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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第二章 4節   <7話>
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<7話>  「Lovely キャサリン」   =Fパート=


討伐隊の隊長であるニグルが指揮を取り、徐々に人が集まってきた。

いよいよ、切り崩しに掛かる時だ。


討伐隊の攻撃が始まり、暫くすると、ターゲットが安定しなくなってきた。


残念ながらGMの私には、ターゲットを取るスキル等は一切無い。

ただ堅いだけの盾役だ。

それでも敵と味方の間に入り、かばう事は出来ていた。


そういった意味では、魔剣師のソフィアの方が、盾に向いていた。

ある程度の敵対心ヘイトを稼ぐすべがあるからだ。


戦闘開始から20分。広場に突入してから、間もなく40分の時間が経つ。

徐々に統率が乱れてきた。

皆がバラバラに攻撃しだしたのだ。


(そろそろ、集中力が切れてきたか?)


過度の緊張を強いられる戦闘での40分の疲れは、既に隊員の通常訓練である2時間分の疲れを越えていた。


その時、運悪くキャサリンの周りに6体の中位スケルトンが、ほぼ同時に湧いた。

しかも、キャサリンの近くである為、スケルトン討伐隊も近くに居なかった。


「スパスさん、こっち!」

私が大きな声で呼ぶ。

ソフィアが察し、スパスに伝達した。


しかしそのスパスも、偶然にも戦闘中であった。


「クソクソ。クソクソ。おい、壱号から参号、ここは任せるぞ。行け!」


スパスとヴェレネッタは、急いで駆け付けて来た。

ヴェレネッタは、クロークを脱ぎ捨てた。

ボディースーツ姿でかなりセクシーだった。

だが直ぐに背中の装備に目が行く。

4本の小型の発射筒が現れたのだ。

ヴェレネッタは4本の内2本を腰の辺りから突き出し、腕をその上に乗せ構えた。


(ああ、この世界にもあるのか魔砲まほうは……)


轟音と共に発射された弾は、魔力制御により自動追尾し、スケルトン2体を襲い、破壊した。


スパスが速射し、スケルトン2体を倒した。

残りは2体だ。


1体はイリーナがグレーヴにて相手をした。

任せて大丈夫であろう。


残りの1体を倒そうと、スパスがクロスボウをリロードしている時だった。


キャサリンの複数の触手が動く。


「まずい!」

私は声を上げるも、警告は間に合わない。


キャサリンの「死出の花粉」が発動した。


イリーナはスケルトンを倒し、即座に回復へと回る。


スパスは、「死出の花粉」を背中からマトモに浴びてしまった。


「ク」


スパスにスケルトンが襲い掛かる。


ヴェレネッタは援護射撃しようとしたが、位置が悪く、キャサリンが邪魔で射線が十分に確保できなかった。

それでも一発を放つ。


イリーナは、スパスの麻痺を最優先に回復させた。


ヴェレネッタの撃った弾は、スケルトンをかすめ僅かにスケルトンを焼いた。

一瞬の隙が出来、麻痺から回復したスパスが、自らクロスボウでスケルトンの頭部を打ち抜いた。


「今のはヤバかった。俺でなかったら死んでたな」


ヴェレネッタが安堵の溜息をついた。


私とソフィアはキャサリンからターゲットを取り、必死に誘導し引っ張った。

そして討伐隊からの距離をとった。



スパスは自前のポーションと状態異常の回復薬を飲む。


「よし。あの草野郎!」


スパスはキャサリンに向かって行った。

それに対し、二本の触手がスパスを襲う。

スパスは軽くかわし、地面に突き刺さった触手の上に乗り走る。


「待ってろよ。草! クソクソ、クソクソ」


二本刺さっている触手、一本目から二本目へ渡ろうとスパスが飛んだ。


「え?」


スパスは足を絡ませて、そのまま3メートル下に落ちてしまった。

体勢を崩し、落ちたスパスは一瞬意識を失う。


スパスは直ぐに目を覚ました。

「あれ? 俺は死んだのか? 目の前に天使が見える……。たしか数日前にも、こんな事があった様な……、いや、思い出せない」


イリーナがスパスを回復していた。

スパスは起き上がると突然笑い出す。


「フハハハハハ あはははははははははは」


立ち上がり、腹を抱えて笑っている。


「1000人以上の読者の前で恥をかいた……」



その後、戦闘は坦々と続く。

ターゲットは安定してきたが、討伐隊の統率はまだ乱れており攻撃はバラバラのままだ。


キャサリンとの戦闘が1時間経過し、ようやく我々は20本有る内の1本の触手を切り落とす事に成功したのであった。



8話へ つづく

7話をお読みいただき、ありがとうございます。

7話が長くなってしまった為、7話と8話の2つに分ける事となりました。


私の書きたかった物の内の1つ、数十人規模の戦闘を漸く書く事が出来ました。


私自身かつて、毎週60人規模でのMMORPGでの戦闘を行っていました。

おそらく今後日本ではあのような時代はもうやってこないであろうと思い、

その頃の経験を踏まえ、今後も皆さまにこの物語の中でお伝えできればと思っています。

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