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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第二章 1節   <4話>
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<4話>  「亡国の戦乙女」   =Cパート=


「ようこそ、宿屋『グリフォンの翼』へ。私はこの宿屋の者で、ルイダと申します」



ルイダに案内され、キュリアは宿の中へと入る。

フードを脱いでいた為、受付で直ぐに気付かれてしまった。


「っこ、っこれはキュ……」


キュリアは自分の口に指を当て、「静かに」と仕草で合図を送った。


受付の男は小声になった。

「お忍で、どういった御用件でしょうか? ウチに泊まっている、冒険者の中に不逞(ふてい)やからでも?」


「いや、違うのだよ。情報収集だ」


「そうでやしたか」


「実は、東の隣国より逃げ延びてきた冒険者が居ると聞いて」


「おぉ、例のアレからですかね」


「そう、アレからだ」


「実は冒険者ではないんですがね」


「ん?」


「キュリア様の直ぐ後ろに」


キュリアは、振り返った。

後ろには案内してくれた少女、ルイダしか居なかった。


「私のめいっ子のルイダでさー」


ルイダを見つめ、キュリアは理解するまでにに二秒の時間を要した。

理解すると、普段は感情を現さないキュリアが驚きの顔を見せた。


「そう…なのか。ルイダ嬢」


「えっ、あっ……、はい」


キュリアは、ルイダの顔をまじまじと見つめた。


ルイダは少しうつむき、顔を赤らめる。


「いや、すまなかった。小さな子どもだと、たばかった、私を許して貰いたい」


受付へと向き直し、言った。


「どうだろう主人、1番上の部屋を借りる。なので、ルイダ嬢も一晩借りたいのだが?」


「あいにくルイダは、そっち系からっきしですが、殿下が強くお望みとあらば……」


キュリアは男に、軽蔑の眼差しを向ける。


「え、あっ、いや。冗談っすよ……冗談」


「笑えないのは、冗談とは言わんな」


ルイダは意味が理解できなかったらしく、首を傾げていた。


キュリアは言い直す。

「確かこの宿、酒場を併設していたな。部屋ではなく、そこを使う。変な噂を流されたらかなわん……。ルイダ嬢から聴取をする。良いな?」


「も、もちろんでさー。ルイダ、そんな訳でお前さんに聞きたい事があるってさ。今日はもう上がっていいぞー」


急に休んで良いと言われて、ルイダは戸惑う。

「えっと……。伯父様、この方は??」


「ん、まぁ、なんて言うか。お前も知っているだろう?『八英雄』のおとぎ話を」


「ええ。勿論です。この大陸で知らない者は居ないくらい有名ですから」


「なら、話は早い」


キュリアはルイダの方に向き直った。


「どういう事? お姉さん、吟遊詩人さんなの??」


「いや、八英雄の一人、戦乙女。キュリア様その人だよ」


「えーーー。だってあれ、ルイーダお祖母ちゃんが生まれる前だよね?」


「えっと、だな……」

(あの婆さん、孫にさば読んでたな……)

「多分、生まれてたと思うぞ。まぁ、とりあえず、そんぐらい前なのは確かだな」


キュリアが照れて言う。

「こほん。その、何だ……。宜しく頼む」


「よっ、宜しく御願いします! キュリア御婆様」


「(御婆様……)……、ルイダ嬢……」


キュリアは無言で会計を済ませ、ルイダと酒場へと向かった。



Dパートへ つづく

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