<10話> 「天翔る星の煌めき」 =Eパート=
<10話> 「天翔る星の煌めき」 =Eパート=
窓から入る朝日に起こされ、目が覚めた。
(何故か、すうすうする)
掛け布団を少しめくると、何故か三人共裸だった。
(あれ? 着ないで寝たっけ?)
思い出せなかった。
(んー。謎だ)
その後、服を着て皆で朝食を軽く食べ、出発の準備をした。
イリーナがコテージを仕舞う時、ある疑問が再現した。
「これ、中に人が居た状態で仕舞ったら、どうなるんだろう?」
「さあ、どうなのでしょう。そんな事を思うのはお姉様ぐらいですよ。試してみます?」
「生き物を入れた事はある?」
「いいえ」
「じゃあスパス、入ってみてよ」
「なる程ね。ってオイオイ! 俺は実験動物かい」
「冗談、冗談」
次の瞬間、数名の視線がフリックへ向かった。
「エ、オレか? ソコで、オレなのか?」
エルドリナが提案した。
「でしたら、まず私の傀儡で、試してみますか? あれは半分生きている様なものですから」
「よく分からないけれど、リナさんが良ければ」
エルドリナは早速、傀儡を召喚する。
地面に魔術陣が現れ、幼い男の子が出てきた。
「あ、月詠み部屋へ迎え入れてくれた少年だ。あれは、人ではなかったのか」
エルドリナが答える。
「んー。正確には、半分人間ですね」
「ん?」
その時はまだ、私はエルドリナが言っている事の意味を理解出来なかった。
そして早速、実験が始まった。
傀儡のみを多次元収納に入れてみた。
「ダメですね。中との連絡は。あと視覚共有等も出来ません」
傀儡を取り出してみた。
「問題ありませね。中での記憶はほぼありませんが」
「んー。私が入ってみるか」
「お姉様が、ですか!?」
「まぁ、大丈夫でしょう。いざとなったら転移できるし。ああ、そうだ。多次元収納のコテージで生活できるかも試してみるから、コテージごとしまってね。1日か半日経ったら、コテージごとかあるいは私だけ出してね」
「全く、お姉様は怖いもの知らずなのですから」
「じゃあ、お願いね皆! 旅路の方は任せた!」
そう言うと私は一人、コテージに入る。
そしてイリーナが多次元収納に、コテージを吸い込んでいった。
目の前が、一瞬暗くなった。
「我が友よ、全く面白い事を考えおるわ」
邪神の声が聞こえた。
それに答える前に、まず状況確認をした。
とりあえず、私は無事の様だ。
状態異常やダメージ、欠損等もない。
転移魔法は、この空間内での転移のみの様だ。
GMスキルの跳躍は、さすがに使えそうだ。
これは世界をも跨げるスキルだからだ。
座標設定も出来そうだ。設定すればイリーナの元に飛べる。
(さて、皆には悪いが一人でゆっくりと、くつろぐか。って邪神の意識が居るから二人か?)
そう思った瞬間、光が射し込む。
(眩しッ)
コテージがイリーナによって取り出されたのだ。
(イリーナは心配症だなぁ。こんなに直ぐ取り出すなんて)
「はーい」
「お姉様、どうでした? 半日入ってみた感想は」
「はえ?」
どうやら、中と外で時間の進み方が違うようだ。
「僅か数秒にしか感じなかったのだけれど、出てきたら半日経っていたわ」
私の回答に対し、イリーナは目を瞑り考え込む。
「まぁ、中に長居は無用って事よ」
「そうですね。お姉様」
イリーナは瞑っていた目をゆっくりと開けた。
外の世界が半日後であり、もう直ぐ日が暮れる。
私は一日損をした様な気になった。
Fパートへ つづく




