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第136話 さてと、まだ続きそうですね、トホホ、、、。

前回のあらすじ:失敗したけど、領民が追加もってきやがった、、、。

 フロストの町へと到着した私達は、早速麦芽の分解度合いを確認した。先程はかき混ぜてない状態で上澄み部分を掬ったが、今はかき混ぜたまま放置していたので甘さ的なものを確かめるつもりで上の部分を掬って味見をする。先ほどよりも少し薄い感じがするな。ということで、一晩放置する。そのついでに、先程ダンジョンでヴィエネッタが急ごしらえで作ってくれた網を熱湯消毒しておく。これでとりあえず第一段階完了だと思う。


 次は、これを濾過する作業だけど、とりあえず折角作った壺だけど、これに穴を開けて少しずつ流し込む予定である。この穴が壊れてダバーしないことを祈らないとね、、、。ということで、次はこれを受ける壺を作成ということになる。網も固定できるようにしないとな。網自体は薄いが目が細かく、しかもヴィエネッタ特製の糸で編まれたものなので、当人はシルクスパイダー程度と言っていたが、それでも100回程度は余裕でできるだろう。しかも外側の部分はしっかりと太めにしてくれたので、何かを引っかけるものを付けておけば多分大丈夫だろう。


 てな訳で完成。熱湯消毒と乾燥は明日やればよろしい。今日はこれ以上できることがないので、酒造りは終了。ちなみに、酒造りの様子を確認するために、普段は戦姫がいるときにしか報告に来ない奴らがちょこちょこ来たりして正直邪魔だった。いや、気になるのはわかるけど、一日やそこらでできるかい!! しかも、どうでもいい報告がてら一々聞いてくるものだから、こちらも丁寧に一々突っ込んでやると、返事が全員「いや、そこはアイス様ですからねぇ。」と言ってきやがる、、、。酒類に興味のない人間が作っているんだぞ、そこまで詳しい事なんてわかるかい!!


 ということもあって、多少ムシャクシャしていたのもあって、今度はオーガジャーキーの完成度合いの確認と次の仕込みに入った。ジャーキーは良い感じで仕上がっており、私はもとより、マーブル達もご機嫌のできであったので、次もこれでいいか、ということで、同じ配分で補充分のタレを仕込んで、完了したら、休ませる意味も含めて、その間に、肉のカット作業をしてもらった。私は休憩がてら、マーブル達の華麗なる連係を堪能させてもらっているだけですが、何か? 一応、解凍という大切な作業は私しかできませんので、しっかりと仕事はしておりますよ、ええ。


 カット作業も終わって、タレも馴染んだところで、肉を漬け込む作業だ。この作業で、ムシャクシャを解消するのだ。何も考えずにひたすらグチャグチャと一心不乱に混ぜる。一通りつけ込み終わってマーブル達を見ると、少し引いてた、、、。だってさ、酒に興味のない人間がさ、酒造りさせられてだよ、それでただ待っている連中がさ、一々催促の意味も兼ねて様子を見に来るんだぜ? そりゃ、ムシャクシャもするさ、、、。


 ということで、明日の分のオーガジャーキーの仕込みも完了したので、後は寝るだけである。


 翌朝、いつものテシポンで目が覚める。心なしかマーブル達がいつもより元気なのは気のせいであろうか。いつも知恵比べを競うかのようにコカトリス達を妨害するはずが、今日は一向に妨害する気はなかったようで、朝起こしに参加できたコカトリスは非常に上機嫌で卵を置いていった。ちなみに、領主館は入り口から私の部屋まで大して距離がないばかりか、罠などを仕掛ける場所もないので、どうやって騙し合いをしているのか皆目見当がつかなかった。当人達は楽しんでいるからそれは別にいいとしますか。


 いつも通り顔を洗ってサッパリさせてから朝食の準備である。朝食はいつも通りの和食であるため内容は割愛しておく。朝食が終わって、いつものモフモフタイムが終わると、早速昨日の続きを行う。


 最初はミードの発酵具合を調べてみた。少し蓋を開けて確認すると、濃厚なハチミツの匂いと共に、泡が控えめではあるけど、シュワシュワと音を立てて出ていたので、恐らく順調なのだろう。確か、このシュワシュワが終わったら完成だったかな。ということで、張り切ってシュワシュワしてもらいますか。


 次はエールである。蓋を開けると、昨日は普通に水がグルグルしている感じであったけど、今はドロドロと回転していた。出来映えを確認するべく少し掬って舐めてみたところ、かなり甘い液体に変化していた。正直ここまで甘くなるとは予想していなかった。マーブル達も舐めてみたところ、大喜びであった。よし、糖化は上手くいったかな。私個人としては、これを煮沸して完成としたいけど、それを読み取ったのか、マーブル達はダメ、という反応をしていた。はい、そうですね、主目的は酒ですよね、、、。


 さてと、次の段階へと参りますか、、、。次は本来ならホップという植物の松ぼっくりみたいなやつを放り込んで煮込み、苦みをつけ、保存性を高める作業をするみたいだけど、生憎そんなものは我が領には存在しない。ホップの代わりとして他のスパイスをいれる製法もあるようだけど、ここはこの麦汁だけで発酵させようと思っている。まあ、酵母菌すらないからねぇ。そこで問題となるのが温度である。高くても低くても、それぞれに対応する酵母があるみたいなので、とりあえず今回は低温でいってみる予定である。


 で、どの位の温度でいくかというと、5度くらい、平たくいうと、冷たいと感じる水くらいの温度といえばわかるかな? まあ、わからなくても大丈夫。


 昨日作った入れ物壺に網をかぶせて、麦汁の入った壺をその上に乗せる。乗せる前に、ジェミニに穴を開けてもらうのを忘れてはいけない。上手く乗らなかったらどうしようかと思っていたけど、予想以上にしっかりと填まったので、一安心だ。穴はそれほど大きくないので、しっかりと網が良い仕事してくれるでしょう。


 一応、網を引っかける部分の分だけ空白があるので、かろうじて様子を見ることはできるが、本来ならこの空白すら入れない方がいいだろうとは思う。


 壺は予想以上にしっかりとした造りのようで、予定していた通りの量を保ちながら壺に漉された麦汁が下の壺に入っていく。ただ、これ確実だけど、ちょっと時間がかかるかな。ちなみに下の壺は、水術で水分を纏っておいてあるので、低温状態にできるようにしてある。また、順調に濾過できているのを確認してから小さい空白の部分も覆っておく。


 こんな感じで、順調にエールの方も進んでいる、、、多分。とりあえず一安心とホッとしているところで、領民達がまたもや大麦を渡してきた。


「フロスト様、大麦で酒を造ろうとされているとか。これ、よければお使いください。」


「・・・ありがとう、大切に使わせてもらうよ、、、。」


 しれっと、大麦を渡してくる領民達。恐らくしばらくはこれが毎日続くのだろう、、、。言葉では御礼を言ったけど、表情は嬉しそうにしていたかはわからない。我が癒やしのモフモフ達は純粋に喜んでいた。しかも、こいつらアイコンタクト交わしてやがる、、、。ま、まさか、領民達とグルになっているのか!?


 領民達も知っているのだろう。マーブル達のおねだりには、私といえども抗うことができない、と。恐らくはゴブリン→レオ→ジェミニ→マーブル+ライム経由で伝えてきたのだろう。いや、作りはしますよ、作りはね。まあ、最悪の結果が待っていたとしても、領民達は文句を言わないだろうし、仕方ないと思うだろう。そう信じて次のパターンを作らないとね。


 開き直った私は、グルになっていたマーブル達をもこき使うことに決めた。いろいろなパターンを試したいので、壺をたくさん作らせた。もちろん、麦芽を糖にする壺と麦汁を発酵させる壺の両方をね。ついでに、麦芽を糖にする壺には、発酵させる壺へと穴を開けなくても済むように栓をするような形で作ってもらうことにした。ゴムやコルクはないので、結果どうなるかわからないけど、その辺は後でラヒラスをこき使って作らせる。


 マーブル達に壺を作ってもらっている間にも、私はノンビリすることはできない。というのも、大麦を湿らせて発芽させないといけないからだ。とりあえず、大量に渡してくれた袋のうち9袋を取り出して作業する。発芽自体はかなり、というか、あり得ない早さなので、纏めてやろうとすると管理が厳しいので1つ1つ作業していかなければならない。


 1つずつ発芽させては乾燥して、合計で9回繰り返して完了。その頃には、マーブル達も壺を9セット作り上げた。もちろん、しっかりと焼いてあるので準備完了である。


 マーブル達が共同作業で乾燥させた麦芽を臼の魔道具にいれて擦っていく。本当なら纏めて擦った方が楽だけど、今回は実験も兼ねているので、1袋ずつとなる。その間に私の方は、完成した壺をそれぞれ熱湯消毒しては乾燥させていた。壺は一気にやろうと思えばできるのだけど、そうなると湿度がやばいので、こちらも1つずつ作業することに。


 それぞれの作業が完了しては、擦り終わった麦芽を糖にする壺に入れては水を入れ、水術で温度を上げて撹拌させておく。あとは同じようにやっていくだけ。昨日もやったせいなのか、驚くほど効率的にできていたのは複雑な心境だった。ちなみに今回は昨日より水を2割ほど多く入れている、というのも、粘度が高すぎる気がするのだ。


 とりあえず、今日の分はこれで終了。ちなみに9個の内訳であるが、低温で発酵させるのが4つ、高温で発酵させるのが4つ、それぞれ2つずつ、何も入れずに発酵させるものと、スパイスとしてスガープラントの葉を乾燥させたやつを少し入れてみるものの2種類だ。最後の1つはというと、麦汁のまま使用する予定。折角あれだけの甘みを出せるのだから、あれを使用しないのは勿体ない。


 そんな感じで作業をしていると、領民達が代わる代わる様子を見に来ていたようだったけど、いつの間にか戻ることなくその作業を見守っている人達が増えていた。というか、こんな狭い部屋に何人も待機してるんじゃねえよ、、、。


 仕込みの作業も終わったので、残りの時間は暇つぶしというわけでもないけど、領主の仕事を少ししてから領内を見て回り、ウサギ達やコカトリス達をモフったり、領内の子供達と遊んだり、屋台の肉を買い食いしたりして過ごして一日は終了した。


領民C「くくっ、やはりマーブルちゃん達を取り込んで正解でしたな。」

領民D「ですな、フロスト様とはいえ、あの3匹におねだりされては断れないでしょうからな。」

領民達「「「ハッハッハッ(^Д^)」」」


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