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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第一章 3節   <3話>
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<3話>  「聖女と邪神と」   =Dパート=


「ヴァルハラ様、貴女様は太陽神の生まれ変わりなのですか?」


「へ?」


「邪神をも従えるその御神力、恐れ入ります」


「えーーッ!?

 私は神でも、神の使途でもないわ。呼び方もリルで良いし」


「そんな、恐れ多い……。

 それでは『リル様』いえ、『リルお姉さま』と呼ばせていただきます」


(何か、妖しい方向に向いてないかい? 百合ゆり的な……)



私の心境は複雑だ。


宿屋を見た。

救えた命、救えなかった命。


一時的に解決はしたが、直ぐに魔王軍の幹部や側近が目の前に現れるかも知れない状況だ。

まずは、宿屋へと戻り、ルイダの身の安全を確保しよう。


そして、何かの縁だ。

可能ならばさっきまで飲んでいた「夜のにしき亭」へも行ってみるか。


「イリーナ、その落ちている≪麒麟の髭≫は使えて?」


「はい! お姉さま」


「そっ、そう。良かったわ……。

 これから、宿の中に隠れている女の子、ルイダと合流します。

 あの宿の主に頼まれた孫。

 宿主である祖母は亡くなってしまい、ショックを受けているの」


「ええ」

イリーナはうつむいて顔を見せないまま、足元の髭を拾った。

「お姉さま、私、暫く記憶が無いのです。

 もしかしてあの宿屋は、私……或いは私の中の……」


言い終える前に、私は答えた。

「違うわ、イリーナ」

私は首を横に何度かゆっくりと振った。


「そう……。お姉さま……」


「私はスキルと魔法で転移が使えますが、スキルでは恐らく他人を飛ばせないの。

 本当はルイダを転移魔法で目の前に連れてきたいのだけれど……。

 ショックを受けている子どもなので、私が迎えに行きます」


「はい」

イリーナが頷く。


「ルイダと合流したら直ぐ、あなたに転移魔法を掛けて宿屋内に転移させます」


「はい」

イリーナは頷き、私の瞳を真剣な眼差しで見つめてきた。


私はイリーナに頷き返すと、スキルで宿屋の受付へと飛んだ。


「ルイダちゃん」

驚かさないように、少し離れた距離から優しく声を掛けた。

カウンターの下でうずくまり、うなだれていた。

私が数歩近づくと、少し間を置いて、ルイダが答えた。

「え、お姉ちゃん、生きていたんだ。てっきり私……」


私の声が、地獄に垂らされた雲の糸の様に感じたに違いない。

ルイダの声のトーンが明るい。

(良かった)


私はもう安全だと教える為に膝を突き、目線の高さを合わせ、ルイダのフードを取り、お互いの顔を見せ合った。

そして私は、ルイダを抱きしめた。


「ルイダちゃん。すぐ外にね、私の仲間の女の子がいるの。

 外はまだ危ないから、私の魔法で直ぐにここに転移させたいの。

 いきなり目の前に現れるけれど、驚かないでね」


「えっ、う、うん。わかった」


私はイリーナを転移魔法で呼び寄せた。


転移で現れたイリーナに、ルイダは言った。

「めっ、女神さま!!?」

ルイダは手を合わせ、イリーナを崇拝し始めた。


イリーナは光の魔法を唱えた。

ほのかな優しい光に辺りが包まれた。


魅了されていた時には、淡い紫であったイリーナの髪の毛は、綺麗な群青色になっていた。

そして瞳は銀色に輝いていた。


「ルイダちゃん、はじめまして。イリーナと申します」


(イリーナたん、マジ天使……だ)



=============================================

職業:聖女

状態:秩序/混沌/憑依/祟り

=============================================


ステータスを確認した。

魅了と拘束が消え、秩序が付いていた。

秩序と混沌が同時に存在する聖女か。



Eパートへ つづく

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