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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第二章 5節   <8話>
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<8話>  「魔神」   =Cパート=


硬直の解けた私は、自分の直感を信じ行動した。

私はキャサリンの背面の空中へ転移した。

その時、私の頭の中に、ある記号が浮かんだ。


「∇」(ナブラ)


私は黄昏たそがれの剣の切っ先で、「∇」をなぞる。


私の転移魔法では、運動エネルギーはそのまま保持される。

転移前に行った行為の運動エネルギーが、転移後にも反映されるのだ。

例えば、落下途中に転移しても、落下速度は保持され、地面に激突する。

恥ずかしい思い出だが……、それを利用するのだ。


私はキャサリンの背面にアルマスを放つ。

Ζ(ゼータ)の軌道を持つ三連撃だ。

放つと同時に私は転移魔法を連続して使用した。

転移は三カ所、「∇」の三辺だ。そこを三連撃を放ち終えるまでに数十回、連続で転移し続けた。

その様子はまるで、私が三人に分身し各々が三連撃を放っているかの様であった。


そしてその結果、キャサリンの背面に∇形の風穴が空いた。

まるで背面に新たな口が出来たかの様だ。


キャサリンはもがき苦しみ、やがて力尽きていく。

支えていた触手が解き放たれ、胴体部は地面に崩れ落ちた。


(はぁ、終わったぁ?)


「オオオオオ!!」「おおおおおお!!」

辺りから、勝ちどきがあがる。


どうやら、なんとか削り切れた様だ。


イリーナが私に近寄って来る。

「やりましたね! お姉様」


「ええ、イリーナ。お疲れさま。さっきの雷撃衝らいげきしょう、凄かったわよ」


イリーナは両腕を伸ばし、グレーヴ抱きしめ、少し下を向いて照れて答える。


「あ、あれはですね……、身体が動いてというか、邪神様が力を貸して下さったというか。でも、でも、自分の意志で撃ったのですよ」


私は剣を地面に刺し、左手をイリーナの右腕に、右手をイリーナの頬に当て、感謝の言葉を述べようとした。


「おおっ、お姉様に、そんな事されたら、私、私……」


イリーナは耳を真っ赤にし、私の腕の中で昇天して意識を失ってしまった。


「ちょっ! イリーナ? イリーナあぁぁぁ!」


ソフィアは開放感からか、その場で大の字で横たわっていた。


ユフィーちゃんは、アゴに人差し指を当て、何か考えている様だ。

「そうだわ、お鍋にしましょう!」


どうやら、夕飯の心配の様だった。

(まッ。まあ分かるよ……、祝勝会の準備も必要だものね)


スパスは仲間と、変な踊り合戦をしていた。


私はイリーナを抱き上げ、キャサリンの方をもう一度見た。


時間が経ち、キャサリンに死亡エフェクトが発動する。

だがそのエフェクトは、いつもと違っていた。


「上位名持ちだからかな?」


エフェクトが消えると、そこには少女が横たわっていた。

更にそのかたわらには綺麗なリボンが落ちていた。



Dパートへ つづく

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