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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第五章 5節   <21話>
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<21話>  「転移魔法」   =Gパート=


神之支配者ごっどますたぁ



「カーッ、カッカッカッカっ! カーッ、カッカッカッカっ!」

ピンクの髪が舞い、咲き乱れる。たかぶり、ティーナはいつになくゴキゲン(・・・・)だ。


金色こんじきの湯気が立ち登る。

イリーナと共存している邪神ルドラに勝るとも劣らない。

膨大な魔力は可視化できる程に絶大だ。

高度な魔力耐性を持っていなければ気を失う。

また、持っていたとしても立ち向かうのは容易でない。


םער(ラムア)!  ――םער(ラムア)םער(ラムア)םער(ラムア)!」


幾重いくえもの雷鳴がとどろき、落雷が降り注いだ。

雷光に爆音、空気を焦がす臭い。キュリアたちは五感の内、触覚以外の感覚を奪われる。


エミアスは、魔術陣を敷き魔力障壁を発生させていた。

キュリアとソフィアを守る為に。


キュリアは、複数の属性強化魔術を掛けると、盾を魔術で生成させていた。

ソフィアを守っていたのだ。


ソフィアは、みずからを盾とし、魔法障壁の最前線で避雷針となっていた。

仲間の為に献身していたのだ。



そして、五感は徐々に解放される。

まずは戻った視覚が現状を知らせてきた。

三人は自分たちが無事である旨を把握する。


だが、聴覚が戻らない最中さなか、何やらティーナの口元が動く。


エミアスは焦る。聴覚の回復を待つ余裕はなかった。

「まず…で…ね。…う何撃も……」


「雷神の怒り」イルシカレ・カンナカムイ

ティーナの叫び声と共に、赤い稲妻が降り落ちる。


球形状の魔力障壁を発生させていたソフィアは、魔力障壁ごと弾き飛ばされ、障壁は消滅する。

二刀の剣を持ったままのキュリアは、身体を張りソフィアを受け止めた。


赤い稲妻は、ソフィアの肌に浮き出た血管状の火傷を生じさせ、髪の焦げた臭いを漂わせる。

キュリアは火傷を負うソフィアに身体を重ね、後ろから支えた。


「上位回復魔術」

「最上位回復魔術」

キュリアとエミアスの回復魔術が順次発動する。

元の傷一つ無い状態へと、ソフィアの身体は戻る。


傷が癒えたばかりだというのに、ソフィアはキュリアに背をもたれつつ、大剣を正面に構えた。

だが大剣には、光と瘴気を帯びた二刀が直ぐに折り重なる。


「一人で、抱えるには大きな問題でしょう。でも二人、いえ、三人ならば!」


その言葉に、ソフィアとエミアスは無言で頷いた。



「カーッ、カッカッカッカっ! םער(ラムア)! םער(ラムア)! םער(ラムア)!」


更なる雷鳴が幾重いくえにもとどろき、落雷が降り散る。



だが、しかし、異質の稲妻が走ったのだ。

閉鎖空間内にいた、全ての者の視線が向く。


視線の先にあるのは、穴が開き、ヒビの入ったティーナの大盾だった。


「姉様!」

「リル殿!?」

「リル様……」









「もう直ぐ、貴女を助けられるわ……イリーナ」


私は天井に逆さに立つ。イリーナの祈って重ねた状態の手を支えに使い。

長い赤髪は、イリーナの天井へと垂れ上がっている青髪とは対照的に、地面へ向けて垂れ下がる。


「ほんと、自分のバカさ加減が嫌になるわ。

 イリーナ、貴女の窮地だというのに……。

 戦闘が……、1対3の戦闘が、こんなにも楽しいだなんてね」


イリーナを眺めつつ、赤い布製の装備から紫の軽装鎧へと装備を変える。

そして、最強の武器である「麒麟の髭」を取り出した。


「そうね。私は大バカ者ね。

 ゲームが好きで好きで。結局、ゲームを仕事にしてしまうぐらいだものね……。

 でもね、イリーナ。ゲーム大好きな大バカ者の私だから、貴女を救える。

 私の本気……、今、見せるから!」



「カレン、あれを止めて!」

ミツキの危機迫る叫び声に、カレンは無言で頷き、駆けて跳ぶく。



私は、祈りを捧げて固まっているイリーナの両手に手を重ね、ぶら下がった。

そして、麒麟の髭は放たれる。



カレンは私の狙っているティーナとの射線上に入った。

だが、それはあまり意味の無い行為なのだ。


カレンの目前で、麒麟の髭は消える。

転移魔法により転移し、再出現したその先にはあるのは――



  『ティーナの大盾だ!』



麒麟の髭はティーナの大盾に、大きな風穴を開けると、追加の雷撃が盾を襲う。


「なッん!?」

ティーナは何が起きたのか、理解できていない様だ。

気が付いた時には、穴が開き、ヒビが入っていたのだ。



「知っていたでしょう? 姉様が最初から盾を執拗に攻撃していた事を」

ソフィアは落雷によりボロボロになった黒いワンピースを千切ちぎって投げ、ボディースーツ姿となった。


「リル殿は、貴女が魔力を大量に消費するのも、待っていたのですよ」

キュリアは一瞬でティーナとの距離を詰め、剣の間合いへとせまる。


「ヴァレンティーナ、様……。もう、良いのです。もう、これ以上……」

エミアスは顛末てんまつから目をそむけ、目を閉じ、杖を抱えて唯々(ただただ)祈る。



Hパートへ つづく

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