表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第一章 1節   <1話>
3/200

<1話>  「GMのお仕事」   =Aパート=


「ピロピロりん」


いつもの様に鳴るコミカルなアラームの音。

それはGM、ゲームマスターが呼ばれた時の音なのです。


私はフルダイブ型MMORPGを運営している〝とある会社〞にて、GMのお仕事をしています。


え? じゃあ、その「GMのお仕事」というのは何なのか――ですって?


ん~。解り易く言うと、オンラインゲーム上でのプレイヤーに対するサポート係り――かな。


「ピロピロりん」「ピロピロりん」


はいはい。今、行きますよー。

まずは、ボイスチャットでの対応をします。


GM_α:「お待たせいたしました。どうなされましたか?」


おや、若い女性の声が聴こえてきましたよ。


Player:「なんかー、建物とー、オブジェクトの間に挟まっちゃってー。

     ログアウトとログインをし直してみたけれど、ダメでした(>_<)」


GM_α:「そうでしたか。ご不便をお掛けいたします。

     では、私がそちらへ伺いますので、少し……お待ち下さい」


Player:「はい! 待ってますぅ。GMさんお願いします。」



私の操作しているGMアバターというキャラクターは、鎧を装備しています。

鎧は赤と銀の金属プレートで全身を覆うタイプなのですが、一目でGMと判るように兎角(とかく)派手なのです。

例えるならば「消防車」や、「ウノレトラマン」。

そして持ち込まれる相談は、ご近所トラブルから、怪獣トラブルまで、実に多岐に渡ります。


GM専用の移動スキル「跳躍(リープ)」を使い、今日も困っているプレイヤーさんの元へと駆け付けるのです。





GM_α:「お待たせいたしました」


私が駆け付けた先には、髪がピンクの魔法少女みたいな姿のアバターが。

頭に付いているネコ耳が小刻みに動き、その姿は(あい)らしい。


Player:「早いですね! ぜんぜん待ってないのですよー。お願いします。」


もぞもぞとネコ耳少女は動き、その場から移動できない事をアピールしていますね。

確かに、建物の壁とその直ぐ隣に置いてある木箱に挟まっている様です。


GM_α:「今、移動させますね」


Player:「はい! この木箱、破壊不能になっ――」


私は唯一使える魔法、GM専用の「転移魔法」を使用しました。


   ポワ~ン!!


効果音と共に効果エフェクトが発動。

ネコ耳少女は瞬間移動し、私の目の前に無事現れました。


Player:「――って、困っていたんですよ。って、あれ?

     移動してる!? ありがとうございます。」


GM_α:「いえいえ、どういたしまして」


Player:「助かりました。GMさん、ありがとう^^」


GM_α:「これで大丈夫ですね。それでは、良き旅を(^_^)」


そう()()()台詞(セリフ)を最後に告げた私は、移動スキル「跳躍(リープ)」を使い、自分のデスクがある部屋へと戻りました。

仮想空間内であるけれど、業務である為、報告書を作成する必要があったのです。

作業自体は簡略化されていて、リストにチェックを入れて記録を残すだけです。


その後、アイテムトラブルが1件。

アイテムに関わるプレイヤー同士のトラブルが1件。

暴言や卑猥な言葉を他のプレイヤーに浴びせるハラスメント系のトラブルが2件。

私は、なんとか無事に解決させたのです。


そして、それらの報告書を全て作成し終えた時でした。

いつものコミカルな音がしたのです。


「ピロピロりん」


(今度は何だろう?)

私は直ぐにチャットを飛ばしました。


GM_α:「どうされました?」


30歳前後と思われる男性の声が聞こえてきます。


Player:「すみません、ちょっと敵の挙動がおかしくて。

     死んでヘイト抜けてるハズなのに。

     一度ログアウトしても、タゲが切れなくて。

     実際に見ていただけますか?」


つまり、こういう事らしいです。

――敵に襲われない状態のはずだが、不具合で襲われている。

――だから原因を調べに来てもらいたい。



GM_α:「分かりました。直ぐに(うかがい)ます」


そう告げた私は、いつもの様にGMのスキルを使い、跳躍(リープ)しました。


GM_α:「え?」


突然、視界に影が落ちる。

それもそのはず。目の前に、高層ビル10階層分はある超()級のドラゴンがいたのだから。


   プチっ


()級のドラゴンに押し潰され、私は一瞬のうちに死んでしまった。

ええ。はい。GMは無敵じゃないんです!!



Bパートへ つづく

2019.12改訂版

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ