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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第五章 1節   <17話>
150/200

<17話>  「とあるエルフの光剣魔術」

長い戦闘シーンが終わったので、お遊び回です。



挿絵(By みてみん)




キュリアは上位回復魔術をメリダとミリアに掛け、ねぎらった。

防具は破損しており、身体だけが癒えて、おかしな風体ふうていだった。


私は鎧の一部とインナーという格好のミリアに、何か羽織らせてあげようと思った。

アイテム収納を調べようとする。


その時だった。

目の前で純白のローブがなびいた。



(あ"あ"!! エミアスが戦闘中なのを忘れていた……わ)



エミアスは白魔術師魔将の前に立ち塞がっている。

この世界には、蘇生回復魔術や、死者甦生復活魔術が存在している。

復活をさせてしまうと、もう一度戦闘のやり直しとなってしまうのだ。

それを阻止すべく、エミアスは立ちはだかっているのだった。


エミアスは、それまで持っていた魔術用の杖から手を離した。

杖は不思議と倒れる事なく、宙にそのまま浮いている。

更にまとっていたローブに手を掛け投げる。ローブは浮いている杖に引っ掛かった。


すると、胸元が開いた服にピッタリと張り付いたスカート姿のエミアスが現われた。


「ちょッ! お母さん!?」


スカートは短く、激しく動いたら、下着が見えてしまいそうだ。

長い足が露出しており、何ともなまめかしい。

ついつい足に目が行ってしまったが、よく見ると右手には紺色の短剣を持っていた。


「将星(しょうせい)滅せしおのごう


短剣は群青の光を放ち、光は刃状となる。

刀身は二倍以上、エミアスの足元まで伸びる。



(何アレ、欲しい! 超欲しい! エミアスあんな物を隠していたなんて!)


検閲ちらっ


| ≪光剣(フォトンセイバー)

|精霊結晶を媒介にヒッグス場より魔力で質量を持った剣を事象化

|刀身に見える光りは魔力を質量に変換する際に生じた副産物



(……。)


(見なかった事にしよう……。うん)



エミアスは前衛顔負けの剣(さば)きを見せた。

白魔術師魔将は杖ごと斬られ、一方的な闘いは、直ぐに幕を閉じた。



私は直ぐにエミアスに駆け寄った。

一瞬エミアスの胸元に目が行ってしまう。

普段はローブを幾重いくえにもまとっていて、露出したエミアスの肌を殆ど私は見た事が無かった。


(ちょっと胸元を主張し過ぎじゃない? ……って、そっちじゃなかった)


「エミアスお疲れ様。ところでその光剣だけれども……」



エミアスは視線を光剣へと向けた。

光剣は光を失い、ただの短剣へと戻る。

「そう言えば、まだリル様はご覧になっていませんでしたね」


キュリアがわざと私に聞こえる様に呟く。

「またリル殿の……、リルの悪い病気が……」


「かぁ・しぃ・てッ ❤️」


「そう仰ると、思っていました」

エミアスは親切心から、私に光剣を貸してくれる様だ。


「わ~い」


「魔力の調節、気を付けて下さいね」

エミアスは視線を一瞬だけ私から外して、そう言った。


「はーい」

媒体となる短剣を受け取り、握ってみた。


短剣はエミアスの時と違い鮮血の様な赤い光を放ち、刃状となった。

「格好いい……」


キュリアは私の方を見て、何故か胸を撫で下ろしていた。


私は赤い光剣を真剣ではなく、竹刀の様に軽く振るう。

そして次に四連撃を体運びを絡めて行った。

残る光りの軌道が四角く映る。


「ほらほら。巧いもんでしょ? ホライゾンなんちゃら」


今度は光剣を両手で持ち、上に高く突き上げてみた。

映画のワンシーンの様に。


両手で握られた光剣。

突然、赤い光りが伸びる。


「え"?」


光りは一瞬にして、天井を超え、遺跡を貫通した。

私は慌てて片手を離す。


かなりの地下階層であった筈だ。

しかし上を見上げると小さな穴が空き、その穴からは青空が見受けられる。


そして、光剣は只の短剣と化した。



「……。」


「……。……。」


「返すわねっ!」


エミアスは、私の放った短剣を巧く空中で受け取る。

「ティーナたちには私の剣術では太刀打ちできませんからね」

そう前置きした上で続ける。

「残念ながら、内部にある精霊結晶が過熱異常で機能を失った様ですね。暫くは使えないでしょう」



キュリアは後ろを向いていた。

顔こそ見えないものの、くすくすと笑い声が聞こえてきた。



「イリーナに今度、魔力制御を習おう」

――そう私は心に誓うのだった。



Iパートへ つづく


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