表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第二章 3節   <6話>
53/200

<6話>  「不敗の魔剣師」   =Iパート=


「困った。どうしよう……」


お互い膠着状態が続く。

5分近く睨み合ったままだ。


プラント系名持ち(ネイムド)なのに、まさか警戒して動きを止めるとは……。


(強制転移からの空中逆落としを仕掛けたのがマズかったか? 技名はひとまず「もず速贄はやにえ」とでも付けておくか)


見つめ合う私とキャサリン。

シュールだ。自分でもそう思う。


(それにしても、このまま見逃してくれないかなぁ? 無理かなぁ? 無理だよねぇ。あんなに警戒しているものね……。そろそろ補助魔術の効果時間を気にしないといけない頃合いだ)


私は転移魔法を使う。

転移先は、転移装置上部。


転移装置上で、イリーナの置いていってくれたグレーヴを受け取る。

左手に逆手で剣を持ったまま、右手でグレーヴを構える。

そして装置の起動を待つ。


(くっ。やはりタゲられていると発動させられないか。予想通りとはいえ、こんな所までゲーム内と同じとは……)


キャサリンの触手が私を襲う。

十本以上の触手が……だ。

私は魔法で転移する。

今度は天井だ。

私は逆さまになり、グレーヴを天井に突き刺し、天井に立った。

赤い髪がバサリと重力に持って行かれる。


(うぅ、頭に血が昇る……、正確には逆さまだから、頭に血が降るか? まあ、そんな事は今はどうでも良い。一つ目の作戦は、予想通り失敗だった。次の作戦に移るとしよう。5分もの考える時間を与えてくれた事に感謝するわ)


次の作戦は、転移魔法で洞窟の外へ逃げるだ。

私は転移魔法を使う。

転移先は、先ほど上位スケルトンと戦った辺りだ。

街や洞窟の外へ転移しないのには訳がある。

それは名持ち(ネイムド)が、私を追い掛けて街や外までやって来る可能性を持っていたからだ。


ゲーム内でも稀にやらかすプレイヤーがいて、GMコールで呼ばれて対応した事が何度もある。


誰もが「こんな所に引っ張って来たクソは誰だよ!」ってなる。

まさにMMORPGあるあるだ。


それを警戒して、近場で引き寄せ範囲外まで転移した。


私は通路から奥の様子を確認する。

遠くの方から、轟音が響いてくる。


「あかん。これタゲ切れとらんで」


更に次の作戦だ。


私は左手で持っていた剣を納刀し、グレーヴを両手で構えた。


(薙刀は、剣ほど得意ではないのだが)


私はキャサリンの引き寄せが来る前に、自ら範囲内へ入った。

通路からは触手しか見えていなかった。


雷撃衝らいげきしょう

槍の広範囲攻撃だ。しかもスタンよりも長く敵を硬直させるテラーのおまけ付きだ。


キャサリンは動かなくなった。

しかもこちらも技を使用後の硬直で動けない。


これは実験だった。

テラーで保険を掛けてはある。

果たして、技硬直中にGMスキルが発動できるかだ。

答えは「可能」だった。

私はGMスキルにより跳躍ジャンプした。


「直ぐに戻ってくるさ」



私はキャサリンの居た、神殿遺跡の遥か上空8000メートルの高さに居た。

技の硬直は数秒解けず、槍を構えたままの格好で落ちた。

(あぁ、これ1月前と同じだ……)


ヒューーーーーーーーーー



私には確証があった。

転移魔法はターゲートを切る事は出来ないであろうが、スキルによる跳躍ジャンプは別であると。後者は、エリアチェンジ、ワールドチェンジ、更にはサーバーを飛び越える事が出来るのだ。

同じ様に見えて、全くの別物なのだ。


だから私は、この世界が初めはテストサーバー内なのではと思ったのだ。


「さて、どうしよう。ヴリトラの呪いは未だに解けていない様だ。どうやって着地しよう……」


遥か彼方の地上付近から、イリーナの気配を感じた。


「イリーナ?」


イリーナの背中に白い天使の羽が生えていた。

私がイリーナと旅をし始めた頃に、万が一の時に使う様に渡したアイテム≪ダイダロス・ウィング≫だ。

効果は一定時間、翼が生えて低空を飛行出来るようになるのだ。


「お姉様!」

イリーナが私を空中で受け止め、お姫様抱っこする。


(翼の生えたイリーナ、どうみても天使だ)


「お姉様を傷付けるキャサリン、死霊、そして人類、全て滅んでしまえば良いのに」


イリーナの翼が、黒い翼へと変わっていく。


驚いた私はスキルでイリーナを確認した。

(良かった。堕天状態ではなくて。光の影響でそう見えるだけだ。きっとそうだ……)


「ふう」


地上に降り立った頃には、陽が暮れ掛けていた。



7話へ つづく

皆さま、あけましておめでとうございます。


そして6話をお読みいただき、ありがとうございます。

総合評価が100ptを超え、幸先の良い年明けとなりました。


皆さまのご期待に応えられる様、リルと共に頑張りたいと思います。

皆さまにとっても良い一年でありますように。

                       2019年 すめらぎ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ