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第128話 さてと、職人確保しました。

前回のあらすじ:いやあ、マンイーターは強敵でしたねぇ。

 マンイーターの群れを殲滅して合流した。それぞれが倒した分の丸い玉を渡してきた。戦姫の分は戦姫で回収すれば良いと言ったのだけど、宿泊代とか言って結局押し切られた。領民扱いされているんだから、宿泊代もくそもない気がするのだけど、、、。あと、使い途が思い浮かばないからいらない、とも言ってたな。まあ、それなら受け取りますか、といったところかな。


 で、手に入った玉の数は全部で18個。内訳は私が1つ、マーブルが2つ、ジェミニも2つ、戦姫達が5つだそうで、何とオニキスが3個、ライムが5個という結果だそう。


 マーブルは1体は風魔法で切り刻んで、もう1体は久しぶりに肉弾戦というよりも、直接爪で切り刻んだそうだ。あの動く蔓をいじりたくて我慢できなかったらしい、、、。流石は猫である。ってか、それ見たかったなぁ、、、。もの凄く可愛らしいんだろうなぁ、成長途中の大きさの猫が、ネズミの玩具で遊ぶ様子を思い浮かべてもらいたい。映像もいいけど、やはり生で見る方が数段いいのだ。


 実は、マーブルは肉弾戦でもジェミニと同等の強さを持っている、ってジェミニが言ってた。まあ、それも当然だと思う。爪に関しても、ジェミニの歯の刃と同等かそれ以上の鋭さを持っているし、弱いわけがないのだ。まあ、魔法を使うのが好きなので、普段は魔法優先で戦っているけどね。


 ジェミニは、アッサリと真っ二つにしていたようだ。それで時間が余ったので周りを観察していたらしい。


 戦姫については、1対1でそれぞれ1つずつ、あとは連携で2つという内訳だそうだ。


 殊勲賞のオニキスとライムのスライムコンビについては、スライムらしい戦い方だそうだ。マンイーターを包み込んで消化するという、ある意味えげつない方法で倒したとのこと。玉の数の差については、消化スピードの違いらしい。ライムはともかく、オニキス、君も段々強くなってきてるね。


「ところで、アイスさん、その丸い玉は一体何ですの? 宝石のようで違う感じがしますし、かといって魔石でもなさそうですわね。」


「一体何でしょうかね? 私も初めて見る代物ですからね。とりあえず鑑定をかけますか。」


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『マンイーターの魔核』・・・これはマンイーターの核というべき部位じゃの。魔力は込められておるが、魔石としてはちと厳しいかの。宝石、というにはちと美に欠ける、といったところじゃないかの。では、これの使い途とは何か? ずばり肥料じゃな。とはいえ、これ1つ丸々使ってしまうと、効き過ぎて逆に植物に悪影響となるから、砕いて少量蒔くとよいぞ。ちなみに、これ1つで、今のお主のところの畑くらいの広さ分の効果があるぞい。とはいえ、今現在、お主の領地の畑にこれを蒔く必要はないから、困っているところに分け与えるとよいかもしれんの。もちろん、肥料として使うものじゃから、食べられんぞい。

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 なるほど、砕いて粉にして肥料にするのか。肥料として使うものだし、どう見ても食べられないだろう。こんなものにも、可食性について言及せんでもいいだろうに、、、。飴じゃないんだよ、、、。


 よし、こういったものは、陛下に献上品として押しつけてしまうか、いや、リトン公爵に話して、有効活用してもらった方がいいかな。あの陛下の状況だと、うまく使える気がしないから、リトン公爵にお願いしよう、そうしよう。


「アイスさん、何かわかりましたか?」


「これは肥料としてかなり優秀みたいですね。」


「まあ、そうなると、ますますフロスト領が発展致しますわね!!」


「いえ、それが、今のフロスト領の畑に蒔いてしまうと逆効果となるらしくて、、、。」


「そうなのですか、、、。ですが、それだけフロスト領の畑には養分がたくさん含まれているのですね。」


「そうですね、仮にも、あの畑って、アマさんの加護がついているので。」


「はい? アマデウス神の加護ですって!?」


「アイスさんの領地ですからねえ、あり得ない話じゃないよね。」


「・・・アイスさんなら当然。」


「なるほど、確かに。アイスさんなら納得ですわね。」


「いや、そこで変に納得されても困るのですがね、、、。」


 マーブル達もそれが当たり前! と言わんばかりに頷いていた。マーブル、ジェミニ、ライム、お前達もか、、、。


「そう致しますと、その肥料玉どうなさいますの?」


「リトン公爵に献上して有効利用してもらおうかな、と。アンジェリカさん達もタンヌ王国用に使いますか?」


「有り難いお話ですが、ワタクシ、出来れば、あちらには戻りたくないので、遠慮致しますわ。」


「・・・強くは反対しませんけど、両陛下が心配しているのでは?」


「そんなことより、早く報告に行きません? みなさん一刻も早く、報告をお待ちしていると思いますの。」


 無理矢理話を打ち切られた感はあるけど、さっさと報告しに戻った方がいいのは間違いなので、もう一度気配探知を広範囲にかけて、まだ生き残りがいないか確認する。範囲を今できる限界まで探知をかけたけど、探知にはかからなかったので、これで戻るとする。仮に生き残りがいても仕方がないと諦めよう。


 ロックさんたちの住む洞窟に戻ってきた私達を見て、ロックさん達は最初はがっかりした表情だった。


「お、お主らでも、やはり厳しかったか、、、。」


「いえ、倒してきましたよ。これが証拠です。」


 私は先程手に入れた18個の丸い玉を取りだし、ロックさん達に見せた。


「こ、これは確かに、あのマンイーターの核、、、。ということは、まさか、、、。」


「そういうことです。」


 それを聞いて、住人達全員が喜んだ。私達全員にそれぞれお礼を言ってきた。


「ありがとう!! 食事を提供してくれたばかりではなく、俺らの敵を取ってくれた!!」


「いえいえ、通りがかりのついでですから、お気になさらず。それで、喜んでいるところに水を差すのは申し訳ないのですが、我が領への移住、考えてくれましたか? あまり話し合う時間がとれなくて申し訳ないのですが。」


「ああ、その話ならすぐについたぞ。我ら12名、喜んでフロスト領の住人となるぞ!!」


「本当ですか! それは心強い。私達は貴方達を歓迎致します!」


 よっしょあ! 金属を加工できる職人ゲットだぜ!!


 嬉しさの余り、思わず拳を握りしめてしまった。それを見たマーブル達も一緒に喜んでくれていた。それを見たドワーフ族のガンドさんは苦笑していた。


「そこまで喜ばれてしまうと、逆に怖いな。」


 ということで、無事鍛冶職人達を我が領へと迎え入れるべく出発の準備を整える。ついでに、ここをサムタン公国の隠し拠点とするべく、マーブルに転送ポイントを設置してもらった。念のために入り口付近を氷の結界で軽く隠しておくことにする。人数が人数なので、魔方陣もいつもより大きめである。ノーム族、ドワーフ族、ジャイアント族、、、一々面倒だから、洞穴の住人だったということで、これからは彼らを洞穴族と命名しよう。洞穴族のみんなは魔方陣に驚いている。


「さて、これからフロスト領へと向かいますが、その前に、皆さんのことを洞穴族と呼ぶことにします。我が領ではいろいろな種族の住民がおりますが、一々種族毎で呼ぶと面倒なので失礼ながらそうさせてもらいますので、よろしく。」


「ああ、住民として扱ってもらえるなら、我らをどのように呼んでもかまわんよ。確かに俺らをまとめた総称がないと一々面倒だもんな。」


「そう言ってくれると嬉しいです。では、洞穴族のみなさん、この魔方陣の上に乗って下さいね。」


 洞穴族のみんなが魔方陣に乗ったのを確認して、私達も魔方陣の上に乗り、マーブルに伝える。


「じゃあ、マーブル、頼むね。転送先は、アマデウス教会で。」


「ニャア!」


 マーブルが可愛く返事をしてすぐに、魔方陣が光り出す。光が止むと、周りの景色が洞窟から一面の白い壁に変化した。ボーラさんが珍しく声を発する。


「こ、ここは、、、?」


「ここは、我が領内にある、アマデウス教会の内部だよ。改めてフロスト領へようこそ! 私達は貴方達洞穴族のみんなを歓迎するよ。」


「ア、アマデウス教会ということは、アマデウス神を祀ってあるのか? 我らはアマデウス神の信者ではないのだが、問題ないのか?」


「それについては問題ないですよ。ここは私の関係でアマデウス神を祀ってありますが、領民達はそれぞれ別の神、あるいは精霊を信仰しています。これから案内するけど、アマデウス神の像がある場所が祈祷の場となっていて、そこでお供え物や祈りを捧げたりしてもらうけど。」


「ということは、俺らは大精霊様に祈りを捧げているのだが、それでもいいのか?」


「もちろん、構いませんよ。アマデウス神の像が置いてある場所は、あくまで、そこで祈りを捧げて欲しいだけで、大精霊様にお祈りをしようと他の神様にお祈りをしようと全く問題ないですから。アマデウス神本人もそうして欲しいって言ってるし。まあ、そこは慣れれば大丈夫ですから。」


 転移室を出て、祈祷の場へと移動する。祈祷の場に作られていたアマさんの像を見て、洞穴族のみんなは言葉を失っていた。


「・・・こんな立派な像は、今まで見たことがない、、、。」


「どうです? 立派でしょう? これはジェミニの自信作なんですよ?」


「は? ジェミニっていうと、そのウサギが、、、?」


「そうです! いいできでしょう?」


 ジェミニが自慢げに言う。うん、これだけいいできだもんね。まあ、それだけでなく、アマさんの加護で不壊の効果もあるし、元々も凄いけど、かなりやばいコーティングが施されているのは間違いないね。


 教会を出てからも、洞穴族のみんなは驚きっぱなしだった。


「ほ、本当に、人だけでなく、獣人達もいて、ウサギ達にゴブリン達、コカトリスまでも、、、。」


 私達を最初に見つけたのはコカトリスで、「コケーッ!」と鳴きながらこちらに飛びついてきた。私はそれを抱き留めて羽毛ではあるけど、モフモフを堪能する。こちらもなかなか。それを遠目に見ていた洞穴族の子供達は、触りたそうにチラチラ見ていたので、「撫でてごらん」と促すと、最初こそ子供達は恐る恐るといった感じだったけど、やがて慣れてきたのか「きゃーっ」と言いながら抱きついたりしていた。


 コカトリスをモフっているときに、それに気付いたウサギ達もこちらに突撃してきたので、代わる代わるモフモフする。それを見たマーブル達も突撃してきたので、もちろんしっかりとモフった。どの子もいいけど、やはり私はマーブルが一番かな。いつの間にか戦姫もモフモフタイムに突入していた。ウサギやコカトリス達は私がモフっていたときよりも嬉しそうだった。いや、分かってはいるんだけど、何だか悲しいと思った。


 しばらくモフモフを堪能して領主館へと案内する。これから彼らに住んでもらう家などの細かい部分についてはカムドさんやフェラー族長に頼む方がいいからだ。


「おお、主、お早いお帰りで。それで後ろの方達は?」


「ああ、フェラー族長、紹介するとね、それぞれ、ノーム族、ドワーフ族、ジャイアント族のご家族だよ。今日からこのフロストの町に住んでもらうことになった。で、この3族をまとめて洞穴族と呼ぶことに決めたから。こちらは狼族の獣人であるフェラーさん、私は族長と呼んでいるけど。で、こちらはゴブリンのカムドさん。2人にはこの町をまとめてもらっているんだ。」


「なるほど、新しい住民となる方ですか、フロストの町へようこそ。私はフェラーと申します。こちらに来られたということは、何か訳ありのようですが、ここに来ればもう大丈夫です。ここの生活を楽しんで下さい。」


「私はカムドと申します。ここフロスト領はこちらにいるアイス・フロスト伯爵が治めており、ご覧の通り領主こそ人族ではありますが、領民には人族だけでなく、獣人や我らゴブリンなどの魔物と呼ばれている者達も住んでおります。間違いなくここを気に入ってくれると思います。もちろん我らも大歓迎します。」


「自己紹介かたじけない。では、俺、いや、私はロック。ノーム族です。フロスト侯爵様に誘って頂いてここにご厄介になることにしました。今はまだ何もできない身ではありますが、何卒よろしくお願いします。」


「じゃあ、互いに簡単な自己紹介も終わったことだし、フェラー族長、カムドさん、洞穴族のみんなが住む家とか、仕事をしてもらう場所とか、案内よろしく。」


「承知しました。では、私が案内しましょう。では、洞穴族の皆さん、これより皆さんに住んでもらう家について話ながら参りましょうか。」


 そう言って、フェラー族長が洞穴族のみんなを連れて領主館を出た。残ったカムドさんが話してきた。


「アイスさんが、新たな領民を連れてくるなんて珍しいですね。まあ、ノーム族は金属生成に、ドワーフ族は金属加工に、ジャイアント族、しかも彼らはケイブジャイアントという珍しい種族ですね。彼らは木工の加工に優れていますね。我らゴブリンは器用ではありますが、あそこまで専門性はなかったので非常に助かるのですが、それだけが理由ではないでしょう?」


「流石はカムドさんですね。お見通しですか、と言っても、別に大した理由ではなくてですね、道中で昼食後の休憩をしていたときに出会ったんですよ。それで、成り行き上こうなったというのが大きいですね。」


「なるほど。アイスさんらしいといえばらしいですね。どちらにせよ、彼らの移住は我らにとってもかなり大きいですね。彼らの技術によって、フロスト領は生産力と軍事力のどちらも飛躍的に増しますね。それと名声もですな。」


「名声は必要ないですね、正直。」


「アイスさんのそういった姿勢が逆に名声を高めているんですよ。名声狙いで今まで取り組んでいたら、ここまで発展はしていないでしょうね。あとは商業ですかね。」


「商業ですね。とはいえ、今我が国に存在する商業ギルドではダメですね。それだったら、いない方がマシですからね。」


「それはもちろんですね。まあ、難しい話はこの辺にしておきましょうか。今日は歓迎会の準備ですな。恐らく皇帝陛下も大はしゃぎとなるでしょうから、アイスさん、頑張って下さいね。」


「ありゃ、そうだった。歓迎会はむしろやるべきだと思っているけど、そうか、トリトン陛下が加わるんだよな、、、。じゃあ、私は料理の準備にはいるから、残りの仕事はカムドさん頼むね。」


「了解しました。私も楽しみにしていますよ。」


「アイスさん、ワタクシ達も手伝いますわ! 何でも仰って下さいな!!」


「アンジェリカさん、ありがとうございます。頼りにさせてもらいますよ。」


 そんな感じで領主館の執務室を出て、食堂へと移動する。もちろん今日開かれる洞窟族の皆さんの歓迎会の準備だ。さて、張り切って参りましょうかね。


トリトン陛下「ん? どうやら、さんざん引っ張ってきた新作がついに食えそうだな。」

リトン宰相「そうですね。(本当は新作じゃないんですけどね。)」


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