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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第一章 1節   <1話>
4/200

<1話>  「GMのお仕事」   =Bパート=


――ヴリトラ・アスラ――


このゲームの世界において、最強の一角を()すドラゴン。

その名前はインド神話に由来し、神と闘いうる存在。


その強さは別格。

実装から3年が過ぎた現在に至るまで、討伐されたのは(ただ)一度のみ。

それ程までに凄まじい強さなのだ。



当時、どのようにして討伐を成し得たのかといえば、詳細は次の通りだ。


*************************************


まず複数のトップギルドがタッグを組み、討伐の為に非公式イベントを開催した。

そのイベントには、延べ300名を超えるプレイヤーが参加する事となる。


司令統率、伝令に8名。

プレイヤーの蘇生係が18名。

倒しても自然と直ぐに湧いてくる周囲の小ボス級モンスター十数匹を、イベント呼びかけに応じた野良(のら)参加のパーティーが処理。

野良参加は長時間に及ぶ為、処理に加わった延べ人数は200名を越えた。

ヴリトラの側近モンスター2体を、36名のトップギルドメンバーが迎え撃つ。

最後はヴリトラと闘う36名。トップギルドの精鋭18名が二組。

二組は交代をしながら8時間を掛けてヴリトラを倒した。


*************************************



その際に、直接ヴリトラと最後まで戦闘をしていた18名のプレイヤーへは、称号†インドラの神兵†が与えられた。

今でもその18名は、多くのプレイヤーから(たた)えられ、憧れの眼差しを向けられる程の存在なのだ。



あれから1年半。

ヴリトラ・アスラの前に60名を超えるトッププレイヤー達が集結していた。


だが、アクシデントが起きてしまう。

昨日のアップデートメンテナンス以降、側近モンスターの挙動がおかしいのだ。

そこでGMをコールにて呼び出し、確認してもらう事にしよう――となった。


コールしたのは、魔法遊撃(ゆうげき)パーティーのリーダーをしている黒衣(こくい)()導師(どうし)

そして今、管理者GM(ゲームマスター)である〝私〞が()ノ者たちの目前(もくぜん)へと現れたのだ。


   プチっ


「あ」

周囲に居た30名程が心で、あるいは声に出して呟いた。


そして皆、こう思ったであろう。

「ああ、GMもやっぱり死ぬんだね」って。


「ちょッ! ヴリトラですか。反則です!」

――と、私は叫びたかった。けれど仕事なので、それは言わない事にした。


GMには(さいわ)い、自動で無限に死者甦生完全復活のできる指輪が与えられている。

そして、それを私は装備しているのだ。


指輪の効果が発動する。

私の身体は浮かび上がり、今、復活を遂げる。


   ブおぉぉぉぉぉォォ


「ん?」

ヴリトラの範囲ブレス攻撃を、全て私の背中が受け止めていた。


「あぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!」

戦闘に参加していた60名、全ての声がこだます。


(こっ、これは恥ずい。プレイヤーたちに、絶対ドジっ子GM認定される……)


そう。GMの私はまたしても、天に召されたのだ。ちーーん。


でも私はめげなかった。

直ぐ、死んだ状態のままスキルで跳躍(リープ)する。飛んだ先は自室(・・)

自分のデスクがある部屋へ死んだままで戻ったら、同僚や運営開発陣にこの珍事がバレてしまう。それは超恥かしい。

特に開発陣なんかにバレたら、一生言われそうだ。実に怖い。

そういう訳で、自室(・・)へ飛んだのだ。


自室にて指輪の効果を発動させた私は、無事に復活を果たした。

そして今度はコールしてきたプレイヤー、黒衣の魔導師の目前(もくぜん)ではなく、やや離れた安全な位置に座標を指定して跳躍(リープ)した。


(よしよし。今度は死ななかったぞ!)

私はやや離れた位置から、堂々とした足取りでプレイヤーの元へと歩む。

先程の珍事などなかった――そう思わせる素振(そぶ)りで黒衣の魔導師へと言い放った。


「どうなされました?」



Cパートへ つづく

2020.07改訂版


※ このエピソードは、実話を元にしています

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