表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第三章 3節   <11話>
90/200

<11話>  「踠きし者」   =Eパート=


「どうしてこうなった……」


「どうしてこうなった!? (^ω^) 」


「どうしてこうなった♪

どうしてこうなった♪ (^ω^) 」


「どうしてこうなった♪

どうしてこうなった♪ (^ω^) 」


私は母の好きだったネットスラングを思い出していた。


富くじの件で動揺していた私。

商会の者に「学歴は?」と聞かれ、思わず電子工学の修士課程中と素で答えてしまった。


すると何故か、雷魔術の魔素研究をしている導師と認識されてしまったのだ。

この世界では、魔法、魔術の上に魔導が存在する。

つまり、権威という事なのだ。

権威ある導師の助言により富くじを実施するに至った。

そういうウィリアムさんの筋書きになった。正直、参った。


(まさかこの世界で学帽を被ろうとは……)


私は四角い学帽に外套、そして中は足首まであるロングワンピースだ。

正直、恥ずかしい。


「よくお似合いですよ。お姉様」


(イリーナってば、他人事だと思って……)


私たちは会議の開かれる会場へと来ていた。

イリーナは聖母教の司祭服で来ていた。

母であるエミアスのつてで手配して貰ったそうだ。


「馬子にも衣裳……、じゃないな。

『龍に翼、虎に角、獅子に鰭有る勢い』だったか?」


さすがは聖女様だと、素直にそう思ったのだ。



会場は独特の構造をしていた。

極小さな円形のコロッセオであり、中央部に庭があり、中心にガゼボ(日本語で言うなら「東屋あずまや」)、つまり屋根と柱だけの建物がある。


このガゼボは天井が独特で、石で出来ており、中央に石の円錐が下を向いて設置してある。

どうやら、声を反射させて会場内に広く聞かせられる構造となっている様だ。

庭の外側の観客席に居る私にも、中央での話し声が良く聞こえる。


凄く科学的だが、おそらく石の削りは水魔法あっての物だろう。

(不思議な世界だ)



臨時総会は、西方商会の負債概算報告から始まり、順調に進んでいった。


ウィリアムさんは特別組合員として、役員と同じ中央のガゼボの中に居る。

その二つ隣には、私と同じ様な角帽に外套姿の男が居る。

かの男も、きっと私と同じく立場は学識者なのであろう。

だが私は少し違和感を覚えた。


(どこかで見た様な……。誰だっけ?)


気になったので調べて見た。

検閲ちらっ


GMスキルでステータスを確認。


=============================================

<<ビニー・ケイル>>

種族:人間

性別:男

年齢:31歳

職業:不明

=============================================


(誰だ? こいつ……。職業不明って私の検閲が効かないの!?)


私は記憶を遡る。

(ダメだ。全く記憶にない)

きっと、どこかで見た様な気がしただけーーとの結論に至った。



総会が開始してから一時間が経過し、休憩となった。

私はその休憩の間に呼ばれ、結局ギルド役員

と同じ中央のガゼボの中へと行く事になってしまった。


役員理事達に魔導師として紹介される私……。

(転移魔法以外、魔法も魔術も使えないんですが……)


女性で学のある研究者、さらには赤髪の為ネルダーザの王族ではないかと思われ、役員の皆が私に興味津々であった。

そしてギルドの副理事長の内の一人に捕まり、どういった内容の研究をしているのかを聞かれた。

困った私は「実例で説明します」と言ってのけた。


私は袖の内から杖を取り出す仕草をして、麒麟の髭を取り出した。

もちろん、袖の内からではなく、アイテム収納から取り出したのだ。


私は杖(実際には麒麟の髭)を振る。

杖の先がテーブルの上にあった金属製のグラスとぶつかり極小さな雷撃が発生した。

その瞬間、テーブルの上にあったはずのグラスが、私の左手に収まっていたのだ。

それを見ていた全ての役員が、驚愕の眼差しで私を見つめた。


ちなみにタネを明かすと、今のは麒麟の髭が持つ追加効果の雷撃が発動した瞬間に合わせて、私が転移魔法でグラスを左手に引き付けただけだ。

つまり全てハッタリと嘘っぱちなのであった。


それでも目的達成には充分過ぎた。

もはや私に問い質す者はいない。

驚愕し、怯んでしまっていたからだ。


無理もない。この世界において転移法術は、転移陣を用いた魔術以外、知れ渡っていないのだ。


私はテーブルではなく、ウィリアムさんの後ろに顧問という形で席が用意された。

そして二つ隣の席のケイル氏からは、殺意の込められたら視線を戴いた。

(めんどくさい男だなぁ……)



Fパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ