表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第三章 3節   <11話>
87/200

<11話>  「踠きし者」   =Bパート=

二週間ぶりの連載にもかかわらず、数時間で300PVと、

半日で500PV近いアクセスを戴きました事をこの場をもって

御礼申し上げます。 それはとても励みとなりました。


皆様の期待に応えられる様、読んだ事や見た事のない物をお届けできたらと思います。

引き続き誠心誠意執筆していきます!


2019年3月9日  すめらぎ



「そうね、とりあえず火を。火を消しましょう」


「そうっすね!」


私はふと思った。

このエルフはおそらく、イリーナの探していた聖母教司祭のエルフなのではと。

そしていつの間にか、エルドリナが召喚してくれていた光精霊が居ない。

(いつからだ?)

私は思い起こす。

(この村に着いた時からだ!)

頭の中で、この推測に行き着いた。

「そろそろエルドリナが来る」


その言葉を口にした、まさにその時だった。

エルドリナの魔力を感じたのだ。


それは明らかに徒歩ではない速さで、近寄って来る。

スパスも何かを感じたのか、その方向に目をやる。


すると、人間の四倍はあろう巨大な狼に跨がったエルドリナが現れた。


「何それ! ズルい。私も乗りたい!」


エルドリナが目の前までやって来ると、狼は召還魔術陣の中へと消えて行った。


「申し訳ございません。リル様、お待たせ致しました。私の初めの予言よりもだいぶ早く、物事が進んでおります。星の位置が悪く、遅参してしまいました。すみません」


「良いから、良いから。それより火を。お願い、エルドリナ」


「かしこまりました」


エルドリナが魔力を込めると、地面に召還魔術陣が現れる。

そしてそこから、水の精霊とおぼしき女性の形をした液体が三体現れた。

さらにそれらは向かい合い、祈りを捧げた。

すると目の前から三体とも消え、村の火元の何も無いはずの低空から水が降り注いだ。


(さすがは八英雄の弟子だ)


私はその光景に神秘的なものを感じた。

この世界へやって来てから、今までで一番に魔法や魔術らしいと思えたからだ。


そして村の火災は、瞬く間に全て鎮火した。

白ローブのエルフは、今度は両膝を付く。


(これで一段落かな?)


私は白ローブのエルフを見つめた。

映画やアニメの物語に、主人公として出てくる様なイケメンだった。

髪型はオールバックで金髪。耳が長く先が少し尖っている。


イケメンで目の保養をしていたら、イリーナがやって来た。

(イリーナ、良かったね。イケメン、もといエルフの聖母教司祭に出会えて)


イリーナは、白ローブのエルフに気が付いた様だ。

普段物静かな喋り方の彼女が、らしくない大きな声で呼び掛ける。

「お母様! エミアスお母様!」


(そうそう。お父様、お父様。……ん? お母様?)

「え?」

(女なの!? まあ、確かに私の知っている男の森エルフと言えば……)


私はスパスを凝視した。


「なんすか、姉さん」


「女だわ」


「俺、男っすよ」


(あぁ、そうね。エミアスさんはどう見ても女だわ)


「何すか、何すか? 姉さん」


「あぁ、はいはい」


「え? 何それ! 扱い、ひど……」



白ローブのエルフ、エミアスは声の主がイリーナだと直ぐには気が付かなかった。

無理もない。魔王に50年以上前に拉致された聖女が、目の前にいるとは思いもしないからだ。

だがイリーナが近づくにつれ、青く幻想的な髪がエミアスの記憶を呼び起こす。


「イリーナ様? 聖女イリーナ様なのですか?」


「エミアス……」


イリーナは両膝を付いているエミアスに、両腕で抱えるようにして抱きついた。


「そんな……」

エミアスの声が、滲む。


「やっと、会えましたね。エミアスお母様」


「申し訳、ござい、ません……。魔王に、捕らわれ、我々に成す術もなく……」


「もう、良いのですよ。こうして再開出来たのですから」


「イリーナ……さま」


「私を魔王から救い出して下さったのは、あちらにいらっしゃるお姉様なのですよ」


エミアスが私を見つめる。


「初めまして、エミアスさん。冒険者のリルです」


「あぁ、私ばかりか、イリーナ様までお救い頂いたのですね。ありがとうございます。このご恩、一生を賭して……」

そう言うとエミアスはうつむいた。


「えっと……。イリーナは私の妹みたいなものだから、そんな恩義なんて」


「赤い髪、まるで太陽神の様な、お方……」


「へ?」

(またこのパターンか!)


「そう言えば、エミアスは術を発動中の様ですけれど?」


イリーナが話に割り込んできた。

(ナイスだ。イリーナ)


「ええ、イリーナ様。あいにく魔力が不足していまして。宜しければ、お力を」


「もちろんですよ」



Cパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ