賢者と呼ばれる者
一週間どころか二週間近く空けてしまいました。多忙を極め更新が滞ってしまい申し訳ない。なるべくアップできるように頑張ります。誤字の報告や感想ありがとうございます。見直して修正はなかなか時間がとれないため、今後の参考にさせて頂きます。よく読んでくれているんだなと思って、励みになります。ありがとうございます。
トランスとリーゼ、サラは、医務室の前で待っていたシープに連れられ、バルトロの私室へと向かっていた。妙に生暖かいシープの視線に疑問を浮かべながら、それほど遠くはない部屋の前でシープが立ち止まりノックをする。
「マスター、お二人をお連れしましたぁ」
「おぅ、入れ」
バルトロの野太い声が聞こえると、シープが扉を開け、三人が部屋に入る。
「ご苦労だったな。下がっていいぞ」
「はい、それでは失礼しますぅ」
バルトロが視線を投げかけると、軽く会釈をしてシープは部屋から出ていく。室内の椅子にはバルトロがその巨体を預け、その机の側には、フードを目深に被ったあの時の人物が立っていた。
「久しぶりだな。サラ。戻って早々面倒ごとに巻き込まれたみたいですまねぇな。こればっかりはうちのギルドの面目がたたねぇところだ」
「いえ、私が残してしまっていた禍根ですから。冒険者である以上それを振り払うのは自身でなければいけませんから。それよりも色々と場を収めるためにご協力ありがとうございました」
「ほぉ……、何だか吹っ切れたか? いい目をしてんじゃねぇか。まぁ、お礼ならそこの奴に言うんだな。魔法に関しては止めたのはこいつだ。ま、今回に関しちゃ丁度よかったから、俺の方がお礼をいいたいぐらいだがな……」
深々と頭を下げ、視線を外さずに答えるサラに、バルトロは口角を上げ笑いかける。肩を竦めると、意味ありげなことをいいながら、親指でフードを被った小柄な人物を指さす。お礼を言われる事柄に心当たりのないサラは、きょとんとしながら、小柄な人物にも頭を下げた。
「それと、嬢ちゃん、さっきは悪かったな? 怖かったろ? 模擬戦とはいえ勘弁してくれや」
「う?」
「……自覚なしか? ま、いいっこなしってことでよろしくたのむわ」
頭にクエスチョンマークがいくつも出ているかのようなリーゼの反応に、バルトロは目を細めるが、すぐに視線を切りトランスに話を振る。
「バラックからの手紙は読ませてもらった。謎の鎧と嬢ちゃんの呪い。不可思議な魔物の発生。それと、何故か使える回復魔法だったか?」
ぴくりと身体を強張らせるトランスとサラに、ニヤリとした笑みで答えるバルトロ。不思議そうな顔でリーゼがお互いの顔を見合っていると、目深にフードを被った人物が口を開いた。
「バルトロ。いい加減これの紹介ぐらいしてくれたらどうだい? 話をするタイミングがつかめないんだが。あと、あまり若者をいじめるのは感心しないよ?」
「ん? あぁ悪いな。こいつがお前さん達の問題を解決してくれそうな筆頭だ。色々と面倒な奴だが物は知ってるやつだ。色々と頼るといい」
「なんだいその紹介は……。 ギルドでは【万能たる器】とも、【大賢者】とも呼ばれている。白金ランクの冒険者だよ。よろしくね」
目深に被ったフードを取ると、白銀ともいえるような美しい長髪に、雪のように白い肌をした少女の顔があらわになる。紅の瞳と黄金の瞳のオッドアイであり、まるで完成された人形のような顔をしており、その耳は森人族の特徴である尖った耳をしている。
「あ、あぁ……。トランスだ。よろしく頼む。こちらはリーゼという」
「あぅあぅ!」
「さ、サラです」
トランスとサラは自己紹介をするが、子供の容姿からは想像も出来ないような色気すら感じる声色に言葉を詰まらせる。その様子を見て呆れたような声でバルトロが声を挟んだ。
「お前……、せめて呼び名ぐらい教えてやれや」
「ははは、これのことは適当に呼んでくれればいいよ。まぁ、よく言われるのは賢者とかかな?」
「この通り面倒な奴だが、色々あって拗らせちまってんだ。多めにみてやってくれや。なんとなく察してるとは思うが、見た目通りの年齢じゃねぇからな……いくつだっけか?」
「拗らせるとはなんだい拗らせるとは。あと年の話しはタブーだと言っただろう? たしか……五百を超えてからは数えてないな」
「ご、ごひゃく!?」
「うー!」
突拍子もないカミングアウトにサラは絶句し、さすがのリーゼも驚きの声を上げる。トランスに限っては信じられないものを見た、という目をして眉間に皺を寄せている始末だ。
「ま、そうゆうことだから色々と物を知っているって訳だ。本来なら呼ぶなり探すなりしなきゃいけなかったんだが。サラの騒動で向こうから来てくれたからな。助かったぜ」
「普段は王都にいないのか?」
「白金級ともなると忙しいんですよねきっと……」
「いや? 暇だよ?」
「ぬ?」
「え?」
バルトロの言葉に、トランスとサラが思い思いに理由らしいことを口にするが、即座に賢者は否定する。
「だって指名手配されてるし」
何でもないかのように出た言葉に、トランス達は絶句するしかなかった。




