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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第三章 1節   <9話>
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<9話>  「最後のドルイダス」   =Jパート=


(ここが月詠みの部屋か。下の部屋よりも広い空間だ。

 って、あれ? エルドリナさん以外に他に誰も居ない。

 まさか! エルドリナさんが実は八英雄でしたってオチ!?)


「こちらです」


「ん?」


床に魔術陣があり、緑の光を放ち始めた。

エルドリナは陣の中央に移動した。

そして恐る恐る近寄る私に、エルドリナは手を差し伸べてきた。


「申し訳ございません。機密保持の為、先ほどは『最上階で待っている』とお伝えしましたが、

 ここから転移いたします」


「わかりました」


私はエルドリナの手を握り、魔術陣の中へと入って行く。

イリーナは後ろから、そっと入って来た。


私は無意識に転移前の座標を一瞬で読み取った。

もはやGMとしての職業病だ。


魔術陣はエルドリナの魔力が注ぎ込まれ、緑色の輝きが増す。

そして次の瞬間、転移した。



転移先から数歩進むと、天井に星々が描かれた広い空間が、そこにはあった。


私は直ぐさま座標を確認した。

(ほぼ真下の地下か)


そして私は、部屋の中央に強い魔力を感じた。

(この魔力、八英雄!)


エルドリナを先頭に部屋の中央へ移動する。

中央には石の台座があり、その向こう側に、長く白い髪の老婆が居た。


(老いてなお、この魔力か。エルドルナ)


中央の台座の周りには、石でできた支柱がいくつもの立っていた。


「ルナ様、お連れいたしました」


「うむ。ご苦労であった」


「はじめまして、リルです」


「イリーナと申します」


「これはこれは、ようこそお越し下さいました。リル様」


(あれ、イリーナが抜けている……)

「私たちが来る事を既に50年も前から、予言していたと、伺いました」


「左様です、リル様」


「魔王の出現も、予め知っておられたのでしょうか? もし、分かるのならば、ほぼ同時期の転移についても」


「申し訳ございません。リル様。そちらに関しては、殆ど把握しておりませぬ。

 それにリル様が、我々のこちらの世界へいらっしゃるという大事に比ぶれば、魔王など」


(このパターン知ってるぞ。魔神エンキの時にあった! てか、別の世界の者だってバレてるし)

「そうですか……。ではここへやって来た、最大の目的の、聖母教のエルフの居場所を占っていただけないでしょうか?」


「リル様、それに関しては、既にリナめが占っておりますぞ。リナが現地まで案内できるよう、手筈を整えてあります」


エルドリナがこちらを見て微笑んだ。

快諾との事であろう。


「恐れながら、リル様。先ほど最大の目的と申されましたが、最大の目的はこちらかと」


そう言うと、私を石の台座の上で横になるようにと勧めてきた。

私は訳も解らず、イリーナと手を繋ぎ、共に横になった。


「冷たっ」


石の台座は冷えていた。

イリーナは寒いからか、私に腕を絡めてきた。

(暖かい……)


「イリーナ様も一緒ですか……。まあ、良いでしょう。それでは、しばし悠久の時を……」


私たちは目を閉じた。





「眩しッ」


スマートフォンに付いているカメラのフラッシュが私とイリーナを襲う。


「おー。映画のイベント? ゲームのイベント?」

「おー。コスプレイヤーが来ているよ」

「日本人?」

「テレビの撮影かな?」

「カメラどこだ?」


「ちょ! 勝手に撮るなやー! って? あれ? 元の世界? 地球??」


とっさに私はイリーナをかばう。


周囲に石で出来た支柱が並ぶ。

遺跡は観光地だった。


「ここってイギリスじゃ?」



――――― ステータス表示 ――――――――――――

2019年 10月23日(水) 14:21(GMT)

特記事項: ハーフターム期間


北緯 51度10分44秒 (51.178889)

西経 01度49分34秒 (-1.826111)

――――――――――――――――――――――――――



10話へ つづく

9話をお読みいただき、ありがとうございます。

そしてこの話にて、本編のみでの10万字を超えました。

時間を割き、ここまで読み進んでいただいた読者の方々に

心より、感謝を申し上げます。


今回も予定より長くなり、何シーンかは次話以降に移行させました。


さて、10話ではどういった展開が待ち受けているのでしょうか?

2019年の世界、それは現実なのか、仮想なのか、現実の過去なのか、それとも別の世界なのか?


それでは引き続き、お楽しみ下さい。

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