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スペルドキャッスルの雪宴  作者: RIKO(リコ)
第一章 ジオラマの国
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6.謎のフィギュア

 相良あらい家の台所で、京志郎は途方にくれていた。

 突然、起こった地震のせいで家が半壊。2階の部屋は全部潰れてしまって、無事だったのは、1階のリビングダイニングだけのようだったからだ。


「叫び声が聞こえたけど、姉ちゃん、生きてんだろうな……」


 姉の百合香がいたであろう地下の風呂場。リビングを出たところにある廊下から地下に行く階段は、土砂で堰き止められてしまっているが、隙間から覗いてみると、かすかに灯りが漏れていて、風呂場自体は潰れていないようだった。


「おーいっ、姉ちゃんっ、無事かぁっ」

 

 声をあげて呼びかけても、返事はない。


 困ったな。


 幸い、停電はしていなかったが、京志郎は、もう一度台所へ戻ると、ダイニングテーブルの後ろをまわって、唯一移動できそうな隣の図書館への扉を開いてみた。


*  *


「うちより古い建物なのに、ここは大丈夫みたいだ」


 図書館の1階は、ほとんどの書棚の本が床に落ちて元に戻すのには相当な時間がかかりそうだったが、外国文学などの古い本がある棚はきちんと本が整っていて、被害はあまりないようだった。

 館長にも連絡したいけど……その時、京志郎ははたと首を傾げた。


 館長ってどこに住んでるんだっけ?


 そういえば、自分は館長に会ったこともない。

 図書館の2階にある館長室はいつも鍵がかかっていて、中に入れないし、声を聞いたこともない。どんな人かも知らない。……小さい頃から自宅と図書館が繋がっていたのにもかかわらずだ。


 あれ……そういえば、

 僕、どういう経緯いきさつでこの図書館でバイトすることになったんだっけ?


 考えれば考えるほど、頭に紗がかかったように色々なことが分からなくなる。何でだ。地震で頭でも打ったか。


「あ、そういえば、僕のジオラマ! 無事なのか?!」


 それでも、自作のジオラマのことは忘れることはなかった。京志郎はカウンターの脇の螺旋階段を急いで駆け下りて、図書館の地下へ向かった。


「うわっ、ここ、壁が壊れちゃってる」


 よくよく見れば、壊れた壁の向こうは自宅の風呂場?……じゃないか。

 だいたい風呂場が地下にあるのだって変だし、それと図書館の地下が繋がっているなんて、非常識すぎる。おまけに、風呂場にあるはずのバスタブがない。その中で風呂に浸かっていたはずの姉もいない。図書館の地下の床はびしょびしょに濡れてしまっている。


「……一体、何が起こってるんだ」


 京志郎は、自作のジオラマの方に目をやった。精魂込めて作り上げた中世英国風の城や城下町は、どうやら無事のようだったが、丁寧に配置したミニフィギュアの兵隊がばらばらになってしまっている。


「あれ? こんなフィギュア、作ったっけ?」


 南の森の入り口に立つ大魔法使い”グレイ・マウザー”のフィギュア。それは、それで良いのだが、その隣に覚えのないフィギュアを見つけて、京志郎は首を傾げた。

 袖に金糸の縁取りがついた純白のドレスを纏ったお姫様。胸には真紅の薔薇の花。自分が作るのはミニチュアゲームの戦闘用のジオラマだ。こんな戦力にできないモノを置くわけがないのに。


「……おかしいな」


 グレイ・マウザーが魔法で作った”嫁”だったしりて……。

 まさかな。でも、いくら考えてみても、このフィギュアには覚えがない。


 それが、自分の作ったジオラマの国に入り込んでしまった姉の姿だったなんて、京志郎は思ってもいなかったのだ。



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