<6話> 「不敗の魔剣師」 =Aパート=
※今週来週は体調不良の為、不定期更新となります※
私リルはイリーナと旅をし、洞窟エルフの街でソフィアと出会う。
一月前に突如現れた神殿遺跡の調査と魔物殲滅の依頼を洞窟エルフの王より受けたのであった。
「宜しかったのでしょうか? 直ぐに向かわなくて」
イリーナが疑問を口にした。
それにソフィアが答える。
「大丈夫。今のところ、遺跡から洞窟へ魔物が現れたのは一昨日だけだから。原因は不明」
私たちはソフィアの家に、一度戻っていた。
ソフィアは、お母様に報告しておくとの事で
イリーナと二人で準備をする事に。
「準備って、何をすれば良いんだろう……。遺跡内は、ランタンもいらない程に明るいって言うし。私、棍棒系って殆ど持っていないのよね」
(準備、準備……)
「準備、準備……。何が必要なのやら」
(打撃系はイベントアイテムの木刀くらい)
「死霊系と言っても、打撃のよく効く骨から、物理効き難いのもいるしなぁ」
(ボスモンスターも居るのかな?)
「やっぱりボス戦と言えば、ハイポがぶ飲み! そうか必要だったのはハイポーションか!」
(ハイポ、ハイポ、ボス戦と言えばハイポ)
「ハイポ、ハイポ、ハイポのシューリンガン、
シューリンガンのグーリンダイ、
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」
(ん?)
「待てよ、待てよ」
(いやいや。死霊系と言えば聖水だ! そうか! そうだ! 必要だったのは聖水だったか! 聖水ならイリーナに手伝って貰って量産すれば!)
「お姉さま?」
「はっツェ」
「お姉さまは、特に武具などの準備は必要ないかと。心の準備だけしていただければ」
「イリーナ、ありがとう」
(ああ、妄想が暴走してしまった……。イリーナごめんなさい)
イリーナは少し照れていた。
「私自身も、準備といっても……持っている物は、お姉さまよりお借りした服数点と、この薙刀くらいですし」
イリーナがそう言うと、瞳を縦にした様な文様の紫の光が現れた。
そして、その光の中からグレイヴの先端が出てくる。
イリーナが邪神とスキルを共有化している為に使える能力「他次元空間収納」だ。
「それにしても私を最初に助けて下さった時、お姉さまが服を何もない所から出されたので、本当に驚きましたよ」
「また、その話しね……。」
「ええ、本当に女神さまなのかと……」
「人前では気を付ける事にしているわ」
どうやら、この世界では「アイテム収納」は神のみぞ行使可能な技の様だ。
あとは時空系魔術を扱える術師が似た様な事ができるのだとか。
「とりあえず、ハイポーションをイリーナに10本位渡しておくね」
イリーナはハイポを受け取り、収納にしまった。
「ありがとうございます。貴重な物を」
「え? 貴重じゃないよ。10分毎に1個作れるし」
|≪ハイポーション・ピッチャー「改」≫
|使用可能回数:∞
|再使用可能時間:10分
|説明:ハイポーションを作成
ゲーム内で、一時ハイポーションの原材料の高騰が問題となり、苦渋の策として運営側が作った物だ。
因みに、使用回数は50回までなのだが、私が持っているのは、チーターから没収した使用回数∞の物だ。
再使用時間を10分のまましてある所に、これを作ったチーターのゲームに対する愛を感じる。
使用回数∞の物というと、私は≪蒸留水≫のピッチャーと≪ワーム≫の巣を持っている。
魚釣りで使うから持っていた物だ。
なお、こちらはチート品ではなく公式産。
話しがそれてしまったので装備の話しに戻そう。
私の装備は、いつもの様に黄昏の剣に風の鎧だ。
イリーナは、グレイヴにアーテーナのローブと聖者の外套だ。
「よしよし」
居間に集まった。
ソフィアも準備が整った様だ。
ソフィアのお母様のユフィアは、お弁当を用意してくれていた。
(優しいよね)
「いざ探索へ!」
Bパートへ つづく




