思ったのだが、、、。って、な、何だと!? まさか、ポテトつながりか!? って、そっちはどうでもいいか。とかどうでも良いことを考えていると、マーブル達が何か反応した。


「ミャオ、、、。」


「マーブル殿? なるほど。・・・アイスさん、フライドさんでしたっけ? 何か変ですよ。」


「アイスさん? マーブルちゃん達の反応が、、、。」


「ああ、アンジェリカさん。マーブルとジェミニが、あのフライドさんだっけ? 彼の様子が何かおかしいと言ってますね。・・・少し確認してみますか。」


-------------------------

【名前】フライド ♂ 年齢 48


【職業】ダークナイト


【レベル】94

【スキル】剣術9 魔剣術(闇)9


【状態】呪い(衰弱) 強


 ほう、呪われておるのう。呪われておったら、神職もいることじゃし、解除してもらえば、って、ああ、あの神職もウォーロックでは無理か。ウォーロックはどちらかと言えば、攻撃と補助術特化じゃからのう。治療はそれほどでもないからのう。

-------------------------


 ・・・なるほど、呪われていたのか。って、この人もかなり強いな。しかも剣術とか。うちって、剣術の得意な領民って少なかったよな、私は元より、戦姫もそれぞれ槍とか弓とか杖だし。カムイちゃんは短剣だからなぁ、、、。ウルヴは馬上槍だし、アインは棒っきれだし、ラヒラスに至っては、フィンファ、、、じゃなかった、魔導具だしな。エーリッヒさんとかエルヴィンさんとかハインツさんは一応使えるけど、あの人達指揮がメインだからなぁ。ベーアも剣術だけど、彼は剣術といより、タンク職の延長線上だからなぁ。そんなんだから、他の領民達も剣術についてはそれほどでもないんだよな。・・・斧とか槌とかどちらかというと、定番からは少し外れている感じがしてしょうがないんだけど、、、。


「アイスさんや、フライドが話を聞きたいそうじゃから、とりあえず中に入ろうか。」


「おお、話をしていただけますか、では、有り難くお邪魔致しましょうか。」


 ウラーさんの後について、フライドさんの家に入った。フライドさんの家に入ったが、こっちもかなり質素な作りの家になっていた。いや、家というより小屋といった方が正しいかもしれない、そんな状態の家であったが、壁に掛けられていた武具一式はかなり使い込まれているのがわかる。しかもしっかりと手入れもしてあり、質も悪くないと思う。流石といったところか。


 ウラーさんの時と同じようにそれぞれ自己紹介をする。ウラーさんの時とは違い、今回は私が侯爵であることも含めると、フライドさんだけでなく、ウラーさんも驚いていた。で、今回訪ねたのは、2人をフロスト領へと向かえるためだと伝えると、フライドさんは何か躊躇っていた。


「フライドよ、何を躊躇っておるのじゃ。この国の者どもは、何かがあると気持ち悪いくらいに頼ってくるくせに、事が済んでしまえばすっかりそれを忘れてしまうことにウンザリしておったではないか。機会があれば

さっさとこの国を出たいと言っていたではないか!」


「ウラーさん、落ち着いて。何か理由があるのでしょう。もしよろしければ、私達にも話してくれませんかね。」


「そうですわ! ワタクシ達も何かできることがあれば、お手伝いしますわ!」


「有り難い申し出なのだが、、、。」


「フライド!!」


「・・・実はな、近々、魔王が復活しそうなのだ。いや、もうすでに復活して活動し始めるかもしれん。」


「なるほど。それで、倒しに行くつもりだったと、しかし、あなたは、体が弱っている影響で、満足に剣も振れるかわからない状態と?」


「!? なぜそれを知っている!?」


「知っている、というより、この達が気付いたのです。どうやら呪いみたいですね。」


「の、呪いだと!? そういえば、前回魔王を倒したときに!?」


「呪いか、、、。ワシでは、簡単な治療はできても、呪いの解除はできん。この国の神官共も同様じゃ。」


 ウラーさんとフライドさんは消沈していた。


「あ、それは問題なく。この程度の呪いでしたら、大丈夫ですよ。」


「は!? お前さん、正気か!? 魔王の呪いなのじゃぞ!?」


「大丈夫ですよ。ライム、お願いできるかな?」


「ピー!!」


 ライムは触手っぽいものを出して、上に上げる。あれは、任せろ! という意味だね。いやぁ可愛い。


「な!? このスライムが、だと!?」


「まぁまぁ、ものは試しですよ、気楽に構えていてください。じゃあ、ライム頼むね。」


 ライムが光魔法を繰り出してフライドさんの体が光り出す。その後ですかさず治癒魔法を繰り出した。ライムがこちらに飛びついて来たので、おにぎりの刑に処してから、改めてフライドさんを鑑定すると、呪いの状態異常が消えていた。


「む? あれだけ力が抜けていく状況だったのが、全く起こっていない!?」


「フライド、大丈夫か?」


「ああ、大丈夫だ。これなら十分戦えるな。では、魔王退治と行こうではないか! アイス侯爵様、この状態から解放して頂いて誠にかたじけない!!」


「いえいえ、お礼はライムに言ってくださいね。」


「ライムちゃん、お見事でしたわ!」


「ピー!!」


「いや、アンジェリカさん、貴方でもあの程度でしたら余裕で解除できましたよ。」


「え? ワタクシがですの!?」


「いや、アンジェリカさん、治癒魔法と光魔法使えるじゃないですか、、、。」


「ハッ!? す、すっかり忘れておりましたわ、、、。最近は、ほとんどダメージを喰らうこともなかったですし、治療はほとんど、セイラかライムちゃんがされてましたものね、、、。」


「な、何を言っておるのじゃ? ま、魔王の呪いじゃぞ!?」


「ああ、言っていませんでしたっけ? 私達はドラゴン族とか危険種と呼ばれる魔物達を何体も倒しているので、ここでの魔王がどれほどかはわかりませんが、あの程度の呪いでしたら別に大したことではないんですよね。」


「「は、はゐ?」」


 2人は驚いていた。


「で、魔王退治でしたっけ? でしたら、2人と一緒に私達も同行しようと思いますがよろしいですかね?」


「い、いや、それについては問題ないが、、、。」


「ありがとうございます。では、お伴させて頂きますが、しばらくはカンを取り戻す意味合いも含めて、周辺の魔物達を一緒に倒しましょう。どちらにせよ、武術大会まではまだまだ日数もありますし。」


「・・・そうじゃの。前回もそうじゃったが、魔王が動き出すのは今回も恐らく武術大会の後じゃろう。」


 ということで、無事2人をゲット! これでこの国での主目的は達成されたことになる、多分。後はこの国に居る魔物を倒して素材を手に入れるだけ。いやぁ、楽しくなって参りました。


「とりあえず、ある程度予定が決まったところで、食事にしましょうか。」


「・・・よろしいのか? 呪いを解いてもらったばかりか、侯爵自ら料理をなさるのは、、、。」


「構いませんよ。折角なら良い肉を食べたいじゃないですか。それに、我が領では、私が率先して料理をしておりますので。」


「・・・アンジェリーナ殿下。その話は本当なのか?」


「ええ、本当ですわ。普段ワタクシ達はフロスト領で過ごしておりますの。今回は、タンヌ王国に招待状が届きましたので、タンヌ王国王女としてルクレチ王国を訪問しておりますが、今のワタクシは、トリトン帝国フロスト領の一領民ですわ!」


「そ、そうなのか。」


「ええ、ワタクシ達はフロスト領からここまで来たのですが、その道中では料理をなさるのはアイスさんですし、今回だけでなく、ワタクシ達と冒険者として移動するときには、アイスさんが料理担当をなさっておりますわ。味については、トリトン帝国の皇帝陛下を始め、我が父であるタンヌ国王も虜になっておりますわ。その証拠に、トリトン皇帝陛下や父上は、ほぼ毎日フロスト領で夕食を食べに来ている位ですのよ!!」


「「え?」」


 2人は驚き、固まった。まあ、普通はそうだろうな。仮にも国のトップがメシを食いにわざわざ一領主の所に食べに来たりしない。非常に通常通りの反応でよろしい。


「ミャア、、、。」「キュウ、、、。」「ピィ、、、。」


 ご飯、ということで、マーブル達がスリスリしてきた。うわぁ、なんてあざといんだ、、、。でも、分かっていてもその可愛らしさには逆らうことはできなかった。よし! お父さん張り切って作るぞ!!


 では、今回はハンバーグを作りますか。肉は、ビッグボアの肉と通常種だけどオーク肉をふんだんに使いましょうかね。タマネギは、、、あるな。パンもあるから、それもパン粉にして使いましょうかね。そんな感じで準備をしていると、ウラーさんとフライドさんがたっぷりの野菜を持ってきてくれた。なんでもこの近辺で獲れるらしい。どうやら、この辺りには滅多に人がこないので、かなり大量に採っても問題ないらしい。とはいえそれは個人レベルの問題だろう。残念ながら領内に持ち込むのは無理かな。そこは諦めますか。


 2人は料理の手際にも驚いていたが、それ以上に驚いていたのは、私達が連携して調理していることだろうか。時々「こんなところで魔法を使うのか、、、。」とか言ってたしね。


 そんなこんなでハンバーグその他が完成。早速いつもの挨拶を経て、頂くことに。2人だけでなく、マーブル達はもちろん、戦姫の3人も満足していたようで何よりです。


 さて、一息ついたら、魔物狩りに出かけましょうかね。素材達、待っていなさい。






ウラー「お前さん達、侯爵とはどういった関係かのぅ?」

アンジェリーナ「ワタクシ達はパートナー、ですのよ。」

ウラー「なるほど、パートナー、のぅ、、、。」

セイラ「ええ、パートナー、ですね。」

ルカ「・・・(コクコク)。」


マーブル達とモフモフタイムを楽しんでいるアイスを見て。


ウラー「ワシからは頑張れとしか言えん、、、。」

フライド「・・・だな。」



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