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第159話 さてと、地下3階攻略です。

前回のあらすじ:○っくりに続いて殿○登場。


 さて、アンジェリカさん達戦姫にも念押しして、この階のボスのいる扉を開けて中に入ると、いつも通り(ただし、まだ2回目)に3人の身分怪しからぬイケメンと、それらを取り巻く多数のヴァンパイアが待ち構えておりました。


「忠告を守らずに、ここに乗り込んできた無謀な冒険者達よ、地獄の入り口へようこそ。」



「我らは崇高なるヴァンパイア、、、。」



「諸君らは、跪いて我が眷属となるか、我らに逆らい眷属共の餌となるか、二つに一つ。」


 ・・・これだけインパクトが強いと、台詞まで覚えているものなんですねぇ、、、。前回に来たときと全く同じ台詞でしたよ、ええ。まあ、これでもダンジョンの魔物ですから、パターンが同じと言ってしまえばそれまでなんですけどね、、、。おい、ダンマス、メッセージは音声付きに変えたくせに、こいつらは全く同じかよ!! ・・・そうです、姿形も前回と同様なのです。1人はハワイアンなシャツを着て、髪型はアフロ、2人目は海パンにゴーグル、3人目は白い全身タイツを着ておりますです、ハイ。大事なことなのでもう一度言いますが、彼らはイケメンです。普通の格好をしていれば殺意がわいてくるくらい、羨ましいくらいにイケメンです。


 イケメンといえば、実はウルヴも相当なイケメンです、趣味が残念ですけどね。もちろん、お茶関係ではありませんよ。この世界のイケメンって、何かしら変な特徴がついていないといけないのか? という共通項目があります。私? お世辞にもイケメンとはほど遠いです、言わせんな、恥ずかしい。


 では、戦姫の3人を見てみますと、予想とは斜め上だったらしく、唖然としております。表情的には、こいつら何者? といった感じのようだけど、3人の残念イケメン達は、何を勘違いしたのか、定番の台詞を吐いた模様です。もちろん、美女達を前にした定番の台詞です。あと、彼らは私達の存在には気付いていないようですね、私達が最初に入ってきたのに、、、。恐らく自分たちの台詞に酔っているというのもあるのでしょうかね。しばらくは生温かく見守るとしましょうか。


「おお、そこにいるお嬢様方、・・・(中略)。こんな場所でお会いしたのは残念です。」


 歯の浮くような気障ったらしい台詞を長々と述べてましたよ。さて、戦姫の反応はどんな感じでしょうかね、少々興味があります。ちなみに、うちの自慢の子であるウサギのジェミニちゃん(推定年齢100超えらしい)は呆れておりました。最初はどんなことを話すのか、楽しげに聞いておりましたが、飽きてきたのか、モフモフタイムを楽しんでいた私達に混ざってきてしまいました。もちろん、こちらは大歓迎ですぞ。


 おっと、戦姫の3人はどう感じたのか、でしたね。ありゃ、アンジェリカさんは早々に見切りをつけたらしく、オニキスをプヨってましたね。セイラさんは、と、こちらも負けじとうちのライムをアンジェリカさんと同じようにプヨってました。ルカさんは、あ、こちらを睨んでますよ。「お前、こうなるのを知ってて放置していたんじゃないだろうな?」という言葉が出てきそうな表情ですよ、こ、怖ぇ、、、。私もそうですが、一緒にいたマーブルやジェミニも慌てて首を横に振ってましたよ。


 あ、話が終わったようです。自信満々に語っていたようですが、どうも、戦姫の3人は先程の行動を鑑みて全く話を聞いていなかった模様。それに気付いたのか、顔から筋が出ておりますが、自業自得でしょう。内容は聞いてないからどうでもいいとしても、何より長すぎますからねぇ、、、。取り巻きのヴァンパイア達は、流石は眷属なのか、微動だにせずビシッと立っておりました。


「高貴な存在である我らのありがたい話を聞いていないとは、愚かな、、、。ん? お前達は、、、。」


 あ、気を取り直した。あ、そして、私達の存在に気付いたようだ。何故か震えているけど何があったんだろうか?


「な、何故、お前達までいるのだ、、、。」


「ま、まさか、この見目麗しい3人はお前の眷属、、、?」


「いや、普通に同じパーティのメンバーなんだけど。」


「そうか、お前を殺せば、彼女たちは我らの元に!?」


 やっぱり、こいつら人の話を聞いていない。つくづく残念なイケメンだと思う。


「アイスさん、驚くなよ、ってこのことだったのですね?」


「そうです、正直予想以上でしたね。当初は、イケメンだけど、格好がおかしいので、その点だけでしたが、まさかここまでとは、、、。だから、ルカさん、こっちを睨まないで、、、。」


 マーブルとジェミニも私の言葉に頷いていたのを見て、ルカさんが機嫌を直してくれた。


「ウサちゃん達の可愛さに免じて信じてあげる。」


「・・・ありがとうございます?」


 3人の残念イケメンを完全に無視したやりとりに、ついに痺れを切らして襲いかかってきた。本来なら完全なる不意打ちだけど、戦闘準備を整えた上での遣り取りだったので、奇襲にすらなっていない。とはいえ、残念イケメン達を戦姫に任せる予定だったのが、こちらにヘイトが集中してしまったため、仕方がないから私の方で迎撃する形になってしまった。戦姫は躊躇うことなく、取り巻きのヴァンパイアの方を攻撃し出した。マーブル達も取り巻きを攻撃し始めた。って、私1人で彼ら? いや、別にいいんですけどね、それにしても面倒だな、、、。つがえた矢は4本。あのクラスの相手だと、ダブルショットで2体分か、まあ、仕方ない。


 先頭となって突撃してきたハワイアンアフロの側面に回り込んで膝関節に足刀をぶちこんで体勢を崩し、ミドルキックでアフロを蹴り飛ばして、残りの2体に2本ずつ矢を放つ。前回同様、正面の矢は躱される? と思っていたら、本命の後頭部への一撃だけでなく、正面の矢も躱されずにヘッドショットが決まる。逆の意味で想定外だった。もちろん2体は消滅し、残るは1体だけだ、と思っていたら、ミドルキックで蹴り飛ばしたつもりが、吹き飛ばずにそのまま地面に頭部がぶつかって昇天したようで、すでに姿を消しつつあったハワイアンアフロであった。


 さて、他のメンバーの様子はどうかな、と、マーブルとジェミニは直接参加せずに補助に回っているようだな、って、戦姫が暴れ回っている!? そんなに先程の長台詞で鬱憤が溜まってたのか、、、。特にセイラさんがいつもの弓矢を使わずに短剣に光属性つけて切り裂くというより、殴っている!? アンジェリカさんも同様に突き刺すことなく石突きメイン!? あれま、一番エグかったのはルカさんか、、、。火魔法が火炎放射器みたいになってる!?


 戦姫にしては雑な戦闘だなぁ、、、。あれじゃあ、撃ち漏らしが出るって、なるほど、ある程度撃ち漏らし前提且つストレス解消目的でああなっていたのか、納得。撃ち漏らしについては、カムイちゃんを中心にオニキスやライムも頑張っているね。なるほど、ああいった状況だと、マーブルとジェミニは補助になるか。


 戦闘時間はそれほどかからずに殲滅が完了。宝箱があったので、今回はセイラさんが罠を解除して箱を開ける。今回は鍵は出てこなかった。ひょっとしてアレって、私限定? いや、仕様が変わったのかもしれないかな。メッセージが音声表示するようになったし、この先のゴーレム達も逃げられるように設定変更してもらったからなぁ。


「みなさん、お疲れ様でした。この魔方陣に触れておけば、直接ここに転送できますよ。」


「ここに転送ですか? すると、またあの濃い3人と顔を合わせるハメになりませんの?」


「いえ、実は、さっきの3人がボスであることは間違いないのですが、ここには裏ボスというものがおりまして、ここより下の階層は、その裏ボスを倒す必要があるんですよ。」


「裏ボス? アイスさん、その裏ボスに関しては、ギルドには公表していらっしゃらないんですよね?」


「一応、ギルドには地下4階以降もあるという話だけはしましたが、地下4階以降については、領主権限で探索できる冒険者を限定することにしております。そういえば、裏ボスについては、話をしておりませんね。ということで、戦姫の3人には裏ボスを倒してもらおうと思います。カムイちゃんは参加する?」


「うーん、私は今回もパスで。私らゴブリン族でもここまで来られるようになったら考える。」


「了解、戦姫の3人はそれでいいですか?」


 3人とも頷いたので、魔方陣の右側に設置されている龍の像の所へと行き説明する。


「この近づくと『触れるな!!』と表示される龍の像に触れますと、裏ボスが現れます。ちなみに裏ボスは2体存在しますが、1体ずつ現れますので、実質は2回戦となってます。勝てないと思ったら遠慮なく逃げてください。確か必ず逃げられるようにしてあると思いましたので。どんな敵かは、実際にその目で確かめてくださいね。」


「承知しましたわ! 相手にとって不足なし、ですわ!!」


 そう言って、戦闘準備を始めて、それが完了すると、アンジェリカさんが龍の像に近づき、龍の像からは『触れるな!!』と表示されて少し驚いていたようだが、意を決して触れると、普段は転送装置として使われる魔方陣から1体の巨大な魔物が現れた。


「あ、あれが、裏ボス、、、。気合が入りますわね、、、。」


「火の巨人、、、。やるしかないわね!」


「火ならば、対策はある。ん、大丈夫、、、。」


 現れた炎のゴーレムは、出現時に咆哮を上げてから戦闘行動をとるが、私達には全く通用しなかったけど、戦姫には少し通用したらしく、炎のゴーレムに先手を取られてしまったが、先頭にいたアンジェリカさんはギリギリで炎のゴーレムの攻撃を回避する。


 回避して槍を繰り出し、炎のゴーレムに攻撃を繰り出す。それを見て、セイラさんもルカさんも続くように攻撃を繰り出した。3人が凄いのは、個別の箇所に攻撃するのではなく、同じ箇所に攻撃を的確に当てることである。Sランクの魔物なら、この連携で十分倒しきれる。


 しかし、相手は倒れることなく反撃する。通常のパーティであれば、間違いなく反撃を喰らうところであるが、流石は戦姫、油断することなく回避に成功する。ゴーレムも様々な手段で戦姫を攻撃していくが、戦姫はどこかに隙が生じると、牽制をして動きを止めたり、攻撃を繰り出したりして見事に反撃をしていく。ただ、炎のゴーレムは自己修復力が凄まじく、大ダメージを与えても、ある程度時間が経過してしまうとかなり回復してしまい、長期戦となってしまっていた。


「このゴーレム、やばいですわね、、、。」


「はい、このままだとジリ貧となってしまいます。」


「・・・こちらの魔力もちょっと心許ない、、、。」


 そんなことを言いながら、戦闘を続けて、どうにか炎のゴーレムを倒すことに成功した。


 しかし、裏ボスは全部で2戦、つまり、あと1戦残っているということだ。魔方陣が再び光り出したときにアンジェリカさんが撤退を決意した。


「アイスさん、どうすれば、撤退と見なされますか?」


「魔方陣の外側にラインみたいなものが見えますか? 見えましたらその外に、見えませんでしたら、私達のいるところまで来て下さい。」


「聞きましたわね? セイラ、ルカ、撤退します!!」


 厳しいと思ったら、躊躇うことなく撤退を決断した。流石は戦姫である。しっかりまともに報告すればSランクのパーティというのは伊達ではなかった。戦姫が見事に撤退を完了させたので、影のゴーレムが現れることなく魔方陣の光も消えた。


「お疲れ様でした。感触的にはどうでしたか?」


 戦姫の3人にそれぞれ、水を渡すと、3人はそれを飲んで心を落ち着けた後に話してきた。


「そうですわね、、、。火力不足を痛感しましたわ。恐らく、最初の連携の一撃で倒しきれなかったせいであそこまで長引いてしまいましたわね。」


「そうですね、もう少し牽制して動きを止める回数も多くできそうですね。」


「私も、攻撃の機会を少し逸したところもあった、、、。」


「どちらにせよ、ワタクシ達は、まだまだ未熟、ということですわね。ちなみに、アイスさん達はこのゴーレムと戦ったときはどうでしたか?」


「私達ですか? あのゴーレムが咆哮している隙に氷の矢で瞬殺したので、そこまで詳しいことはわからないですね。」


「あの咆哮時に攻撃!? そうしますと、やはりまだまだ強くならないといけませんわね。」


「まあ、今回は半分試しでもありますから。それに、アイテム目当てで第10階層を周回すれば、いつの間にか成長してますから、気楽に構えていればいいと思いますよ。」


 少し落ち込んでいた様子だったが、それもそうかと思い直したのか、いつもの戦姫に戻ってくれたような気がした。


「ところで、アイスさん。折角ですから、どうやって倒したのか実際に見せて頂けませんか?」


「私達で、あのゴーレムを倒せと? わかりました。参考になるかどうかはわかりませんが。」


 私の言葉に、先程までノンビリぐでーっとしていたマーブル達が嬉しそうに起き上がって、私の肩や頭などの定位置に飛び乗ってきた。このモフプヨ感、非常にテンションが上がります。


 『触れるな!!』と表示された龍の像に触れると、魔方陣が光り出す。光った後、マーブル達が降りて、それぞれ準備をしだす。ちなみにこの準備は、炎のゴーレム用ではなく、次に出てくる影のゴーレム用だ。というのも、炎のゴーレムに関しては私一人でもお釣りが十二分にくるからである。


 魔方陣から炎のゴーレムが現れて、いつも通りに咆哮を上げる。私達にとっては的でしかないので、しっかりと狙って氷の矢を放ち、眉間、喉、心臓部にしっかりと命中させると、ゴーレムが後ろに吹き飛んでから、その巨体が消滅していく。消滅してからすかさず魔方陣が再び光り出す。


 魔方陣の光が治まると、黒い巨大なゴーレムが出現した。影のゴーレムである。影のゴーレムもやはり咆哮からのスタートで、その間に、マーブルが風魔法で風の塊を作り、ライムが光魔法をその風の塊にむけて放つと、光り輝く風の塊の完成。ジェミニが土魔法で土の塊を作り上げてから、それを上に放り投げて、後ろ足で塊を蹴りつけ、光り輝く風の塊に。合流した後、一直線に咆哮中の影のゴーレムの心臓部に命中。2体とも瞬殺である。


「・・・あんなにあっさりと倒せるものなの?」


「アイスさん達と差があるとは思いましたが、ここまで大きな差があるとは思いませんでしたわ、、、。」


「どちらにしても、修行は必要。」


「いえいえ、あの咆哮さえどうにかできれば、案外楽勝ですよ。」


「ミャア!」「そうです、簡単ですよ!」「ボクでもできたから、おねーちゃんたちもできるよ!!」


「「「(できるかーーーー!!)」」」


 いつもの討伐戦のノリで話すアイス達に、アンジェリカ達戦姫だけでなく、一緒に来ていたカムイも思わず心の中で突っ込んでいた。とはいえ、力の差はわかっていたので、戦姫の3人とカムイは、アイス達とマーブルの転送魔法でフロストの町へと帰還した。


アンジェリカ「ルカ、あのゴーレムの咆哮中に魔法当てられる?」

ルカ「無理です。しっかり詠唱しても弾かれます。」

アンジェリカ「セイラの矢はどう?」

セイラ「ルカに魔法付与してもらっても弾かれると思います。」

アンジェリカ「アイスさんは的のように貫いていたけど、、、。」

セイラ、ルカ「「アイスさんですから、、、。」」

アンジェリカ「そうよね、ワタクシもできるようになるのかしら、、、。」


残念イケメン達「あ、あの、我々の存在は、、、。」

3人の存在はサッパリ消え去っていたのでした。


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