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スペルドキャッスルの雪宴  作者: RIKO(リコ)
第四章 崩壊寸前、ジオラマの国
34/85

2. 京志郎、破壊者となる 

 ベルベットが変化した一本鞭で地下牢の鍵を壊し、地上に出てきたシーディと百合香。

 シーディは汚れた服の代わりに、コスプレ趣味の百合香に無理矢理、ミラージュのブラウスを着せられて文句たらたらだったが、大・大・大問題は、そんなことより、外に出た瞬間に彼らが見た光景 ―


「京志郎おぉっ! お前、何やってくれてんだあぁっ!」


 がらがらと崩れる城壁。剥がれる芝生。二本あった尖塔のうち、一本は破壊され、もう一本もひび割れて縦に亀裂が走ってしまっている。


 ジオラマの国の創造者たる少年の巨大な顔が、憎々しげに下界を見下ろしていた。

 彼は恐ろしく長い五指で、シーディたちがいる北の城をなぎ掃おうとしていた。

 

 

「こんな国は、ぶっ壊してやるんだ。僕の好きにできないジオラマの国なんて、さっさと、消えてなくなれ!」


 彼は、もう創造者でなく、破壊者。


 シーディと百合香は、唖然と空を見上げるばかりだった。


 *  *


 一方、形を保っている残りの塔へ逃げた白魔女は、バルコニーから天を見上げてほぞを噛む。


 天空からこちらを見下ろしている巨大な少年。

 見目は麗しいが、形の良い眉根はつり上がり、相当におかんむりの様子で、口はへの字に曲がってしまっている。


 少年は巨大な手で、目下、怪獣映画そこのけに皇宮を破壊中。

 

「おのれ、おのれ! あれが魔法大皇帝マジックエンペラーか! 黒魔女からの申し伝えで我は知っているぞ。天上でのあやつの正体は、()()()()()だ。しかし、ここからはどうにもできぬ。ああ、忌々しい! この国を我モノにする肝心要の時だというのに!」

 

 白魔女は苛立っていた。

 ところが、窮地で悪巧みが閃くのが敵役の常。

 にやりと邪悪な笑みを浮かべると、白魔女は大きく開いたドレスの胸元をありったけに膨らまし、配下の男の名を呼んだ。


「近衛兵長ミラージュ、どこにおる! ? お前にやって欲しいことがある!」


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