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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第三章 1節   <9話>
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<9話>  「最後のドルイダス」   =Eパート=


目を覚ましたら、すっかり日が暮れて夜になっていた。

イリーナは自分のベッドに戻っていた。

(いつの間に……)


まだ起きなさそうなので、日本語で書き置きを残し、私はホテルのバーへと向かった。

イリーナは何故か日本語の読み書きが出来る。

(神の加護?)


私はこちらの世界の文字を多少覚えた。


この世界での識字率は決して高くはない。

最も、ここの様な貿易都市は別であろうが。

字が読めなければ、田舎者と馬鹿に、あるいは学がないと軽視される可能性はある。


この世界での私の会話は、GMのスキルにより自動翻訳されている。

ゲーム内では正確にはラグナサーガのシステム由来の自動翻訳機能により、相互に自動翻訳される。

それと同じ様に翻訳されていたのだ。

その事に気が付いたのは、イリーナと旅を始めて直ぐの事だった。




私はホテルのバーカウンターで、カクテルを飲んでいた。

昼ご飯がジャンキーな物で、あまりお腹が空いていないので、つまむ程度にしたのだ。


このホテルには、会員制のバーがあり、小規模なカジノも併設している。

もっとも賭け事自体に興じる為ではなく、社交場として存在している様である。



後ろの方から話し声が聞こえてくる。



「おいおい、金の相場が凄い事になったな」


「新大陸での採掘量も、落ちているとの噂を聞いた」


「魔王の出現で、新大陸の獣人奴隷どもが反乱を起こしていると聞く」


「しかしこの先、世界はどうなるのだ?」


「帝国も軍備を拡張してはいる」


「そう言えば、帝国は資金調達の為にと国が債券を発行していたな」


「なんでも、例の大賢者様のお知恵だとか」


「あんなガキに財政を任せるとは、帝国も危ういな」


「おいおい、声がデカいぞ」


「大丈夫だって。あそこの赤髪のお嬢さん位しか近くにいないし」


「何言ってんだ、こんな所にお供も付けず来ているのだ。きっとホテル側で警備をしている。あれは相当な身分の者ぞ」


「赤髪……。ネルダーザ王国の王族かも知れぬ」


「分かった。関わったら、首が飛ぶな。近寄るのは止めておこう」



(バッチリ聞こえてるんですが……)



「で、だ。それもあって、金が暴騰したわけだ。有事の金とは、よく言ったものだ」


「そもそも、我々人間が勝てる存在なのか? 魔人は」


「いや、無理であろう。だから、八英雄の伝説などがあるのだ」



(ですよねー)

私は耳を澄ませ、カウンターで話しを黙って聞く。



「もし魔王軍にヴァーラス王国が負けたら、今度は帝国だ」


「それ以前にヴァーラスの様な大国が負ければ、街道に魔物の蔓延はびこる世界となるわ」


「そんな事態になったら、今度は食糧問題に発展するぞ」


「農村をどう守るかが問題だな。柵などは作るとして」


「自警団か? 冒険者か?」


「冒険者など、全く当てにならん。ただのゴロツキだろ。ギルドなど殆ど機能していないと聞く」


「やはり英雄の登場を待つしか無いのか……」



(なんか、話しの雲行きが怪しくなってきたな……。そろそろ、おいとまするか。ある程度の情報は得たし)


「ごちそうさま」


私はその後、部屋へと戻った。


イリーナは相変わらず寝ていた。

ふと書き置きを見ると、イリーナの字でこう書いてあった。

「独りで出かけてズルいです!」


「はい。すみませんでした」



Fパートへ つづく

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