<6話> 「不敗の魔剣師」 =Fパート=
ソフィアは数的優位となったので、守りから攻撃へと転じた。
中段から上段へと構えを変化させ、斬撃を放つ。
鎌持ちは両手で広く鎌の柄を持ち、斬撃を防ごうとした。
しかし、ソフィアの斬撃は鎌の柄を真っ二つに斬り、上位スケルトンを一刀両断した。
「こいつら、また湧くと思う?」
「どうなのでしょうね」
「こいつらは、固有種っぽいから復活しなそうな気がする」
(GMとしての感がそう告げる)
「一応警戒はするけれど、心配は無さそうね」
ソフィアは仲間のエルフ4人の元へと駆け寄る。
「リーナお願い、この子たちに癒やしを……」
イリーナは、エルフ4人を回復させた。
「ありがとうございます。えっと……、リーナ様」
そう言ったエルフが、ソフィアに頭をグーでグリグリされている。
「リーナって呼んで良いのは、私とお姉様と、お母様だけ。イリーナってちゃんと言いなさい」
「すみませんでした! イリーナ様!」
「宜しい、宜しい」
頷くソフィア。
「まったく、心配掛けさせて……。あなたたちは」
エルフの四人は、死の淵を覗くという極度の緊張から解放されたからか、しゃがんだり膝を付いていたりした。
「お祖父様の許可は得ていないのでしょう? 警邏隊のあなたたちが、やるべき事ではない」
「ごめんなさい、ソフィア様」
「申し訳ありません、ソフィア様」
「まったく、あなたたちは……」
ソフィアは、エルフ四人を抱き締める。
「まったく……」
「ひっつ、ひく、ごめんなさい…… 」
「ごめんなさい、ごえんまさい……」
「もう、しません……うぅぅ」
「うぅぅぅうぅ」
エルフ四人は、大粒の涙を流していた。
感情を表に出さないソフィアまで、涙を溢していた。
溢れた涙は目尻より出で、頬を伝い滴り落ちる。
(ソフィアは仲間想いの優しい娘ね。だからああも仲間に慕われ信頼されているのでしょう)
イリーナが私に寄り添い、腕に抱き付いてきた。
(良かったわね、イリーナ。みんな無事で)
私たちはエルフ四人を加え、七名のパーティーとなった。
しばらく休憩し、固有種が再び現れない事を確認してからの出発となった。
「それにしても、良かったわね。現れなくて」
(あんなのが、うじゃうじゃと居て連携を取り、更に無限に湧いたら……。想像するだけでも、ぞっとする)
私は色々な事態を想定しながらだったが、皆で奥へと進んで行った。
「行き止まり? いや違う、曲がり角か」
「お姉様、そこの角を曲がったら、かなり広い空間に出ると思う。風の流れがそう告げている」
「分かったわ、ソフィア。慎重に行きましょう」
ソフィアを先頭に、私が二番手で角を曲がる。
しかし曲がった次の瞬間、ソフィアの姿が目の前から忽然と消えた。
「え?」
ソフィアの気配を通路の先の広場より感じる。
「まずい。これは……」
(これはゲーム内で、固有の名を持つ怪獣の上位種が使う特殊能力「ひきよせ」だ!)
「どうする、どうする……。いや助けに向かう他はない」
(私はバカだ。アルマスが使えた時点で、考えに入れておくべきだった。あれら名持ちの存在を)
「嫌な予感しかしない」
(ゲーム内で初期の頃に見て以来、あれから何年も経つのにもかからず、記憶は未だ鮮明に残っている。
ここに居る名持ちは、おそらく……)
「……おそらく、キャサリン」
Gパートへ つづく




