<6話> 「不敗の魔剣師」 =Dパート=
※今週も体調不良の為、不定期更新となります※
私たちは、次々と倒したハズの小部屋のスケルトンが復活していくのをただ黙って見ているしかなかった。
「コレって、大元か遺跡のボスを倒さないと、永久に湧くパターンだよね?」
そんな疑問を私が口にした瞬間、通路の先から戦闘音がこだました。
怒号、悲鳴、金属音、そして破壊音。
私たちは慎重に、音がする方へと向かった。
音がたまに遠ざかる。
どうやら移動しながら戦闘している様だ。
もう視界に入っておかしくない距離まで来たとき、地面に粘度のある赤い液溜まりがあった。
ここで激しい戦闘をしたのであろう。
10メートル程進んだ所まで、血が滴り落ちている。
そこから先は、血痕が消えていた。
ソフィアの足が早まり、先陣を切る。
「姉様、先行きます」
「ええ、気を付けて!」
魔剣師の魔法で身体強化された速度には、さすがに追いつけないであろう。
イリーナを独りにする訳にもいかないので、移動速度を少し落とす。
先行するソフィアが目にした光景は、普段穏和な彼女を怒らせるには充分だった。
4人のエルフが上位スケルトン3体に一方的に蹂躙されていたのだ。
上位スケルトンは、魔法の武具を装備していた。
片手棍と大盾持ち、斧と小盾持ち、両手鎌持ちだ。
一方のエルフは軽装備の男女4人組みだ。
見た目はソフィアより年上に見える……と言う事はソフィアより年下なのであろう。
男性が女性に支えられて立っており、それらを庇う様、男女が位置取りをしている。
しかし皆ボロボロだった。
軽装の鎧は傷や破壊された跡がある。
身体は致命傷に対してのみ、魔術で応急措置がしてあった。
ソフィアは怒りにまかせ、速度の乗ったまま突撃した。
しかし、あまりに直線的な動きであった為、盾持ちのスケルトンにいなされてしまった。
ソフィアはいなされながらも、敵陣を抜けてエルフとスケルトンの間に入る事に成功した。
庇う位置取りの二人のエルフを更に庇った形だ。
「ソフィア様」
「ソフィア様だ助かった」
「何人やられた?」
「幸い、まだ誰も死んではいませんが、ソフィア様がいらっしゃらなければ、いずれ全滅していました」
「良かった……」
ソフィアは少し冷静さを取り戻した様だ。
防御寄りに中段の構えをした。
スケルトン3体は攻め倦ねている。
鎌持ちが魔術の詠唱をし始めた。
私とイリーナは、やっと追いついた。
ソフィアと私たちで、スケルトンを挟み撃ちする形となった。
私は詠唱で無防備になっている、鎌持ちを攻撃する。
しかし剣は寸での所で大きな斧の側面で防がれた。
斧持ちが鎌持ちを庇ったのだ。
そして、鎌持ちの魔術が発動した。
氷のエフェクトがスケルトン3体を覆う。
氷系の防御魔術であろう。
私は斧を弾いて、一旦距離を取った。
「こいつら、良い連携ね。生前はさぞ仲の良い仲間だったのでしょうね」
Eパートへ つづく




