表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第三章 1節   <9話>
76/200

<9話>  「最後のドルイダス」   =Iパート=

<9話>  「最後のドルイダス」   =Iパート=


私たちは案内され、螺旋状の階段を昇って行く。

丁度一周した所に扉があり、それをくぐる。


決して広くはないその円錐型の部屋は、外からの光は入らず、壁一面の灯籠によりの照らされ、神秘な感じを受ける。


円形のテーブルがあり、木の実や果物、そして暖かいスープが用意されていた。


席に着くと、奥の扉から、30前後と思われる女性祭司が現れた。


「いらっしゃい。ステファノさん、フリックさん。半年ぶりかしらね。

 そして、初めてまして。リル様、イリーナ様。 私は祭司のエルドリナと申します」


「はじめまして。冒険者のリルです」


「はじめまして。聖母教のイリーナです」


「どうぞ、果物などお口にしながら、お聞き下さい」


フリックはブドウを皮ごと口に何個か含んだ。私も暖かいスープを口にした。

山羊のミルクを使って煮込んだスープの様だ。馬車での旅の疲れが癒える。


「実はお二人が、本日こちらへやって来る事は、50年も前に判明しておりました」


「ぶーー」


私は思わず、口に含んだスープを吹いた。


「お姉様、汚いですよ……」


「驚かせてしまい、すみません。我が師の『月詠み』という能力の一端でして」


「ああ、八英雄の」


「ええ、我が師エルドルナ。実はこの建物の最上階である『月詠みの部屋』にてお待ちです」


ステフが思わず立ち上がり叫ぶ。

「えー! 八英雄のエルドルナ様が上に!?」


「ステフさん、お行儀悪いですよ……」


「ごめんなさい、イリーナ様。でもリナ様、僕、会ってみたいんだ……」


「すみません、ステファノさん。今、師は魔力の制御があまり出来なくて……。

 あなたはおそらく、師の魔力に当てられてしまい、耐えられないから……」


「うんん。こちらこそ、わがまま言ってすみません」


「師は今、重要な儀式の最中で、それ以外の事に魔力を制御出来ないのです」


イリーナが口を開く。

「エルドリナ様、私の様な聖母教の者とお会いして、宜しいのでしょうか?」


「イリーナ様、私の事はリナとお呼び下さい。

 それと宗教は違えど、我々にとっても聖女様に変わりありません。

 貴女様の挺身は師より聞き及んでおります」


「ありがとうございます、リナ……さん」


(なるほど。リナさんはイリーナの方が格が上だと)



「それでは、私は師の手伝いをして参ります。

 準備が出来ましたら、リル様とイリーナ様をお呼びいたします。

 それまで、こちらでおくつろぎ下さい」


「ありがとうございます。リナ様」


「リル様、貴女様に『様』を付けて頂くなど畏れ多い。リナと呼び捨てになさって下さい」


「へ? じゃあ、リナ……ちゃん?」



「それでは、失礼いたします」

そう言うとエルドリナは、奥の扉に消えて行った。


食事を済ませ、一休みしたあたりで奥の扉から人が出てきた。

エルドリナではなく、子どもだった。

それもステフよりも一回り小さな男の子だった。


「お待たせ致しました。リル様、イリーナ様、こちらへどうぞ」


「ごめんね、ステフ、フィック、行ってくるね」


「行ってらっしゃい。どんな方だったか、後で絶対教えてね!」


「わかったわ」


私とイリーナは奥の扉を抜け、再び螺旋階段を昇る。

半周した所で上層階の床へと繋がっていた。


階段を昇り終えると、エルドリナが居た。

役目を終えた使いの子どもは、昇って来た階段を降りて行った。


(ここが月詠みの部屋か。下の部屋よりも広い空間だ。

 って、あれ? エルドリナさん以外に他に誰も居ない。

 まさか! エルドリナさんが実は八英雄でしたってオチ!?)



Jパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ