<7話> 「Lovely キャサリン」 =Bパート=
私とイリーナとソフィア、そしてユフィーちゃんの四人で、お城へと赴いた。
対キャサリンの作戦会議が開かれた。
王と親衛隊長と参謀に大臣数名、そして今回の討伐隊の隊長ニグルがいる会議室へと案内された。
私たちは生き証人として呼ばれた。
いつの間にか会議室にはスパスも居た。
スパスは一人だけ壁際に椅子を置き座っていた。
森エルフは協力はするが共闘はしない、遊撃隊の立場なのであろう。
したがって、会議に口は出さないつもりの様だ。
「探索任務ご苦労であった」
王が口を開く。
続けて参謀が口を開く。
「昨日のソフィア様の報告により、既に我々は詳細を存じておりますが、報告によるとリル・ヴァルハラ卿は過去に同種の名持ち(ネイムド)の討伐経験があるのだとか」
一同から歓声が上がった。
「そこで、その時の詳細をお伺いしたい」
「だいぶ前の事で、記憶は曖昧ですが、作戦自体は憶えています。あの時は、人族の他にエルフ等の妖精族や竜人族、魔人族、亜人族など、様々な者が40名以上集まりました」
再び歓声が上がる。
王が口ずさむ。
「なんという、伝説の物語の様ではないか。詩人が聞いたら質問責めじゃぜぃ」
「えっと、私たちのその集団にも吟遊詩人は居ましたね。その詩人が友人で、討伐の手助けを頼まれまして、傭兵として参加しました」
(懐かしいな……。上位名持ち(ハイ・ネイムド)討伐仲間。廃人集団。
出会った頃は詩人のリュナくん、今頃どうしているかな?
あれはビックサイトだったか?
確か上京してきて、オフで会った時に
「雌オーク実在していたのか!
ここは獣人支配エリアだから、みんな逃げて!」
とか言っちゃったから、仲間にボディーブローを喰らってたな。なんか今朝のスパスを見て思い出したわ……)
私は、その時の作戦を伝えた。
通常は下記の通りだ。
「敵」 ←「攻撃役」←「回復役(後衛)」
↓
↑
「盾役」
しかしキャサリン戦はこうだ。
「敵」→←「攻撃役」
↑
「堅い盾役が回復役」←「盾役への回復役(後衛)」
騎士などの盾役が回復役となるのだ。
しかし、この作戦をこの世界で完璧に遂行する事は不可能だ。
何故ならば、蘇生復活魔法魔術を使える者が複数名必要だからだ。
そこで私は代案を提議した。
まず盾役だ。
私とソフィアで交互に行い、
イリーナが私たちの状態異常の回復にのみに専念する。
したがってイリーナも盾役パーティーだ。
次にエルフの討伐隊だ。
攻撃役と回復役を2対1の3人でセットにし、攻撃し直ぐに退避のヒット・アンド・ウェイ方式。
回復役は魔力が足りなければ、精霊石を使い回復。
もし敵のターゲーットになってしまったら、その場に留まり、
盾役が庇える様に即座に陣形を作り直す。
後はスケルトン対策だ。
復活しない上位スケルトンが何組か。
倒しても時間経過で復活して湧く中位のスケルトンが十体以上。
上位スケルトンは、討伐隊の半数が当たり、討伐後にキャサリン討伐組に併合。
中位スケルトンは、それ以外の警邏隊の精鋭部隊等が駆除する。
以上だ。
それまで黙っていたスパスが口を開く。
「オレら森エルフは、骨野郎退治だな。オレ含めて6名が参戦する」
王がそれに答える。
「森エルフの同朋よ、協力感謝する」
参謀が今後の予定を提示する。
「それでは、作戦に必要であろう精霊石を集め、同時に討伐隊は演習を行う必要がある。従って討伐出立は3日後の朝だ。現時点では、こちら側へは攻め込んで来てはいないのでな。異議や意見のある者は?」
皆が沈黙で答える。
「それでは、後の流れはこちら側から追って知らせる。一同ご苦労であった」
会議が終わり、一度ソフィアの家へと戻る。
演習には私たちは参加せず、身体を休めておく様にとお願いされた。
そして3日後……。
Cパートへ つづく




