第一話 お人好しと怒りすぎ
僕は少女からもらった綺麗な石を持ちながら、誰もいない公園
(確か、リリカ新公園?)で仲間の女の子を待つ。
それにしても、この石どうしよう┈。きっとあの子、怒るだろうな。だって盗聴機だもんなぁ。仕方ないから、捨てよう。
「┈アーサー」
「わっ!?」
やけに低い声の主の方を見るとそこには僕と同年代のつり目が目立ち、暖かそうなコートをまとっている少女が立っていた。
「やぁ┈モーガン┈」
そう、彼女の名前はモーガン。僕の仲間であり、友達である大切な欠かせない人だ。
「┈何よその石」
「へ?」
僕は分からないのでつい間抜けな声を出してしまう。するとモーガンはさらに強く言って
くる。顔をタコみたいに赤く染めて。
「だからッ!その石はなにッ!」
「えっ?これは町の女の子から貰ったんだけど┈」
するとモーガンは真っ赤だった顔から一変、不機嫌そうにそっぽを向く。
「┈なにそれ。あんたと会えるって┈楽しみにしてた自分がバカみたい」
モーガンはそう寂しそうにポツリと言い、すぐこちらを見る。
「ほらアーサー。早く行くわよ。この石は┈捨てて良いわね?」
なんだかモーガンは冷たい。声もどこかしら低い気がする┈。僕はもう歩き始めたモーガンを追い、とぼとぼ歩く。多分後ろ姿はとても情けないことだろう。
その光景をある一人の少女┈石をアーサーに売った少女が、見ていた。少女はアーサーに
聞こえないくらいの声で、笑う。でももう少女の笑い方には華やかさも、可愛さも
残っていなかった。
「ふふっ。アーサーさん、気づいてないのかなぁ。私があなたの敵┈だってこと」
少女は人が変わったようだった。ただ笑っているだけなのに。なのに恐怖を感じる。
「アーサー王┈だっけ?早くその力、見せてね。じゃないと┈殺しちゃうから。」
少女はそう呟く。けれどその呟きは、アーサーとモーガンの話し声で消えてしまった。
こうして、戦いは幕を開けた。