<5話> 「主神の息子を名乗りて」 =Gパート=
スパスは朝起きたら居なかった。
(バックレたかな?)
お城へ行くとの事で、服装をどうしようかと考えた。
だけれどソフィアが「表敬訪問って訳ではないから、旅の格好で良い」っと言ったのでそのままで出向いた。
お城に着くと、直ぐに居住区画側に案内された。
そして応接室で洞窟エルフの王、そうソフィアの祖父に面会した。
例えるなら、「会長の孫が会社に遊びに来た」そんな感じだ。
王はイリーナより背が低い、小柄な老エルフだった。
「おぉ、ソフィアよ。一昨日頼んだ調査の件であろうか?」
「それもあるけれど、昨日探索していた時に、偶然イリーナに再会した」
そう言うと、ソフィアはイリーナの方を向いた。
「あと、イリーナの隣に居る赤髪のお姉さまは、魔王軍からイリーナを取り戻してくれた恩人」
「お祖父様、お久しぶりです。イリーナです。またこうしてお会いできて嬉しいです」
「初めまして、イリーナと旅をしているリルと申します」
「イリーナ、久しいのう。そしてリル殿、イリーナを助けて頂きありがとう。ワシからも礼を言わせて貰う。その力量、もはや英雄クラスの冒険者であるな」
「へ?」
「それで、ソフィアよ。調査はどうであった?」
「やはり何ヶ所か完全に繋がっていた。更に相手方もかなり大規模。もしかしたらこっちよりも広いかも」
「むむむ、なんてこったぁ」
イリーナが口を挟む。
「何か問題でも?」
「実はリーナ、一月前から変な神殿遺跡と、ウチらのこの街の洞窟が、繋がってしまったの」
「そうなのじゃよ。そして数日前、遺跡から死霊系の魔物が出よってのう」
「それで私が極秘に調査をしていた」
「なるほど、それで私とお姉さまに出会ったのですね」
「しかし我々も運が良いのう」
(?)
「死霊系を相手にせねばならぬ時に、聖女と英雄騎士に出会えたのだからのう」
「確かに」
(えーーっ!? 英雄騎士って、まさか私の事?? 待って待って。どういう事??)
「リル殿、英雄クラスの冒険者でもあるそなたに依頼したい。内容は、神殿遺跡の調査と、死霊系魔物の殲滅だ」
王は少し考え込んだ。
「報酬は、そうじゃな、ソフィアを嫁にくれてやろうではないか」
「お祖父様、それ名案」
(は? どゆこと? 私、女なのだけれど……)
「なら、ずっと一緒に旅が出来ますね!」
(イリーナ、あなたまで……。)
「えっと、とりあえず依頼はお受けいたします。報酬は別として」
≪ミッション≫
= 神殿遺跡 =
神殿遺跡の探索と、魔物の殲滅
Hパートへ つづく




