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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第三章 1節   <9話>
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<9話>  「最後のドルイダス」   =Dパート=


「そう言えば、お姉ちゃん達は何でこの町に来たの?」


「ああ、それはイリーナの知り合いの聖母教の聖職者のエルフ族の……」


「えっ?」


「酔っ払いました? お姉様『の』が多過ぎますよ」


「ごめんごめん。イリーナと面識のあるエルフを捜す旅をしているの。できれば聖母教と関係がある者の方が良いわね」


「そっか。この街は確かに聖導教が弱いからね。帝国教、三共教、自然崇拝のガリア教ならば知っているけれど、聖母教は聞かないなぁ」


「残念、また外れですわね」


「さっき見学した要塞の近くに、聖母教の神殿があったらしいけれど100年近く前じゃないかなぁ」


「そっか。やっぱり聖母教の手掛かりは無しか」


「あ、でも完全に空振りでもないかもよ? お姉ちゃん、八英雄ってもちろん知っているよね」


「少しだけならば」


「さっき話した自然崇拝のガリア教、祭司はドルイドやドルイダスって言うのだけれど、八英雄の一人に『最後のドルイダス』と言われた方がいたのね」


「うんうん」


「その八英雄のドルイダスに、弟子の祭司が何人かいるんだ。

 その内の一人なら連絡が取れると思うよ。祭司様は占いが得意なんだ。

 占って貰えば、手掛かりが掴めるかもよ!」


「おお! でもさ、最後のドルイダスなのに弟子がいたら最後じゃないんじゃ?」


「そうそう。なんでも、八英雄になっちゃったから弟子希望の人達が、わんさか来たんだって」


「なるほどねぇ」


「じゃあ明日、馬車で行けるように手配しておくね」


「どれくらい掛かるの?」


「馬車で片道数時間ってところかな。

 とりあえず、お父様に一筆書いて貰って、それを先に祭司様の所に届けさせるよ」


「なんか商会にそこまでして貰って、申し訳ないわね」


「何言ってんの、僕に任せてよ!」


「ありがとうステフ」


「ありがとうございます」


ステフは嬉しそうに笑った。


そうこうしていると、揚げたてのフィッシュ&チップスがやって来た。


「デカ!」


「大きいですわね」


「4人で分けて丁度良い位の大きさだね」


更に店長さんからのオマケで、イカリングの竜田揚げとシュリンプのフライまできた。

レモン風味のサワーソースを付けて食べた。


この世界へ来てからの食事で一番美味しかった。


(ユフィーちゃんの料理も美味しかったけれど、エルフの食事にはジャンキーな物は殆ど無いからねぇ)


「帝国恐るべし」


「あ、お姉ちゃん。ちなみに帝国本土の料理は不味くて有名だから期待しない様にね」


「え。マジか」


(そうか、ここも商会関連だから美味しいのかもしれない。お店選びは重要だわ)



「ごちそうさまでした」


代金はフリックが全部出してくれていた。

(太っ腹なゴブリンだねぇ)



その後、宿へ案内してもらい、シエスタ。

つまるところ昼寝だ。


数日とはいえ、船に揺られていたから平衡感覚がおかしい。

ベッドの上で横になって、私は改めて実感した。

世界が、どんぶらこどんぶらこと、揺れているのだ。

これは決して「アワアワ」を飲んだからではない。


宿は格式の高い高級ホテルだった。

寝室にはクィーンサイズのベッドが二つ設置されており、贅沢な作りだ。


「はぁ、この世界でこんなに立派な所に泊まるの、初めてだわ」


「そう言えば、そうでしたよね」

イリーナが私のベッドに腰掛け、答えた。

そしておもむろに靴を脱ぎ、両足を私のベッドの上に乗せた。


(綺麗な細い足だねー。正直羨ましいわ)

「ん?」


イリーナは掛け布団を捲り、私のベッドの中に入った。


「え?」


「?」


「イリーナさん? 私のベッドなのですが……」


「うふふ」


「うふふ、って……」


私は転移魔法で、直ぐ隣のベッドに転移した。

(能力の無駄遣い?)


「あん、もう! お姉様……」

悔しがるイリーナ。ベッドから上半身を起こし、ほっぺたを膨らませ抗議している。

「ふーーんだ」


(あれ、私が悪いみたいになってない……)

「とりあえず、寝るよ?」


「お姉さまの、意地悪……」


「はいはい、おやすみ」




私が目を覚ますと、左手の先に生暖かさを感じた。

右手で掛け布団を捲った。

予想通りだが、イリーナが私のベッドの中にいたのだ。

私の左腕はロックされており、抜け出せそうにない。

イリーナのマシュマロの様な胸の感触が、私の二の腕に伝わる。


(まだ、子どもなんだよね……。愛情に飢えているのかもしれない)


私は掛け布団を戻し、もう一眠りする事とした。

イリーナは顔まで布団に埋もれ、幸せそうに寝ていた。



Eパートへ つづく

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