表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第一章 3節   <3話>
20/200

<3話>  「聖女と邪神と」   =Bパート=


私は槍投げの要領で、髭を暗黒騎士目掛けて投げつけた。

赤い髪がなびく。


暗黒騎士の対応が遅れた。

髪で私の動きが認識し辛かった様だ。

盾を構えたが、構えが浅い。


「麒麟の髭」は1体を盾ごと貫いた。

そして貫いた瞬間に天空より稲妻いなずまが降りそそいだ。

追加効果の雷撃であろう。


使った私自身が一番驚いた。

が、手は緩めない。


貫いた後、髭の勢いはまだ収まらない。

私は回転を加えて投げていた。

ドリルが突き刺さった様なものだ。


その髭に転移魔法を掛けた。

転移先は、もう1体の暗黒騎士の背後だ。


見事に貫き通し、また稲妻が降り雷撃の追加効果が発動した。


そして、髭は再び私の足下へと、飛来し突き刺さった。


自分で思った。

(あれ、このコンボ技、もしかして初見殺しょけんごろし?)


雷撃により暗黒騎士は消し炭となり、乗っていた飛竜2体は、落下し地表との激突で瀕死となった。



「やるではないか、赤髪の娘よ」


暗黒竜が地表へと降り立った。



「だが、今の転移魔法は我には効かぬぞ」


(試してみるか? 既にさっきのコンボは見られている。次は初見殺しではなくなる。止めておこう。防がれる未来しか想像できない)


巫女を観察する。

1つ疑問が浮かぶ。

暗黒竜と違い、あの巫女の純粋な近接戦闘能力はどれ程のものなのかと。


(試してみるか)


私は魔人と同じくGM権限付き転移魔法で、暗黒竜の方を強制転移した。

2000メートル上空へだ。


突如、跨がっていた竜が居なくなったのにも関わらず、巫女の身体は片足を曲げた姿で浮いている。

巫女は曲げていた片足を徐々に戻しながら、ゆっくりと降りてきた。

地面に着かず、微かに浮遊している。

巫女は左手に麒麟の髭を持ち、薄ら笑いを浮かべている。


私は距離を詰めた。

右手でやや上段に構え、そこから変化を付けられる様にした。


剣の間合いに入る!

私は右脚をワザと動かし、フェイントを入れた。

やや腰を落とし相手の右首を狙い左袈裟斬りだ。


邪神の反応は、人の速度を越えていた。

しかし、憑依先はあくまで人の身だ。

防御は遅れ、十分ではなかった。

巫女は鎖で剣の刃から身体を護ったが、僅かに刃が右脇腹に当たり、斬られた。

それを狙っていたのか、斬られながらも左手の髭で突いてきた。


だが、私はまだ攻撃を止めた訳ではない。

刃を鎖で抑えられた状態のまま、両手で剣を持ち体重を掛けて、突き飛ばした。


巫女の突きは、勢いを弱め、私の鎧を貫くまでにはいたらなかった。

宙に浮遊していた巫女は、4メートル程吹き飛び、地面に片膝を突き止まった。


巫女の右脇腹を見ると、既に斬られた痕が消えていた。


「瞬間発動できる回復魔法……。厄介ね。そちらは相撃ち狙いでも良いなんて」


巫女はゆっくりと立ち上がり答える。


「だがしかし、恐らく憑依したこの身では、ぬしには勝てぬな。髭と憑依体の巫女、想定外の手痛い損失よ。我の行動が軽率であった為であろうな」


少し沈黙の後、再度口を開いた。


「もし、我の味方になれば世界の半分を御主にやろう――」


「――どうじゃ? わしの味方になるか?」



Cパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ