<8話> 「魔神」 =Bパート=
その後、ユフィーちゃんが盾役になり、3人となった為、私とソフィアは交代で休憩をした。
盾役が3人となり、ターゲットはかなり安定化してきた。
王の伝達能力により指揮系統が安定し、隊長のニグルが直接戦闘に専念できる事によりが統率が取れていった。
(戦いながらの指示は本当にキツイ。MMORPGやFPSでもそうなのだから。まして命の掛かった実戦ともなれば……。隊長さん、さっきまで良くやっていたよ。ありがとう)
そして戦闘開始から3時間が経過し、触手が20本から10本へと減った時だった。
キャサリンはそれまでの緑色から色を変え、徐々に赤くなっていった。
そして最終的にはピンク色になった。
「発狂モード」だ。
ピンクになってからは、「死出の花粉」に催眠効果が追加され「死の花粉」を使ってくる。
だが、これも事前対策済みであったので、イリーナの頑張りに寄る所もあるが、難なく対処できた。
そして、触手ではなく本体を攻撃する事、更に1時間。
4時間が経過し、あともう少しという時だった。
キャサリンの挙動が変わったのだ。
そしてキャサリンが二回り大きくなった。
(まずい。ハイパー化しかけている……)
ハイパー化というのは俗称であり、正式名称ではない。
敵が巨大化し、徐々に強化されていく姿を昔、昭和と呼ばれた頃のロボットアニメになぞらえて、そう呼ばれている。
完全にハイパー化した後のキャサリンはおそらく、このメンバーでは倒せない。
キャサリンはMMORPGで言う所の「HPバーあと1ミリ」という状態だ。
もはや強引に力押しする他はない!
「みんな、敵が強化する! その前に全員の力押しで、押し込んで倒して!」
私はイリーナの方に手を伸ばす。
イリーナは私に薙刀立てたまま回転させて投げ渡す。
そして私は「雷撃衝」を放った。
それはダメージ目的の技ではなく、キャサリンを状態異常テラーにして動けなくする為の技だった。
スパスはどこからとも無く、ロケットランチャーの様な魔包兵器を担いでいた。
(あー、あの人狼の娘は全然戦闘に参加してなさそうだったけれど、スパスの荷物持ちだったのか……。)
スパスはヴェレネッタと共に砲撃を開始する爆音と共に撃ち込んだ。
テラー直後に一番でなければ、味方ごと吹き飛ばしていたであろう。
テラー中のキャサリンに各々が、ありったけの技で魔力で攻撃する。
だが、まだ届かない。
私の硬直より先に、キャサリンのテラーが切れ動き出す。
「んんんん……。ダメ?」
「お姉様、お借りします!」
イリーナが硬直している私からグレーヴを受け取る。
そして私の代わりに、イリーナが「雷撃衝」を放った。
一番驚いたのは、私だった。
(イリーナ? いえ邪神の助力? 一度見ただけの技をこうも簡単に)
キャサリンは再びテラー状態となる。
だが恐らく、今日はこれで2発目。
耐性が付き先程よりテラーの時間は短いであろう。
硬直の解けた私は、自分の直感を信じ行動した。
Cパートへ つづく




