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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第五章 2節   <18話>
154/200

<18話>  「英雄vs勇者・前編」   =Bパート=


エミアスはメリダからローブを返して貰い、ようやく多かった肌色が減った。

スパスとオジムは明らかに残念がっていた。


(露骨に顔に出過ぎ。てか本当、おっぱい好きよね……赤ちゃんたち。よちよち)



やっと議論がまともにできる様になる。

そしてその議論の結果、私たちは先程の広場からではなく、第二神殿側の宮殿部分から入る事となった。

その後は、建物内を進み本殿を目指すのだ。


私たちはエミアスに認識阻害魔術を掛けて貰い、避難壕を後にした。


道沿いに、なだらかな山の斜面を下る。

ゆっくりと下っていた。すると、何かが私のお尻に当たったのだ。


当たったお尻の感触は、やがて大きくなる。

なお収まらないそれは、ついにはお尻と腿の間へ迫る。


「きゃっッ」

思わず声を漏らすも、魔術によって私の悲鳴は掻き消された。


私は咄嗟とっさに、その元兇げんきょうを掴む。

(手!?)


だがその手が思いのほか、小さかった事に私は安堵した。

(なんだ、ソフィアの手か……。痴漢かと思ったわ。切断するとこだったわ)


私は学校で引率している先生の様に、ソフィアの手を握り、一緒に歩き始めた。


姿こそ見えないものの、ソフィアの足取りはとても軽い。

繋いだ手の重さが、それを物語っていた。


この小さな手が戦闘になると、背負っている不釣り合いな大きさの両手剣を振るう訳だ。

小さいお手々だが、頼もしいのだ。


ソフィアの頬が当たる感覚、それが私の二の腕へと伝わってくる。

手はやがて解け、腕になる。

それに伴い私の腕は、ソフィアの胸元へと納められる。


(あぁ、なんか……肘の辺り、ごりごりする……)


もはや引率の先生ではなく、一緒にお出掛けした仲の良い親子だ。



そのままで暫く進んでいると、白い無数の石柱が目に映る。

建物は山と一体化しており、入り口だけが視認できる。


「あれが第二神殿」


だが、その入り口には何か違和感を憶えた。


辺りに敵が居ない事が確認できたのか、レンジャーのグリンが姿を現し、スパスも姿を現す。

それに続き私を含め、皆が一斉に姿を現し、徐々に入り口へと近寄る。


スパスも違和感を感じていた様だ。

「姉貴、こりゃ大層な結界じゃないか」


姉貴とはつまり、エミアスの事だ。

「ええ、そうですね。魔術ではなく……おそらく神通力じんつうりき。この様な御業みわざが可能なお方……やはり神龍様が……」


「これは確かに八英雄、神龍ナシャ殿の呪符と妖力による物でしょう。規模は違いますが、見た事があります」

同じ八英雄であるキュリアが答えると、グリンは結界の目前へと迫る。

「しかし、これでは我々も中には入れませんね。エミアス猊下げいかならあるいは?」


「いえ、この結界は魔術による物では無い為、私では不可侵な代物です。イリーナ様でないと無理……ですね」

エミアスは想定外の事態にどう対処すべきか悩んでいるのか、眉間にしわが寄っていた。


おそらく、私の転移魔法も弾かれて侵入できないだろう。

(私がGMのスキルで跳躍して、内部に入って見て来ようか?)



「せめて、内部と連絡が取れれば……。ですがおそらく、通信系の魔術も遮断してしまう……」

キュリアは顎に指を当て、何か手は無いかと考えている様だ。


すると、それまで私の腕に引っ付いて、笑顔のまま無言だったソフィアが開口する。

「私の……能力なら、結界を超えて伝えられる。ただし、向こうからは無理。あくまでこちらから発信して伝えるだけ」



(あぁ。そんな能力、そう言えば……あったわね)



ソフィアは私の腕から漸く離れる。

そして今度はキュリアの手を両手で握り、胸元に当てた。

どうやらソフィアを媒体に、キュリアが配信する様だ。

皆の視線が一斉に集まり、固唾かたずを呑む。


すると、入り口にあった結界に、僅かなほころびが出来たのだ。

どうやら上手くいったみたいだ。


私たちは、人が一人ようやく入れる位の小さなほころびから、結界内へと入っていった。



Cパートへ つづく

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