<3話> 「聖女と邪神と」 =Gパート=
<3話> 「聖女と邪神と」 =Gパート=
今度は無事に到着した。
ルイダが言うには、「今は麓だから目の前の山を越えて、その先の山の中腹に目的地がある」だ、そうだ。
私は追っ手を警戒し、魔法で転移ではなく、少し歩いた所で休憩しようと告げた。
「そうですね、お姉さま。
街道のない山の中を夜中に歩くのは、ベテラン冒険者以外には無理でしょう。
まして、一人抱えてとなると……」
イリーナは光魔法で足元を照らした。
そしてルイダの手を取り、先頭を歩きだした。
幸い上空から監視さたとしても、光は木々に邪魔されてバレないであろう。
イリーナの発生させた光の強さは、絶妙であった。
(イリーナたん、マジ天使だわ)
私はプルのお尻を持ち、左手一本で抱っこして歩いた。
30分程歩いた所で、丁度良い岩場を見つけた。
岩壁を背に、休憩する事とした。
ルイダが言った。
「あと、数時間すれば、夜明けだよ。日が昇るまではそこから少しあるけどね」
私はプルを横たえた。
「お姉さま、念の為に私、簡単な結界を作ろうかと思います。
この結界は、光属性魔法以外では感知されない特殊な結界なのです。
安全だと思います。いかがいたしましょうか?」
「お願いします。
イリーナ。 あなたが一緒にいてくれて、本当に良かった。ありがとう」
私は素直に感謝の気持ちを伝えた。
心なしかイリーナの頬が赤い。
私は続ける。
「もしイリーナが居なかったら、ここまで逃げる事もままならなかったわ」
(仲間の存在をこれ程頼もしく思えたのは、いつぶりだろうか……)
イリーナは沈黙し、結界を張る準備をしていた。
そして、我々4人の周りを不思議な光が包んだ。
(この光、とても安心する……)
イリーナが説明する。
「この結界は、物理攻撃をも軽減し、近寄った者が居れば、警告を発します。
常時魔力を消費しますが、私としては大した量ではないので、安心して下さい。
ですから皆で寝てしまって構わないでしょう。私も寝る事とします」
皆で横になった。
ルイダは数分で寝てしまった。
私も目を閉じ、寝る事とした。
「お姉さま。ふふっ。お姉さまぁ」
甘い声が聴こえた。
Hパートへ つづく




