表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第二章 2節   <5話>
39/200

<5話>  「主神の息子を名乗りて」   =Cパート=


二人の目の前に突如、炎で出来た矢が何本も飛んできた。

魔将の黒魔術師が唱えた物であった。


「おのれ魔将ごときが、わしにツッコミを入れおって。生意気じゃ」


飛んできていた矢の一本をグングニィルにて吸収して、撃ち返した。


撃ち返した炎の矢は、巨大な盾で防がれた。

魔将の騎士が黒魔術師をかばったのだ。



「キュリアよ。遊ぶぞ」


「本当に、子どもの様に喜びますよね」


二人はあえて騎馬から降りた。


ブラギは槍を両手で持ち、槍の先で黒魔術師を切りつける。

外套を傷つけ、僅かに体にダメージを与えた。

少し浅かった様だ。


そして更に、槍を引く動作に重ね、槍の逆側の先端で、騎士を突く。

これはさすがに盾で防がれ、いなされた。


盾で防いだ騎士は、槍の殺傷域の内側を侵す。

そしてそのまま、ブラギに斬り掛かる。


しかし騎士は突然、動きを止めた。


キュリアだ。それも構えすら取っていない。

騎士の側面を取り、数歩前に出ただけであった。

だがこの数歩こそが、騎士の動きを止めたのだ。


ブラギは黒魔術師と対峙し、キュリアは騎士と対峙した。


騎士は斬り掛かろうとするが、構えてすらいないキュリアの殺気に押され、攻めあぐねている。


キュリアから騎士へと斬り掛かる。

左手の剣で右から左へと水平に斬りつける。


騎士は3メートルもの巨大な盾を構え防いだ。

剣を防いだ時、高い金属音と共に重い重低音が辺りに響く。


キュリアはそこから、連撃を繰り出す。

騎士は打ち込み用の人形と化した。



「おうおう、キュリアめ。遊んでおるのう」


ブラギは黒魔術師を見ている。

黒魔術師は攻めあぐねていた。

グングニィルにより、単発や放出系の魔術は跳ね返されてしまうからだ。


黒魔術師は、騎士がキュリアに打ち込まれているのを見て、覚悟を決めた様だ。


黒魔術師は詠唱を始めた。

後を追うようにブラギも詠唱を始める。


「ファイア・キャニスタ……じゃろうて」

「ファイア・キャニスタ」


二人は同じ魔術を放った。

数十の火弾が出現したが、二つの魔術は互いに相殺されて、消えていったい。


黒魔術師はかなり動揺している。

後から唱えたブラギの方が早く、唱え終わった。 

そして何の術か一瞬で解析され、同じ術を放ってきたからだ。


ブラギはグングニィルを左手に持ち、右手を突き出した。


「ええじゃろ、詠唱時間短縮の指輪じゃて」


ブラギの人差し指に七色に光る指輪が二つも付いていた。


「この世界にはのう、様々な神秘の力がある。魔術だけではないのじゃよ。解るじゃろう?  魔将なれば。例えばこのルーン文字もその一つじゃ」


グングニィルを光らせて見せる。


「魔術と言うの、言わば術式じゃ。よって、同じ術ならば、消費する魔力は誰が使おうが変わらんし、術者が違っても威力もそこまで変わらん」


ブラギは自分の長く延びた顎髭を数回さする。


「ここまで講釈を垂れれば、解るじゃろう? わしが何をするか。時代遅れとなったが、かつて栄光を極めた力……」



ブラギの、ずっとつぶられていた片方の眼が現れた。

黒く染まったその眼からは、大量の魔素が溢れ、炎の様に外に立ち込める。

肉眼で見える程に濃い魔素だ。


「魔導の力の一端、魔法じゃぜ」



Dパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ