<6話> 「不敗の魔剣師」 =Cパート=
※今週来週は体調不良の為、不定期更新となります※
ソフィアは憧れの眼差しをして、聞いてくる。
「どうやって収得されたのですか?」
「あぁ、コレはある二種類の二連撃を極め、更にレイピアをある程度熟練したら、出来るようになった……のだったかな」
ゲーム内において、一定の攻撃を繰り返す事により、技へと進化させられる。
更にその技を何種類か極めると、必殺技へと派生する事がある。
例えば、示現流(=薩摩の古流剣術)の初太刀、上段からの斬りをひたすら繰り返すと、「一撃の太刀」の技を習得できる。
更に他の色々な技を収得すると、最終段階では「次元斬」を習得出来る様になるのだ。
この技は空間ごと斬り伏せられる超必殺技で、上位のボスにもダメージが普通に通る技だ。
その様な複雑怪奇な技の収得方法だったからこそ、さまざまな個性が生まれ、技に愛着が生まれ、「Ragna Saga」がいつまでも飽きる事のないゲームとなったのであろう。
この技システムに対し、プレイヤー達は愛情を込めてこう言った。
「廃人量産システム」と。
私たちは、スケルトンを倒し奥へと進む。
通路は途中から長い螺旋階段となった。
「随分と深く潜りますわね。ぐるぐる回って、目が回ってしまいそうです」
「確かにね」
「風の音から察するに、あと5周はありそう。リーナ頑張って」
「あと5回、目を回せば終点なのですのね。でも、帰り道を考えると、うんざりしますわ」
「イリーナ、それは多分大丈夫。こういう遺跡は大抵、外に一瞬で出られる転移陣があるから。もし無かったとしても、私が転移魔法で外に送ってあげるわ」
「良かったね、リーナ」
やっと終点が見えてきた。
螺旋階段が終わると、通路へと続き幾つもの小部屋があった。
ご丁寧にも、全ての小部屋に数体のスケルトンが居た。
その全てを三人で協力して倒す。
小部屋には各々、戸があるのでそれを閉め、私たちは休憩を取る事とした。
ソフィアのお母様のユフィーちゃんの作ってくれたお弁当をイリーナが、収納から取り出してくれた。
サンドイッチとスープだった。
スープは小分けに三人分用意してあった。
「いただきます」
サンドイッチには新鮮な野菜が入っていた。
(昨日の夕食の時は気が付かなかったけれど、洞窟に住んでいて葉物野菜がこれだけ食べられるって、エルフの文明は凄いな)
スープには温野菜と数種類の煮豆が入っていた。
私はスープが温かくて驚いた。
(多次元収納、ヤバイ……。しずちゃんではなく、ド○えもんでしたか。いやいや、ド○ミちゃんだな。もしこの収納に人間が入ったらどうなるんだろう。未来へ飛んだ感じになるのかな? 謎だ……。今度、邪神に聞いてみるかな)
「美味しいですわね、お姉様」
「そうだね。ド○ミ」
「?」
「リーナ、とりあえず休んで魔力を全回復しておこう」
「そうね、ソフィー」
イリーナは防御系魔術を掛けてくれていた。
その防御魔術を私たちに掛け直し、更に魔力回復まで待つ事とした。
待っていると、突然に近くの小部屋から敵の気配を感じた。
「イリーナ、ソフィア」
二人も気が付いた様で、イリーナは首を縦に振り頷いた。
皆で部屋を出て、気配のする部屋を隙間から覗き込む。
先ほど食事の前に倒したハズのスケルトンが、何事も無かったかの様に復活していたのだった。
(まるでゲームの様だ……)
私たちは、次々と倒したハズの小部屋のスケルトンが復活していくのをただ黙って見ているしかなかった。
Dパートへ つづく




