<23話> 「強襲! 魔粘性白金生命体 ~ホワイトメタルスライム~」 =Aパート=
異世界GMは本日、連載2周年を迎えました。
これまで、そしてこれからも、皆さまに楽しんでいただけるよう連載していきます。
あらゆる物を溶かす
白き粘液は心までも溶かす
唯一希望の光だった不破の呪い
「お姉様、こちらの服など……どうでしょう?」
「うわっ……。ダメダメ。こんな露出の多いの」
「では、このフリフリは?」
「かわいいッ!! でも、こういうのってキュリアのが似合うんじゃ……」
私はチラリと、プラチナゴールドに輝く髪のキュリアを見つめる。
「なっ。何でしょうか、リル殿」
キュリアは急に視線を向けられたからか、私に凝視されて、落ち着きがない。
「いいからいいから。着てみて」
そう私が告げると、控えていた店の侍女たちが、一瞬にしてその場でキュリアを着替えさせる。
「さすがに、ちょっと大きいわねぇ」
「お姉様、大きさはお直しをして貰えるので、大丈夫ですよ」
そう答えたのは、邪神を宿しし聖女イリーナだ。
「じゃあ、それは確定で。あとコレなんかどうかしら? イリーナ」
「おぉ、さすがはお姉様!
実は私も、何着かキュリアさんに似合いそうなのをと、見繕っていましたッ」
キュリアは次々に着替えさせられていく。
ロングワンピースから、肩が露出しているドレス、全身がフリルで覆われている服、果てはメイド服までと様々に。
私は童心に返り、着せ替え人形と化したキュリアで遊ぶ。
キュリアもそれに抗う事はなく、これはこれで楽しんでいるのかも知れない。
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総本山での死闘を終えた私は、乙女道という困難な道を歩んでいる。
終わりの見えないこの戦いに、果たして勝者は存在するのであろうか?
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キュリアは、超ド派手なドレスに決まった。
――というより、私が決めた。
白い生地が一部に使われている真っ赤なドレスだ。
「滾るマグマが歩むかの如し……。(うん。良い色だ)」
「こんなの……。街中を歩けませんよ……。リル殿ぉぉぉ」
「私の赤髪に近い色なのだから……。
恥ずかしいなどという理由では、異論は認められません!」
「よくお似合いですよ」
間髪入れず、イリーナは手を合わせてポンと鳴らす。
「イリーナ様まで。そんなぁ……」
そして私は、次なる新たなターゲットへと視線をやる。
視線の先に居るのは、金髪の幼女マリンちゃんだ。
私は姪っ子を見る様で、とにかく可愛いくて仕方が無いのだ。
マリンちゃんは天然パーマでくるくるになっている髪に、指を差し入れている。
照れ隠しの為になのか、ぐるぐると自分の髪を指に絡めているのだ。
その姿は実に愛らしい。
「あのぉ……、宜しいのでしょうか? 私まで」
「イイのイイの。飛来物の話を知る事が出来たし。
付き合って貰ったお礼でもあるのだから」
着ているのは、白と言うよりも銀色に近いシンプルなデザインのドレスだった。
薔薇の様な花弁と茎の刺繍があり、マリンちゃんのくるくる金髪ともマッチしている。実にグッドだ。
かぁー。どうしよう、可愛い。
ヤバい私、今日、ご飯いらないかもしれない。
胸がいっぱいで。
うー。胃が痛くなってきた……。
恐るべし、マリンちゃんの破壊力。
「お姉様?」
イリーナは不思議そうな顔で、私を見つめるのだった。
「そういえば、アーケロンの乗組員は全員上陸許可が下りたんだってね」
「はい。父、シーゲイルにも許可が下りました。聖母教のお力ですね。
大司教様にも感謝をお伝えしなくては。こうして皆さまとご一緒できましたし」
「そうね。おかげで、私も飛来物の噂を知れたし。服も選べたし!」
私は夜空の様に深い藍色のロングドレス。
イリーナはふりふりした漆黒に紫があしらわれたロリータ系ドレス。
みんな普段着ない様な物を選び、着ている。
買い物を粗方終えて、これから教会へと戻る。
風により、イリーナの青く長い髪は靡いている。
時より漂う磯の香り。
それがなければ、港街である事を忘れてしまう程に大きな街並み。
ここは聖母教総本山近くの港街スミュール。
Bパートへ つつづく




