<5話> 「主神の息子を名乗りて」 =Hパート=
―― 昨日
キュリアは迎賓館の浴室で、また二人のメイドに玩ばれていた。
どうもキュリアは、彼女たちが苦手な様だ。
金髪のリナが言う。
「この度は、大変でしたねぇ」
銀髪のミナが言う。
「本当に、大変でしたねぇ」
そう言いながら二人はキュリアの身体を手で洗っていく。
「きゃっ」
キュリアは思わず胸元を両手で隠した。
「ちょッ。どさくさに紛れて……」
「あら、失礼致しましたキュリアさま」
「あら、敏感ですのねキュリアさま」
「いやいや、絶対おかしいぞ。二人同時だったぞ」
普段冷静なキュリアの声が、明らかに上擦った。
「そうでしたか」
「そうなのでしょうね」
「まったく……」
再開の許可と受け取り、リナとミナは再びキュリアの身体をシャボンと共に手で洗う。
キュリアは話しを戻した。
「帰り際に、師が『魔人じゃつまらん。魔神を出さんか!』などと言うから、冷や冷やしたわ」
キュリアは軽いため息をついた。
「私とて1対1ならば、準備無しでも勝てるが、複数体は無理だ」
リナとミナは、キュリアを洗い終える。
「師ならば、余程の個体が居ない限り3あるいは4対1でも勝てるかもしれないが。
本当に現れたらどうされるのですか? と聞いた所、鎧を着れば何とかなると仰っていた」
リナとミナは、今度はお湯でシャボンを流す。
引き締まったキュリアの身体が露わになる。
流れ落ちたのを確認すると、キュリアは髪の毛を布で軽く纏め上げられ、それを更に頭の上で巻かれた。
そしてキュリアは浴槽へと向かい、浸かる。
リナとミナは浴槽の上で裸で待機して、話しを聞いている。
「先月現れた魔王も恐らく、魔神に違いない。魔神は本当に強い。そして、どちらかと言うと我々人族に近い」
「その様な事、私たちに」
「お話になって宜しいのでしょうか?」
「構わない。貴殿らはいずれ知る事となるであろう。そしてこの城を守護する、御庭番であるならば知っておく必要もあるからな」
6話へ つづく
5話をお読みいただき、ありがとうございます。
先日、体調を崩してしまい、執筆が滞ってしまいました。
毎日連載の大変さを改めて実感したのと、毎日連載されている方の凄さを感じております。
6話では大人数でボスモンスターと対峙する事となります。
お楽しみに!




